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絵画様式

 ゲセブ教では、布教の過程で取り込んだ異教の影響により宗教画や彫像などが盛んに作られていた。これは文字を持たない人々に対して布教を行ったり、神の威光を視覚的に示す装置的な役割を担っていた。

 しかし、エラローリア法王国体制下になると一転して偶像崇拝が禁じられ、それまで盛んに製作されていた宗教的な題材の絵画や彫刻といったものはその殆どが破却されてしまった。この偶像崇拝の禁止には不安定な政治体制の維持と共に識字率の向上とゲセブ教が世界各地に広まったことが関係しているともいわれている。

 以降、ソーラルドでは美術といえば、主に拝言堂やオキサアを荘厳するため金銀細工や建築装飾、その他工芸を指すようになっていった。

 では、絵画や彫刻が衰退したかというと、そんなことはなく、宗教画に代わって記録のための絵画や彫刻、プロパガンダのための歴史画、寓意的な風景画、静物画などが作られるようになっていった。

 これらは共通して『理想化を否定し、写実的に描かれている』という特徴がある。これはゲセブ教の歴史に纏わる題材が多い歴史画に描かれる聖人も同じである。

 中でも特筆すべきは歴史画である。その殆どは縦長の画面を採用しており、中心にメインとなる人物や事柄が描かれる。背景やメイン以外の人物は淡い色彩と緩やかな明暗で描かれているが、メインの人物や事柄は濃密な色彩と強烈な明暗で描かれている。メインの人物や事柄の周りには、その場面を説明するための文字が書かれており、さらに必要に応じて登場人物のセリフが金色の吹き出しの中に書かれる場合もある。

 この文字を組み込んだ絵画様式は、後にイファラルド(地球)の近代絵画と結びつき、ソーラルドに於ける主要な現代美術へと発展していった。

 現在、ソーラルドのアートシーンでは上記のものに加えて、幻想絵画や理想化された人物描写が主流となっている。ただし、政治や宗教を批判した作品は一切存在しない。その理由は命に関わるからであり、そういった表現をする美術家はイファラルドに渡り、そこで活動している。

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