第109話 『サイボーグ』
参上! 怪盗イタッチ
第109話
『サイボーグ』
イタッチとアンの前に身体を金属に覆われたサイボーグのアーベルトリスが現れる。両腕には筒状の砲台をつけており、目に赤いゴーグルで隠されている。
「私はエリー。君達を排除する」
エリーと名乗ったサイボーグは右手の砲台を二人に向ける。すると、砲台から緑色の光線が発射される。
大気を震わせる光線がイタッチ達へと向かってくる。
イタッチはアンを抱えると、横へと走り光線を躱した。
イタッチに回避された光線はそのまま直進して、後方にあった壁に激突する。鋼鉄でできた壁であったが、光線にやって焼け解けて丸い穴が空いてしまった。
「凄い威力です……」
アンは大きく口を開けて、光線の威力に驚く。イタッチはアンを優しく下すと、折り紙を一枚渡す。
「アン、少し離れていろ」
「一人で大丈夫ですか?」
アンの問いにイタッチは頬を掻きながら答える。
「ちょっと厳しい相手かもな……。まぁ、どうにかするしかないだろ」
イタッチはアンを後ろに下がらせて、エリーと向かい合う。
エリーについては侵入前にその姿を確認している。このアジトへ向かってきた戦闘機を一人で撃墜していたサイボーグだ。
戦闘機を一人で撃ち落としてしまうほどの実力者だ。一対一で勝てるかどうか……。
「まずはこういう手で行くか」
イタッチは折り紙を二枚取り出すと、二つ同時に折り始める。そして作り上げたのは剣と盾。
右手に剣を持ち、左手に盾を構えたイタッチはエリーに向かって走り出す。
「正面突破だ!!」
イタッチは自慢の素早さを活かして突撃をする。そんなイタッチを見てエリーはつまらなそうに口をムッとさせた。
「どんな手段も私には通用しない」
エリーは走ってくるイタッチに向けて、右手の砲台を向ける。緑色の閃光と共に光線が発射されて、イタッチを光が包み込む。
「この時のための盾だ!!」
イタッチは盾を前に突き出して、光線を防ぐ。光線は盾にぶつかると、高い音を鳴らしながら炸裂していく。
「その程度の盾で私の攻撃を防げるものか……」
イタッチが防いでいると、盾の取っ手が熱を帯びてきて、さらに光線の当たっている箇所が赤く変化していく。
「……くっ!?」
「その盾ごと焼き尽くそう!!」
光線は盾を貫通して周囲を焼き尽くす。
しかし、光線が貫通した時には、すでにイタッチはいなかった。
「危ねぇな……だが、良い囮にできた」
盾で自分の姿を隠して、ギリギリのところで盾から離れたようだ。イタッチは天井に剣を刺してぶら下がり、光線が消えてからエリーに向かって飛び降りる。
「その光線は連続では使えないだろう! これで接近できる!!」
降りながら剣を振り上げる。しかし、そんなイタッチにエリーは左手の砲台を向ける。
「確かに右は連発はできんな……」
エリーの左手の砲台から光線が放たれる。イタッチに向けて光の矢が向かってくる中、イタッチはニヤリと笑う。
「そっちは……」
イタッチを光線が包み込み、全身を焼き尽くす。イタッチは灰となってしまったと思われたが、
「それは偽物だ!!」
イタッチはエリーの背後に突如現れる。
天井に張り付いていたイタッチは、折り紙で作った偽物であり、本物は姿を隠して接近していたらしい。
偽物を囮にしてエリーの接近できたイタッチ。イタッチは剣を振り上げて、エリーを切り付けようとする。しかし、
「本物がそこにいるのはすでに見えていたぞ」
偽物のイタッチを消し炭と化した光線は、途中で軌道を変える。Uの字を描くように空中で引き返すと、エリーの背後にいるイタッチを頭上から狙った。
「俺に気づいていただと!?」
イタッチは咄嗟に後ろに跳ねて、空から降ってくる光線を避ける。しかし、エリーに作戦がバレていたこと、光線の突然の軌道変更による動揺により、回避が一瞬遅れてしまった。
それにより左脚の太ももが光線を一瞬浴びてしまう。
「ぐっ……」
大ダメージというほどではなかったが、回避したイタッチはダメージから一瞬ぐらつく。
「俺に気づいていて、わざと偽物を先に攻撃したのか……」
「その方が貴様の回避率が下がる計算だったからな」
交戦を避けるため後ろに下がったことで、せっかく接近していたはずが、また離れてしまった。
エリーは右手の砲台をイタッチに向ける。
「チャージまで後5秒かかる。それまでに降参をすれば生かしてやろう」
それを聞き、イタッチは口をムッとさせながら手を後ろにする。
「生かすか、どうせ牢屋行きだろ……」
「4……」
「俺は怪盗イタッチ」
「3……」
「お宝を盗むのが俺の仕事だ」
「2……」
「お宝を盗むまでは」
「1……」
「絶対に諦めねぇぜ!!」
「0……」
エリーの右手の砲台から光線が放たれる。
光線が向かってくる中、イタッチはマントの裏で作っていた折り紙をばら撒く。
地面に落ちた折り紙は伸びて繋がり、イタッチの足場に巨大なトランポリンを作った。
「避けたか……」
イタッチはそのトランポリンで身体を撥ねさせて交戦を回避する。
「まだまだここからが俺の戦いだ!!」




