第100話 『マンデリンのアジト』
参上! 怪盗イタッチ
第100話
『マンデリンのアジト』
イタッチ、アン、フクロウ警部、ネコ刑事、コン刑事の五人は空を飛んでいるマンデリンのアジトへと突入していた。
轟美術館でイタッチとマンデリンは戦い、マンデリンの過去を改変する能力により、イタッチは敗北した。
重傷を負ったイタッチはゲンゴロウ達により、治療を受けた後、監獄へと送られた。
海上監獄ウェイルにて檻に入れられたイタッチであったが脱獄に成功。マンデリンの部下による襲撃を受けるも、撃退してアンと合流した。
その後、マンデリンのアジトである飛行船に乗り込むため、スカイツリーに登るとそこでフクロウ警部達と遭遇。協力して紙飛行機を操縦して飛行船へ侵入することができた。
飛行船に着くと、フクロウ警部はキョロキョロと周りを見渡す。
「思っていたより狭いな……」
内部は白い壁に囲まれた通路である。壁沿いの廊下なのだろうが、飛行船の広さに比べると廊下も狭く感じる。
通路が狭いということはもしかしたら内部は迷路のように入り組んでいる可能性がある。
「これからどうする?」
イタッチは四人に尋ねる。すると、フクロウ警部はネコ刑事とコン刑事の前に立ち、イタッチやアンと向き合った。
「これ以上協力する必要もないだろう。ここからは別々に行こう」
「そうだな。お前達が囮になってくれれば、俺達はマンデリンの元にすぐに辿り着けるしな」
「囮はお前だ。イタッチ!! ……誰が先にマンデリンを倒せるか、勝負だ」
「ああ、お前には絶対負けないぜ」
イタッチとフクロウ警部は背中を向け合う。そして片手を上げて二人は別々の方向へと歩き出した。
「イタッチさん、待ってください!!」
アンはイタッチの方へとついていく。
「先輩、アタシ達は警部と一緒に行くっすね」
「うん、フクロウ警部に僕達の成長を見せよう!!」
ネコ刑事、コン刑事はフクロウ警部の後ろをついて歩いた。
突入した場所から右方向へ進んだのは、イタッチとアンの二人のイタッチチーム。
左方向へと進んでいったのはフクロウ警部、ネコ刑事、コン刑事のフクロウチームという形になった。
二人が別行動を始めて数分後、飛行船内に放送が入る。
「あーあー、マイクテストマイクテストぉ〜」
それは乗り込んだメンバーの皆が聞き覚えのある声。
『ようこそ、侵入者の皆さん、私のアジトであるゴウトヘッドへ。……君達を待っていたよ』
それはマンデリンの声。どこかの施設からマンデリンが放送を行なっているようだ。
イタッチとアンは足を止めてマンデリンの放送を聞く。
『私の計画を邪魔しにきたのだろう。しかし、残念だが、君達は私の元へは辿り着けない』
マンデリンがそう言ったと同時に、二人の歩く足場が動き出す。
「なんです!?」
「アン、俺のそばに!」
イタッチはアンを抱いて周りを警戒する。しかし、敵が出てくる気配はない。
だが、マンデリンは確実に何かをした。
揺れが止まると、イタッチは周りを見渡すが変化は見当たらない。
『今、君達がいるのはアジトの外側のフロアだ。この飛行船はドーナツ状にフロアが分かれており、外側のAフロア。そしてそのAフロアのドーナツの穴の部分に、内側のBフロアという形になっている。そして今、フロア間を移動する扉の鍵を閉めた』
AフロアからBフロアへ通じる鍵を閉めたということだ。これではマンデリンの元へ移動することができない。
しかし、マンデリンはクスリと笑う。
『だが、鍵さえあれば通路は使える。三つの鍵を集めればな!! Aフロアには私の部下達を配置しておいた。私の元へ来たいのなら部下達を倒して、鍵を全て手に入れるんだな』
放送が終わり、イタッチとアンは顔を合わせる。
「イタッチさん、これからですけど……」
「そうだな、面倒だがマンデリンの手下から倒していかないといけないらしい……。だが、その前にだ」
イタッチはニコリと笑い、廊下の先を指差す。
「まずは敵に捕まった間抜けな相棒を解放してやろうじゃないか。敵が多いなら戦力が必要だしな」
「はい!!」
アンは嬉しそうに返事をして、イタッチの後をついて歩いた。
⭐︎⭐︎⭐︎
「うおぉぉぉわぁぁぁぁぁっ!?」
「なんすか、あの数!? 多すぎっすよ!!」
大勢の兵隊に追われながら走る警官達。
イタッチと別れた彼らであったが、敵の兵士達が大量に出てきて追われていた。
「って、あれ!? 警部は!?」
「え……あれ、いないっす!? いつはぐれたんすか!?」
ネコ刑事とコン刑事は走りながらフクロウ警部がいないことに気がつく。
「てか、鍵が三つって言ってなのになんでこんなに敵がいるんすか!?」
「そりゃぁ、敵の幹部が三人ってことだろ!? 雑魚兵士はいっぱいいるに決まってる!!」
「そうっすけど!? こんな大きな施設なんでそれはそうっすけど!? どうしたらいいんすか!!!!」
「はぁはぁ、もう疲れてきた……あー、やばい……」
「ちょ、先輩!! 踏ん張ってください!! せっかく乗り込んできたのにこんなところでやられちゃダメっすよ!!」
疲労からネコ刑事の足が重くなる。後ろには30人以上の武器を持った兵士がいる。
「コン刑事……はぁはぁ、少し離れてて……」
足を止めたネコ刑事は振り向いて兵士達の方へと身体を向ける。そしてポケットに手を入れた。
「先輩?」
「これはもっとピンチの時に使いたかったけど、しょうがない……」
ネコ刑事がポケットの中から取り出したのは、丸いボール。緑色で見た目はゴムで作られた普通のボールのように見える。
「くらえ!!」
ネコ刑事はそのボールを兵士達に向けて投げる。
兵士達は見た目がおもちゃのようなボールのため、警戒することなくボールを弾こうとする。
しかし、先頭にいる兵士にボールがぶつかった時、そのボールが芯の姿へと変化した。
ボールはぶつかるとその衝撃で破裂して中にあるものを飛び散らせる。それは兵士達に絡みつき、兵士達の動きを封じた。
「蜘蛛の巣爆弾……!!」
ボールが破裂して出てきたのは蜘蛛の糸。糸が兵士と壁に張り付いて、兵士達を完全に捕えた。
「すごいっす!! こんなアイテムを持ってたんすね!!」
「あれかなり圧縮してるから重たかったんだよ。とりあえずこれで軽くなったし、先に進もう!!」
兵士達から逃げ切ったネコ刑事とコン刑事はフクロウ警部を探しながら先へと進む。
そして二人はある部屋へと辿り着いた。
そこは30メートルほどの広い部屋で、和を意識した装飾で飾られている。畳に障子、襖まであり、飛行船の中には似合わない部屋だ。
「ここは……」
ネコ刑事達が周りを見渡していると、天井からスッと誰かが降りてきた。
「ククク、君達が拙僧の相手か」
「忍者!?」




