第106話 『フクロウ警部vs ヒュンドル』
参上! 怪盗イタッチ
第106話
『フクロウ警部vs ヒュンドル』
ネコ刑事達とハグれたフクロウ警部の前にヒュンドルと名乗る騎士が現れた。
赤い鎧を見に纏い、背中には立派な剣を背負っている。体格はフクロウ警部とさほど変わらないが、鎧の影響なのか、一回り大きく見える。
ヒュンドルは背負っていた剣を抜くと、その剣技を見せつけるかのように剣を振って見せる。
剣を振った衝撃で風が起こり、その風が離れた位置にいるフクロウ警部の肌を刺激した。
「我が名はガンドイン。またの名をヒュンドル。侵入者の肉ダルマよ、貴様の名を教えてもらおうか」
ヒュンドルの問いにフクロウ警部は頬を掻きながら苦笑いをする。
「あー、肉ダルマとかいう人に名前を教えてやりたくないんだがなぁ、まぁ聞かれたから答えてあげるか。フクロウだ」
「そうか、肉ダルマか」
「いや、フクロウって言ったよね!? なぜに肉ダルマのまま!?」
ヒュンドルは剣を地面に突き刺すと、腕を組んでフクロウ警部を見下す。
「そのようなたるんだ肉体を作っている者など、名など肉ダルマで十分だ」
「なら、聞くんじゃねーよ!!!!」
フクロウ警部が顔を赤くして起こる中、ヒュンドルは鎧の中からスマホを取り出す。そしてそれで何かを操作すると、ヒュンドルとフクロウ警部の丁度真ん中の床から、武器の入ったケースが現れた。
そこには剣から銃まであらゆる武器が収納されている。その武器を一目見たフクロウ警部は、全て丁寧に手入れが行き届いていることを一目で分かった。
「肉ダルマ、その中から好きな武器を選べ」
「武器を選べ? なんのつもりだ?」
「貴様はこれから強大な敵である我と戦うのだ。好きな武器を選ばせてやるのは当然だろう」
「武器を選ばせてくれるか…………随分となめられたもんだな…………」
フクロウ警部はため息を吐きながらも、武器の入ったケースの元へと歩いていく。
敵から渡された武器であるが、ここまで綺麗に管理されているものだ。小細工などしていないだろう。
それにヒュンドルの様子からもそういうことは嫌いそうな雰囲気を感じる。
「さてとこの中からか……。そうだな」
フクロウ警部は口では迷いつつも、身体は最初から決めていたかのようにある武器の元へと吸い寄せられる。そしてその武器を躊躇せずに掴んだ。
「俺はこれにする」
「ほぉ、そんなものでいいのか? もっと良い武器はたくさんあるのだぞ」
「俺はこれで十分だ。俺がここに来たのは君達を逮捕するためだ。その命を取るためじゃない。だから、なるべく傷つけたくはない」
フクロウ警部は竹刀を握りしめると、その剣先をヒュンドルに向ける。
「だから約束してくれ。俺が勝ったら自首してほしい」
フクロウ警部の言葉を聞き、ヒュンドルは床に刺さっていた剣を抜いて、剣先をフクロウ警部に向けて答える。
「……よかろう、我は約束しよう」
二人は向かい合う中、フクロウ警部の前にあった武器の入ったケースは床の下へと収納されていく。
ケースが下へと下がっていく中、ヒュンドルはフクロウ警部に提案をする。
「そのケースが完全に下がったら、戦闘開始で良いだろうか?」
「ああ、それで構わない」
二人は呼吸を整えて、戦闘開始の合図を待つ。
ケースは完全に床の下へと消えた。
「行くぞ!!」
最初に動いたのはヒュンドルだ。剣を振り上げて、フクロウ警部の元へと駆け寄る。
フクロウ警部も竹刀を構えて、迎え撃つ体制になる。
「その武器ではガードはできんぞ!!」
接近したヒュンドルはフクロウ警部に剣を振り下ろす。しかし、フクロウ警部は振り下ろされる剣に対して、あえて前進して間合いを詰める。そうすることでヒュンドルの剣を躱した。
だが、接近したことでフクロウ警部も竹刀を振るには近すぎる位置になってしまう。
どんな攻撃をしてくるのかとヒュンドルが竹刀に注目していると、フクロウ警部は竹刀から手を離す。
落下していく竹刀にヒュンドルが気を取られる中、フクロウ警部はヒュンドルの鎧を掴んで姿勢を低くして足元に入り込む。
そしてヒュンドルを柔道の風車で投げ飛ばします。
ヒュンドルの身体はひっくり返るように宙を舞って、鎧は大きな音を立てながら地面に激突する。
「ぐっ…………」
鎧で身体をガードしているが、地面に叩きつけられた衝撃は防ぎ切ることができず、ヒュンドルは横になった。
倒れたヒュンドルにフクロウ警部は垂直に寝転がる。そして腕を掴んで、肩に足を回して腕十字固めでヒュンドルを拘束した。
「ぐぐっ…………剣を捨てて拳法だと……」
「卑怯とは言わないよな?」
フクロウ警部はヒュンドルの腕を締め上げる。
「い、言わないさ……。この戦いにルールは存在しないからな」
「だが、俺はギブアップは認めてやるぞ。このまま骨を折られたくなければ、降参をお勧めする」
「この程度で……降参する…………ものか…………」
ヒュンドルは力技で脱出しようと暴れる。しかし、ヒュンドルの力では脱出することができず、腕のダメージが溜まっていく。
「さぁ降参するんだ」
「……誰が降参な…………降参はしないぜ。この程度の技を抜けられないとはガンドインめ…………」
突如ヒュンドルの口調が変わる。そしてヒュンドルは残った腕を使い、鎧の腰の部分を触る。すると、フクロウ警部の持つ腕を覆っている鎧に電流が流れる。
「これは!?」
危険を察知したフクロウ警部は鎧から手を離して、素早くヒュンドルから距離を取った。
それにより固め技から脱出したヒュンドルは、倒れてついた埃を払いながら立ち上がる。
「良い判断だな。フクロウくん、もしもあのまま感電していれば大変なことになっていたよ」




