表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/103

第29話 『イタッチの弱点』

参上! 怪盗イタッチ




第29話

『イタッチの弱点』




 大阪府和泉市にある湾堕振流(わんだふる)美術館。そこに三人の警官が集まっていた。


「ふふふ、今日こそ、イタッチを捕まえる。そのためにお前達に話がある」


 先頭に立つフクロウの男性。彼はフクロウ警部。怪盗イタッチを追う警察官であり、運はないが狙撃、剣術、体術、全てに優れた警官だ。


 フクロウ警部の言葉に猫の警官が首を傾げる。


「なんですか?」


 彼の名前はネコ刑事。自作の機械アイテムを作り、フクロウ警部と共にイタッチ退路を目指す警官だ。


 ネコ刑事の隣ではキツネの警官が目を輝かせる。


「なんすかなんすか!! もしかして仕事の前に美味しいお好み焼きを食べにいくんすか!!」


 彼女は天月 コン巡査部長。新人であるが、根性のある警官だ。


 フクロウ警部は首を横にする


「それは仕事が終わってからだ」


「なんすか……って、終わったら行ってくれるんすか!?」


 彼ら三人はイタッチ対策特別課に所属する警察官。彼らが美術館に来たのは、他でもないこの美術館のお宝がイタッチに狙われているからだ。

 フクロウ警部は咳払いをして話を戻す。


「今回狙われているのは、この美術館にあるワンダフルレモンだ。我々はそのお宝をイタッチから守り、イタッチを捕まえる」


 フクロウ警部は帽子を深く被ると、


「だが、今回は大きな情報を手に入れた。そう、大きな情報だ」


「「大きな情報……」すか」


 ネコ刑事とコン刑事は唾を飲み込む。


「それはイタッチの弱点だァァァァァ!!!」


 フクロウ警部が宣言すると、ネコ刑事とコン刑事は目を丸くする。


「イタッチの弱点ですか!?」


「なんすかそれ!? あるんすか!?」


 あわあわと慌てる二人に、フクロウ警部は腕を組んで伝える。


「ああ、ついに手に入れたんだ。イタッチの弱点、それは……」


「「それは……」」


「お酢だ!!」


 ネコ刑事とコン刑事は同時に首を傾げる。角度もタイミングもバッチリだ。


「「お酢?」」


「そうだ。だから、今回はお酢作戦で行こうと思う」


 フクロウ警部は自信満々に語るが、ネコ刑事が手を挙げる。


「あの〜、警部、それどこからの情報なんですか?」


「昨日メールで来てた。宛先は情報屋Rだったかな」


「それ、信頼できる情報なんですか?」


「さぁ?」


「…………」




 ⭐︎⭐︎⭐︎



 大阪府にあるとあるホテル。そこに怪盗の三人が集まっていた。

 テーブルを囲み、イタチが書類を中央に置く。


「今回盗むお宝はワンダフルレモンだ」


 このイタチこそが怪盗イタッチ。世界中からお宝を盗む大怪盗だ。

 イタッチから見て右側の席に座っているウサギが腕を組み、息を吐く。


「んなこたぁ、分かってるよ」


 彼はダッチ。イタッチの相棒であり、中華マフィア四神のボスである。

 イタッチから見て左、ダッチの向かいに座る子猫がパソコンの画面を二人に見せる。


「イタッチさん、ダッチさん、どうやらフクロウ警部達はすでに美術館に到着しているようです」


 彼女はアン。イタッチ達の仲間でパソコンの操作を得意とする女の子だ。

 彼ら三人こそがイタッチ一味。怪盗イタッチを中心とした怪盗集団であり、フクロウ警部の追っている指名手配犯だ。


 イタッチはやれやれと息を吐く。


「また来たか。フクロウめ……凝りたい奴だな」


 イタッチはそう言いながらも、少し楽しそうだ。そんな様子にダッチは不服そうに舌打ちをする。


「あの警部はどうでも良いんだよ。んで、計画はどうなんだ?」


 ダッチがイタッチに聞くと、


「ああ、下調べをした感じ、アンが調べてくれた情報と変わらない。だから、計画通りに行くぞ」




 ⭐︎⭐︎⭐︎



 星空が浮かぶ中、警官達が美術館を囲む。正面玄関の警備を任されたのはコン刑事だ。コン刑事は未熟ながらも、ネコ刑事のアドバイスをもとにして警備員を配置。イタッチを迎え撃つ体制で待っていた。


「イタッチ、いつでも来ると良いっすよ。アタシが捕まえてやるっす」


 すると、コン刑事が守る正面玄関。そこに二人の動物が現れた。


「堂々と潜入っすか。珍しいっすね」


 現れたのはイタッチとダッチ。二人は向かいにあるビルの屋上から飛び降りて、颯爽と現れた。


「包囲するっす!!」


 コン刑事は警備員達に指示を出す。警備員達は警棒を手にイタッチ達を囲んだ。囲まれたイタッチとダッチはお互いに武器を手にする。

 ダッチは刀を持ち、イタッチは折り紙の剣を手にした。


「ッチ。数が多いな……」


 警備員の数は50人。その数に包囲されたことでイタッチ達は逃げ場を失う。さらにその中にはコン刑事もいる。

 そう簡単に抜け出すことはできない。


 もしもここで時間をかければ、さらに多くの増援が来ることになる。


「そろそろ諦めるっすよ。お二人さん……」


 コン刑事は腰に手を当ててニヤリと笑う。

 警備員達がジリジリと距離を詰めてくる。


「ッチ。やるしかねぇか。イタッチ、準備はいいか?」


「…………」


「ふ、行くぜぇ!!!!」


 二人は警備員の群れへと突撃した。相手はイタッチとダッチ。数が多いとはいえ、そう簡単に捕まえることはできない。

 次々と警備員達がやられるが、ダッチ達にも疲れが見え始めた。


「そろそろフィニッシュっす」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ