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参上! 怪盗イタッチ  作者: ピラフドリア


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第107話 『ヒュンドルの謎』

参上! 怪盗イタッチ




第107話

『ヒュンドルの謎』





 ヒュンドルの鎧が電気を発して、フクロウ警部は素早く離れる。

 ヒュンドルを固め技で拘束していたが、それによりヒュンドルを解放してしまった。


「何か違和感があるな……」


 電撃を避けたフクロウ警部であったが、何かに対して違和感を感じる。しかし、それの正体について、今のところ掴めていない。


「どうしたんだい? フクロウくん、さっきまでの威勢はどうした?」


 鎧の電撃を切って、ヒュンドルはフクロウ警部を挑発する。先程までのどっしりと構えているヒュンドルと違い、今のヒュンドルは両手をポケットに入れて余裕の表情を浮かべている。

 大切そうに使っていた剣も、床に落ちたまま放置だ。


「来ないなら、俺から行くよ!」


 ヒュンドルはフクロウ警部に接近すると、右足を上げて蹴りで攻撃してくる。

 フクロウ警部はさっきまでと攻撃のパターンが変わったことで、動揺して一瞬回避が遅れる。それにより初撃を避けることには成功したが、頬をつま先が掠めた。


「へぇ〜、凄いな君は……。このパナリサの蹴りを初見で避けるのは初めてみたよ!」


 後ろに身体を逸らして避けたフクロウ警部を追撃のため、ヒュンドルはブレイクダンスを踊るかのように激しい回転をしながら蹴りを繰り出していく。


「ガンドインにパナリサ……まさか…………」


 フクロウ警部が独り言を呟くと同時に、ヒュンドルの蹴りがフクロウ警部の腹に直撃する。


「うぐっ!?」


 フクロウ警部は腹を押さえながら座り込む。


「おっと、そんなに痛かったか? ごめんよぉ」


 座り込んだフクロウ警部を見て、ヒュンドルは動きを止める。目の前でポケットに手を入れながら、ヒュンドルは覗き込むように見下ろす。

 そんなヒュンドルにフクロウ警部はタイミングを見計らって飛びついた。


「な!?」


 両足を掴んで低い姿勢のまま、タックルするようにヒュンドルを押す。そうすることでヒュンドルを倒れさせることに成功した。


「痛い!?」


 ポケットに手を入れていたヒュンドルはうまく受け身を取ることができず、背中を地面に叩きつける。

 フクロウ警部は倒れ込んだヒュンドルの上にのしかかり、全体重をかけて潰す。


「重!?」


 さらに上からのしかかりながら、ヒュンドルの両腕を掴んで両手の動きを封じた。


「これで鎧に電流を流すこともできないな」


「ひ、卑怯だぞ!!」


「卑怯か……。まぁ、好きにいうと良いさ」


「く、このままじゃ……………………きゃぁぁ!! なんで私の上に乗ってるのよ、この変態!!」


 ヒュンドルの口調が変わり、ヒュンドルの暴れ方が変化する。


「このおっさん、早く離れなさいよ、警察に突き出すわよ!!」


「おい、何言ってんだ。俺が警察だぞ!?」


「職務濫用よ!! 女性にセクハラした変態警官って訴えてやるんだから!!」


「突然何を言い出すんだ!?」


 ヒュンドルは口調が変わるだけではなく、声の高さも変わり、まるで女性のような声で話す。

 その変化に動揺したフクロウ警部は腕を掴む手を離してしまう。


 その隙を逃さず、ヒュンドルは自由になった手でフクロウ警部にビンタをした。


「離れなさい!! この変態!!」


「ぶばぁ!?」


 ビンタで殴り飛ばされたフクロウ警部は、ヒュンドルの上から落ちてしまう。


 ヒュンドルは立ち上がると、倒れているフクロウ警部を見下す。


「ほんと、警察って信用できないわ!! 昔っからそうよね、あんたたちは……」


「何の話を……」


「私はね…………………そこまでだよ、リーナちゃん。それ以上コイツに話す必要はない」


 またしてもヒュンドルの口調が変わる。今度は落ち着いた男性といった雰囲気になる。


「初めまして、フクロウさん。僕はマーク」


 ヒュンドルは鎧の隙間から拳銃を取り出す。


「僕は君達を倒すことに何の躊躇もしない…………」


 ヒュンドルは拳銃に弾を込めると、フクロウ警部に銃口を向ける。


「恨むなら世界を恨むんだね……」


 引き金を引いてヒュンドルは発砲する。しかし、ギリギリのところでフクロウ警部は起き上がって、拳銃を掴んで銃口を逸らした。

 フクロウ警部のすぐ横を弾丸が通過するが、被弾することはなかった。


「少しずつ分かってきたよ。君……いや、君達の正体が…………」


 ガンドイン、パナリサ、リーナ、マーク。今のところ四人の名前が分かった。ヒュンドルの正体、それは…………。


「この! 手を離せ!!」


 拳銃を掴まれて、ヒュンドルは振り払おうとする。しかし、フクロウ警部は拳銃を引っ張るようにして身体を引き寄せる。そしてヒュンドルの腰を掴んで持ち上げると、力強く投げ飛ばした。


「とぉりゃぁぁぁぁ!!!!」


「ぐっ!?」


 倒れたヒュンドルをフクロウ警部は締め上げようとする。しかし、


「くふ、クハハハハ!!!!」


 突如として笑い出すヒュンドルの姿に、フクロウ警部は動きを止めた。

 顔を覆い、不気味な笑い声を上げる。


「まだいるのか……何人いるんだ…………」


 フクロウ警部が警戒する中、ヒュンドルは笑いをピタリと止める。そして身体を曲げることなく、ヌッと立ち上がる。


「いいや、ボクで最後さ……」


 ヒュンドルの鎧にヒビが入る。そして鎧が音を立てながら、ピキピキと壊れていく。


「君は…………」


 ヒュンドルの鎧が壊れて、素顔が明らかになる。鎧の中から現れたのは顔を白く塗り、赤い鼻を着けたピエロ。


「ボクはアリキサ。よろしく。クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


 ピエロの不気味な笑い声が部屋中に響いた。






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