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参上! 怪盗イタッチ  作者: ピラフドリア


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第112話 『ウイルス作戦』

参上! 怪盗イタッチ




第112話

『ウイルス作戦』




「よし、任せるぜ」


「はい!!」


 イタッチの言葉にアンは元気よく返事をする。


「作戦会議はそこまでだ。仲良く俺の砲撃で消し炭になると良い!!」


 エリーは砲台の先を二人に向ける。イタッチは折り紙の剣を手にすると、アンが狙われないように横に走ってアンから離れた。


「先に俺に当ててみろよ!」


「貴様にはもう何度も当てているだろう。……だが、まぁ良い。先に貴様を撃ち倒してやる!!」


 エリーは左手の砲台をイタッチに向ける。イタッチは横に移動しながらも、斜めに走りエリーへと距離を縮めていく。

 このままエリーの周りを走りながらも、渦巻き状に近づいていく作戦だろう。


「さっきまでの俺とは一味違うぜ!!」


 エリーは左手の砲台から光線を発射する。しかも、何発も連発で放ちながらも、軌道を曲げて狙いを分かりにくくしている。


 しかし、イタッチはそんな光線をジャンプや剣で弾いたりしながら、上手く躱していく。


「前にも言ったが、どれだけ高度な技術だろうと、お前の目線で狙いは見えてるんだよ!!」


「……っく。まだまだだ!!」


 イタッチがさらに接近して、エリーとの距離が半分に縮まった頃。エリーはさらに光線の連射を増やす。

 左手の砲台から高い音が鳴り始めて、連射が可能な砲台ではあるが限界が近いらしい。


 流石に量が増えると、イタッチも回避が厳しくなる。だが、そんな中でもイタッチは諦めずに近づいていく。

 さらにもう3メートルという距離まで来たところで、イタッチは回避をやめて攻撃の準備に移った。


 剣を高く振り上げて、エリーの背中を切り付ける。剣を振るまでの間に何発か、イタッチの身体を光線が貫通したが、どうにか振り切ることができた。

 しかし、


「俺の装甲はそんな攻撃では突破できん」


 エリーの装甲は硬く、イタッチの攻撃は効かなかった。


 エリーは右手の砲台をイタッチに向ける。


「さぁ、ここまで…………ん、なんだ…………どうなってる!?」


 イタッチに狙いを定めていたはずのエリーは、突如両手を振り回して何かを振り払おうとし始める。


「なんなんだ、これは……触れない………俺の目の前にあるわけじゃないのか!?」


 さらにエリーは目を擦る。しかし、それでもエリーの異変は治らない様子だった。

 エリーが動揺している中、イタッチはゆっくりと歩きながら近づいていく。


「どういうことだ……何をした!? イタッチ!?」


「さっきの攻撃はお前の攻撃するためじゃない。あるものを取り付けるためのカモフラージュさ……」


「あるものを取り付ける……? まさか!?」


 エリーは手探りで自身の背中を触る。すると、背中に引っ付いていた何かが取れた。エリーは異変により、目の前が真っ暗になっており、取れた物体を目視はできていない。

 しかし、それが何かは察しがついた。


「まさか……システムに入り込んだのか…………」


 イタッチはエリーの前に立つと、自身の後ろにいるアンに親指を立てる。それを見たアンも親指を立てて返事をする。


「半人半機なのが仇となったな。人間は俺に攻撃を避けるチャンスを与え、機械の部分はアンが入り込む隙を与えた」


 エリーの背中についていたもの。それはイタッチがアンと接触した時にウイルス入りのカプセルを受け取った。それは侵入したい端末に接触させるだけで電波を使ってウイルスを侵入させて、アンがパソコンから操作できるようにするもの。

 イタッチが剣で攻撃するフリをして、背中にカプセルをつけた後、アンは持ち込んでいたノートパソコンでエリーのシステムを掌握したのだ。


 エリーの視界はアンにより、黒色に塗り潰されてしまう。


「そんな……この技術があれば…………人類を…………」


 エリーはアンによりシステムが破壊され、身体から火花を出しながら膝をつく。







 ──俺は




 元々俺は身体が弱かった。同じ年頃の子供達が外で遊んでいる中、俺はベッドで横になり本を読む日々。

 退屈で生きることが苦に感じることもあった。そんな中、俺の元にアイツが現れた。


「なぁ、どうせ暇なら俺と遊ぼうぜ」


 ソイツは俺が窓から外を覗いていると、よく手を振ってくれた元気な少年だった。ただの気まぐれだったのかもしれない。それでも俺は彼に救われた。


 部屋から出れない俺のために、アイツは色々持ってきてくれた。そんな物の中でも俺達がハマったのは機械作りだった。二人でいろんなものを作った。小さな物から始めたが、二人とも才能があったのだろう。いつしか大型の物を作り、さらには俺が動けるようにサポートしてくれるロボットまで一緒に作った。

 そして俺はその機械のサポートされながら、初めて自分の足で外に出た。


「自分で歩くってのが……こんな感覚だったなんて…………」


「まだまだこんなもんじゃないぜ。もっと勉強してもっと磨いて、どんなところにも行けるようにしよう。俺達二人で未来へ」


「二人で……未来へ………」


 それから俺達は大学へ進学し、さらにその技術を磨いていった。しかし、事件は起きた。





 アイツが倒れた。





 病院へと駆け込むと、厳重に隔離された病室で彼は寝ていた。医者によると、危険なウイルスに感染してしまったと報告された。

 強力なもので感染者の生命力を奪っていくウイルスであり、身体が黒く変色して指などの先端から灰になっていくのが特徴であった。感染するものはごく少数であるが、変異する可能性を考慮して彼は隔離された。


 窓越しから弱った声で彼が語りかけてくる。


「俺はここまでみたいだ。だから、後は親友のお前に託す…………この技術で昔のお前みたいな子供達をどこまでも………どこまでも連れていってやってくれ…………俺の代わりに……」





 彼がいなくなってからも、俺は技術を磨き続けた。自身の身体も改造して、危険でないことをアピールしようとした。

 しかし、俺の技術は政府から危険視された。


 どんな環境にも耐えられる機械。それはどんな攻撃も耐えられる機械。

 どこまでも歩けるはずの足は、危険な戦場にも適応できる足と勘違いされ、危険な研究として追放された。


 身を守るために武装をするしかなかった。マンデリンの手を借りるしかなかった。それでもいつかは約束にたどり着けると信じて。








 座り込んだエリーに、イタッチは剣を向ける。


「降参するか?」


 イタッチが尋ねると、エリーは見えていないはずだが顔を上げた。


「降参するものか!! どこまでもどこまでも足掻いてみせる!! どんなに道を間違えようと、この足は立ち止まるわけにはいかん!!!!」


 エリーは当てずっぽうに両手の砲台を上げた。しかし、その方向はきっちりとイタッチをとらえている。


「そうか、だが、俺達も止まれない!!」


 イタッチはエリーが光線を放つよりも早く、剣を振り切り、エリーを切り裂いた。

 どんな攻撃すらも弾く装甲は切断され、


「ぐ……はぁ!?」


 エリーは光線を放てずに倒れた。






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