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第23話 『コン巡査部長、再び!!』

参上! 怪盗イタッチ




第23話

『コン巡査部長、再び!!』





「よろしくっす。ネコ先輩!」




 ネコ刑事の前に立ち、敬礼をするキツネの警官。彼女はコン巡査部長、前にネコ刑事が風邪で寝込んだ時に、フクロウ警部の元へ派遣されてきた婦警だ。




「なんで……君が…………」




 大量の汗を流しながら、動揺するネコ刑事は後ろで紅茶を啜るフクロウ警部に叫ぶ。




「警部!? 僕が復帰したら、コン巡査部長は別の課に移るはずじゃ……!?」




 フクロウ警部はマグカップを机に置くと、ゆっくりと答える。




「警視監自らの願いだ。彼女の面倒を見て欲しいんだと……」




「なっ!? なんで僕達が!?」




 フクロウ警部は頭を掻きながら、目を細める。



「まぁ、なんだ……。彼女、前に俺のところに応援に来てから評判が良いんだと……。んで、俺の指導がどうたらって……」




「……それでコン巡査部長がここに……っと」




 フクロウ警部とネコ刑事がため息を吐く中、コンは二人の前に立ち、改めて姿勢を正す。




「今日からイタッチ対策特別課に配属されました、天月 コン巡査部長ですっす!! 改めてよろしくお願いするっす!!」




 コン刑事は敬礼をした後、自分の机の上から紙袋を持ってくる。そして中から綺麗に包まれたお菓子を取り出した。




「つまらないものっすけど、どうぞっす!!」




 二人はお菓子を受け取ると、そのお菓子を見て目を丸くした。

 それは高級品のお菓子であり、簡単には手に入らないもの。それを見た二人は内心では大量のヨダレを垂らしていた。




「ネコ君、まぁな、彼女を歓迎してあげようじゃないか」




「そーですね、けいぶー」




 なにやら心ここに在らずの二人を見て、コン刑事は首を傾げた。

 お菓子を受け取った二人は、各々の机に座り直す。

 三人の現在いる場所は、警視庁の三階にある小さな一室。部屋の扉にはイタッチ対策特別課の看板が建てられているが、部屋の広さは事務用の机を5つ入れるのが精一杯な広さしかない。




 それに配属されている警官も、フクロウ、ネコ、コンの三人だけだ。




 フクロウ警部はパソコンで何かの作業をして、ネコ刑事は新聞を広げてニュースを確認する。

 平和なひとときだが、そんな光景にコン刑事が立ち上がった。




「フクロウ警部!! イタッチを捕まえにいかないんすか!!」




 コン刑事が怒鳴ると、フクロウ警部はやれやれと帽子を脱いで机に置いた。




「イタッチからの予告状はまだ来ていない。俺達に出来ることはまだないんだよ」




「なら、他の事件を手伝うとか!!」




「イタッチあるところにフクロウあり。イタッチが現れた時に迅速に我々が向かうため、俺達は待機して情報収集をする必要があるんだ」




「…………」




 納得いかない様子で、頬を膨らませるコン。ネコ刑事が立ち上がって、もう少し詳しく事情を伝えようとした時、扉が勢いよく開いた。

 扉が開き現れたのは、サンマの警官だ。




「フクロウ警部、イタッチからの予告状が届きました!!」




「なんだとぉぉっ!?」




 フクロウ警部は勢いよく立ち上がる。




「詳しい情報はこちらの書類です。私はこれで!」




 サンマ巡査はフクロウ警部に書類を渡すと、部屋を出ていく。書類に軽く目を通したフクロウ警部は、ネコ刑事とコン刑事の前で宣言する。




「今回こそイタッチを逮捕する!! そのための作戦会議を行う!!」




 ネコ刑事とコンは姿勢を正して、フクロウ警部の指示を待つ。

 しかし、フクロウ警部が次に放った言葉は……




「っのはトイレに行ってからだ!!」




 ネコ刑事とコン刑事はすっ転んだ。フクロウ警部が便所に行き、部屋はネコ刑事とコンだけになる。

 コン刑事はフクロウ警部が戻ってくるまで暇なため、ネコ刑事にある質問をした。




「この課ってどうなってるんすか? 人数も少ないすけど、イタッチに対して特別すぎなんじゃないすか?」




「あーあ、そうか、君は知らないか。それは警部だからこそ出来たことだよ」




「フクロウ警部がすか?」




「そう……」




 ネコ刑事はフクロウ警部がまだ帰ってこないのを確認してから、フクロウ警部の席にある引き出しを開ける。そしてそこにある写真をコン刑事に見せた。

 その写真の中には若い頃のフクロウ警部とゴリラ警部、そしてサソリの警官が写っていた。




「昔、警部の同僚が殉職する事件があった。その時、警部はイタッチに出会い、救われた。それからしばらくして、警部はイタッチを追うようなった」




 ネコ刑事はフクロウ警部が戻ってくる前に、写真を元の位置に戻す。




「まぁ、イタッチは世界中のお宝を狙う怪盗だ。普通の警官じゃ、イタッチを追えない。だから、フクロウ警部は特別な権限を手に入れることにした」




「特別な……権限っすか?」




「イタッチに対して、現地の警官を自由に動かすことができる権利。フクロウ警部の一声で全世界の警官はイタッチに牙を向く」




「ナンスカソレ!? 凄すぎないっすか!? どうしてそんなことが?」




「表向きに発表してないが、フクロウ警部は国際警察やヒーロー連盟にも所属している。各国の組織に顔の通じる人なんだ」




「な、なんすか、どうなってるんすか!?」




「同僚が殉職する事件以降、フクロウ警部は多くの事件を解決させ、凄い速さで出世した。でも、警部が捕まえたいのはイタッチだ。だから、ワンコ長官の力を借りて、秘密裏に他組織へと推薦してもらい、それぞれに所属しているんだ。表向きには隠してるけどね」




「そ、そんな……フクロウ警部がそんな凄かったなんて、知らなかったっす」




「ま、それもあって隠すために日本の警察では警部で昇格を止め、イタッチの情報があるまではネットで他組織とコンタクトを取ってるわけだよ」




 フクロウ警部についてネコ刑事から教わり、コン刑事はフクロウ警部の席を見て目を輝かせる。

 そんなコン刑事の姿を見て、ネコ刑事はニコリと笑った。




「噂ほどやばい子じゃなさそうでよかった」




「なんか言ったっすか?」




「なーんにも〜」




 っと、そんなことをしていると、トイレからフクロウ警部が戻ってきた。

 フクロウ警部が戻ってくると、二人は姿勢を正して警部の方へと身体を向ける。フクロウ警部は咳払いをしてから、




「今回イタッチが予告状を出した場所だが……そこは…………ッ!!!!」





 ⭐︎⭐︎⭐︎




 とある街にある三階建てのビル。そこの一階にはイタチの経営する喫茶店があった。

 店内はレンガを意識した壁で覆われ、カウンター席のみの奥行きのある内装になっている。




「いらっしゃーい」




 扉につけられた鈴が鳴る。扉を開き入ってきたのはコートを着たウサギだ。




「よぉ、イタッチ、アン」




「ダッチさん!!」




 ウサギの名はダッチ。中華マフィア四神の頂点に君臨する男であり、イタッチの相棒だ。




 ダッチは一番奥にある席に座り、店員のイタチに「いつものやつ」と注文する。

 イタチの店員はやれやれと首を振り、




「ここでその名前で呼ぶのはやめてくれ。ここではただのイタチだ」




「はいはい」




 イタチはコーヒーが完成すると、バイトの猫の少女に任せる。猫の少女はダッチの元へコーヒーを運んだ。




「ダッチさん、お待たせしました」




「おう、ありがとな、アン」




 バイトをしている子猫の名前はアン。イーギーというハッカーの娘であり、現在はネットを使ってイタッチ達をサポートしている。




 そしてこの店の店長であるイタチ。彼の正体は世界一の怪盗イタッチ。世界中からお宝を盗み出し、このビルの地下に大量のお宝を保管している。




 コーヒーを飲みながら、ダッチはイタッチに尋ねる。




「それで次の仕事はなんだ?」




 イタチはニヤリと笑うと、




「ああ、今回狙うのはレボリューションスター。ジャスミンというテロ集団が所有している宝石だ」




 ダッチはイタッチの言葉を聞くと大きく口を開けて固まる。ダッチが固まる中、アンが横から驚きの声を上げた。




「ジャスミン!? あの最近噂のテロ集団ですか!?」




「ああ、そうだ」




 ジャスミンとは麗音(れおん)という雄豚が指揮する過激テロ組織である。目的としては武力に対抗するために武力は必要という主張をしている。




 ダッチは腕を頭の後ろにして組む。




「あァ、アイツらはテロ集団だろ、なんでお宝なんて持ってるんだ?」




 イタッチはカウンター席の下に手を伸ばす。そして下に隠していた書類を取り出した。

 その書類をダッチの前に置く。




「資金調達だろうな。秘密裏に国外から武器を仕入れてるらしいが、そのためにも資金が必要だ。そのためにお宝の売買も行ってるんだろう」




 書類を目にしたダッチはサングラスを上げる。




「んで、結構は?」




「予告状はこれから出す。一週間後の夜に決行だ」











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