フェンゲと魔獣
◯概要
フェンゲとは、魔力(魔素)が生物を介して実体化したもので、魔素生物とも呼ばれており、変化を意味するフェチーホという言葉と怪物を意味するエンゲという言葉を組み合わせた造語である。その名が示す通り、多種多様な姿形を持つ。
実体化する過程はいくつかに分けられるが、最もポピュラーなのは空気中に漂う魔力が空気と共に体内へと入り、蓄積されたのち体外へと排出されるというもので、黒いモヤのような不定形な姿形を取ることが多い。人や動植物など多彩な姿を持ち、元となった生物の行動や欲求をなぞるような行動をすることが多い。その半分近くは人畜無害であり、魔力の消耗と共に自然消滅するが、ごく稀に危害を加えるものもおり、それらが討伐対象となる。
このタイプのフェンゲは物理攻撃が効かず、魔法でしか傷つけることができない。そのため、これらのフェンゲを討伐する際は魔晶銃か魔晶剣などの魔道具を使用するのが一般的である。
また、フェンゲの討伐は各国の警察組織がその任を担うことになっており、それは地球に於いても同じである。
もう一つは、リキッドの摂取によって稀に発症する咎人病により引き起こされるというものである。これらは発症者の体を模倣、または乗っ取ることにより安定した姿形を取ることが多い。このタイプは例外なく凶暴な性格をしており、特定の縄張りを持ち、そこで人間や動物を捕食してはその血肉を喰らい、場合によっては他のフェンゲも使役することもある。また、知能もあり、人間社会に溶け込みながら様々な事件を引き起こす。
このタイプのフェンゲは、例外なく異端の力と呼ばれる不思議な能力を発現する。そのため人間に近いこの形態が一番厄介だといわれているが、物理攻撃が効くため討伐自体は容易に行うことができる。
このタイプのフェンゲも各国の警察組織がその討伐を担うが、ゲセブ教圏と日本に於いてはロアルスがその任を担っている。(日本に派遣されるロアルスはフルビルタス国王を通じて派遣されている)
◯分類
フェンゲの種類は以下の三つに分類することができる。
【下位獣型】
最もポピュラーなフェンゲで、その名の通り、獣のような姿をした個体を指す。主にソーラルドに出没するが、ごく稀に地球に姿を現す。
フェンゲとしては不安定で黒いモヤのような姿をしている。
【下位人型】
人型の個体で元となった人間の行動をなぞることが多い。地球では最もポピュラーで数が多いフェンゲで、様々な場所に出没する。
獣型に比べて非常に不安定であり、消滅しやすい。
【上位獣型】
獣型の上位種で、攻撃的な性格を持つものを指す。主にソーラルドに生息しているが、地球にも姿を現す場合がある。
また、特定の縄張りを持ち、そこに入ってきた人や動物を襲って捕食している。基本的に縄張りから出ることはない。
他のフェンゲが近づくと血が腐ったような匂いを放つ。
【上位人型】
人型の上位種で、攻撃的な性格を持つフェンゲ、又は咎人病によりフェンゲとなってしまった者を指す。
自らの欲望を満たすために行動することが多いが、ごく稀に大規模な組織だった犯罪を引き起こしたり、獣型を使役して事件を起こすこともあるが、基本的には単独で行動する。
身体能力の大幅な向上が見られないが、魔素量が大幅に増え、魔術を使うことができる。
縄張りを持たず、普段は人間として社会に溶け込むようにして生活している。
理性的に行動し、決まった周期、または計画的な事件を起こす傾向にあるが、一部には自らの犯罪を誇示したり、被害者の所持品や一部分を手元に置いておく個体も存在する。