第102話 『忍術地獄』
参上! 怪盗イタッチ
第102話
『忍術地獄』
「本当の忍術を見せてあげよう!!」
五人に増えたスペリオンは大きく息を吸うと頬を膨らませる。そしてネコ刑事とコン刑事に向けて息を吹いた。
すると、スペリオンの口から炎が出てくる。
「火遁の術!!」
「「火炎放射!?」」
ネコ刑事とコン刑事は背を向けて炎から逃げる。
「先輩、助けてっす!!」
「よく見ろ。僕も一緒に逃げてるだろ!?」
「ひぃ!? 尻尾が燃えるっす!!」
二人のすぐそばまで火が迫ってくる。
「あーもう!! コン刑事は僕の後ろに!!」
ネコ刑事は振り向くと、ポケットの中から白い紙を取り出した。そしてそれを向かってくる炎に向けて広げた。
「一枚しか作れてないから使いたくなかったんだけど!!」
炎が紙に触れると、不思議なことに炎が紙へと吸い込まれていく。そしてスペリオンの吹き出した炎が全て紙の中に消えた。
ネコ刑事は炎を吸い込んだ紙を下に捨てる。コン刑事が紙を覗き込むと、そこには炎の絵が描かれていた。
「絵になっちゃったんすか!?」
「かなりレアな素材で作ったから、もうないけどね……本当は切り札として使いたかったけど、しょうがない……」
「でも、助かったっすよ。先輩」
火遁の術を防ぎ、ネコ刑事とコン刑事はスペリオンの方を向く。スペリオンは目を細くして首を傾げる。
「珍しい物を持っていたか。それは巻物にも使われている素材、手に入れるのに苦労しただろう」
「ああ、すっごく大変だったし、高かったよ」
五人の増えたスペリオンは懐から手裏剣を取り出す。
「では、これならどう防ぐ!!」
スペリオンは高く飛び上がる。そしてジャンプした状態から五人同時に手裏剣を投げてきた。
ネコ刑事は後ろに下がって避けようとするが、コン刑事はネコ刑事の前に出る。
「コン刑事!?」
「今度は先輩が後ろにいてください!! 今度はアタシが守るっすよ!!」
コン刑事は飛んでくるか手裏剣を素手でキャッチしていく。
「さっきと投げ方が同じっすよ。型を守るのは大事っすけど、それなら見破れるっす。それに五人に増えても動きは完璧に連動してる。勿体無いっすね!!」
コン刑事はスペリオンが投げた手裏剣を全てキャッチした。
「ほぉ、拙者の手裏剣を素手で使うとは……」
スペリオンはコン刑事の技術に感心しながら地面に着地する。コン刑事は手裏剣を床に捨てると、スペリオンにウィンクした。
「アタシには分かるっすよ。これだけ精密に同じ投げ方ができるってことは努力家っすね」
「努力家……か。拙者ができるのはそれだけだったからな」
スペリオンは顔の前で手を合わせて指を絡ませる。すると、増えていたスペリオンが一人に戻った。
「なんで分身やめたっすか?」
「どうやら分身の術の動きの連動は見破られているみたいだからな。続ける必要はないだろう」
分身の術を解除したスペリオンは小刀を構える。
「次はこの忍術だ!!」
スペリオンは左足を上げると、力強く床を叩く。すると、スペリオンの足元から水が湧き出した。
「水遁の術!!」
溢れ出した水は床に溜まり、部屋の床を1センチほど浸水させる。
「足場に水が……。コン刑事、大丈夫か?」
「はい。濡れただけでなんとも……でも、足場が悪くなったっす……おそらくそれが狙いっすよ!!」
「だろうな……。来るぞ!!」
スペリオンは二人に向かって走り出す。足元に水があるというのに、動きは鈍っていない。
それにスペリオンの走るスピードはイタッチにも匹敵している。
まずは前に出ているコン刑事に切り掛かる。
「きた!!」
コン刑事を狙って刀が振り下ろされる。しかし、ネコ刑事が割って入り、警棒で刀を弾いた。
「初撃は防いだようだが、この後はどうする!!」
コン刑事を守って警棒を伸ばしたネコ刑事。刀を弾いたは良いが、バランスを崩している。
そんなネコ刑事を狙ってスペリオンは刀を振る。
「ぐっ!?」
「先輩!!」
スペリオンは素早く三箇所もネコ刑事を切る。
「このぉ、よくも先輩を!!」
コン刑事は刀を振り終えたスペリオンを殴ろうとするが、スペリオンは素早く後ろに飛んで距離を取る。
スペリオンが一旦離れて、コン刑事は切られたネコ刑事の元へ向かう。
「大丈夫っすか? 先輩……」
「はぁはぁ……思っていたより、浅い……」
ネコ刑事の身体には切り傷があるが傷口は深くなく、軽い出血で済んでいる。
「……この相手、アタシ達だけで勝てるっすか?」
コン刑事は先程のスペリオンのスピードや忍術から、自信を無くす。しかし、ネコ刑事はそんなコン刑事の肩を叩く。
「勝てる勝てないじゃない。僕たちでやるんだ。……フクロウ警部達の道は僕たちが作るんだ」
「……先輩。そうっすね!! やるっす!!」
「そうだ!! ……さて、でもこのままじゃ厳しいのも事実だ。だから、僕も覚悟を決めよう……」
ネコ刑事はポケットから飴玉を取り出した。その飴玉には「スーパー」という文字が書かれている。
「コン刑事、僕は3分後に動けなくなる。だから、その後のことは任せても良いかい?」
「3分後? ……なんだか分かんないっすけど、任せてください!!」




