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通貨

◯始めに

 貨幣制度は経済の発展と共に各地で自然発生的に誕生したと考えられており、古代ミル・カ・サール文明初期には主食である大麦が通貨の代わりとして用いられていたが、その後、経済の発展に伴い中期頃になると世界最古の通用貨幣と呼ばれているウィトルス銅貨が誕生した。


◯〜古代 

 ウィトルス銅貨は、大麦五〇粒と同じ重さの銅貨で表面には麦粒を表す極印が、裏面にはそれを保証するための王の肖像が刻印されていた。銅貨は王が変わると市井から集められ、新たな王の肖像を刻印した銅貨に改鋳されたが、一部は未回収のまま今日まで残っている。

 ウィトルス銅貨の誕生後も兌換用の大麦を確保するため税金の支払いには引き続き大麦が使用されていた。また、中期後半になると、賜与や贈与を目的として金貨や銀貨も作られる様になった。

 晩期になると干ばつによる大麦の不作が起き、ウィルトス銅貨と大麦との兌換が相次ぎ、国が備蓄していた大麦が尽きると、各地で大規模な暴動に発展。この暴動がミル・カ・サール古王国の滅亡へと繋がっていった。

 また、聖ゲセブが信者を獲得していったのもこの頃である。


◯古代〜中世 

 ミル・カ・サール古王国の崩壊後に成立したローリ王国を初めとしたエラローリア大陸北部の国々では銅貨が発行されてはいたが、寒冷地だったため市井の経済は物々交換が主流で、中でも主食である大麦は通貨の代わりとして用いられるほどであった。

 フルビルタス王国の前身となる南部にある国々でも物々交換が主流であった。

 やがて、エラローリア王国が成立すると貿易が行われるようになり、支払いをより簡単にするために貨幣の代わりに金や銀が用いられるようになっていった。

 その後、貿易用の銀貨が作られるようになると、貿易を介して世界中に広まっていき、やがて、銀を価値基準とするようになった。また、この頃から各地で銀貨が作られるようになっていった。


◯近世 

 近世に起きた大地震により魔界の入り口が開き、魔物が各地に出没し始めるとこれを討伐する冒険者と呼ばれる者達が現れ始めた。それに伴い各国間の人の往来はさらに活発化していくと、当時、国際通貨として信用を得ていたエラローリア銀貨とアルストゥリア銀貨が用いられる様になったが、大型で持ち運びに不便であったため、中期になると商人や冒険者の間で手形や金貨(私鋳貨)が用いられるようになった。

 しかし、贋金や金の品位を誤魔化したものなどが出回るようになり、冒険者間で争いごとも起こるようになり、後にこの問題を解決するために各国で本格的な金貨が作られるようになった。それに伴い価値基準も銀から金へと変わっていった。

 また、近世後期になると両替業を生業とする者が現れ、後にそうした者達の多くが銀行業に転じていった。


◯近代

 近代に入ると、フルビルタス王国で最初の自由鋳造・自由融解を認めた無制限法貨となるカラトル金貨の製造が開始された。カラトルとは分けるという意味で、その名の通り、一つの金塊を二五等分にしたもので、一カラトルは四ウィト(四.一四五〇ゲラン)である。金・銀貨は三種類発行されており、一/四カラトル、一カラトル、六カラトルがある。品位は金九〇に対し銀六、銅四で、金貨一枚が額面のカラトルの金と等価であった。

四分の一カラトル金貨の直径九メル 厚み一.一メル、量目は一.一八七三ウィト

一カラトル金貨の直径一五メル、厚み一.五メル、量目は四.四九九六ウィト、六カラトル金貨の直径二八.三メル、厚み二.五メル、量目は二六.六九七四ウィトであった。

 以降、それを基準とした重さの金貨が各国で作られるようになり、銀貨は金貨の100分の1の価値とされた。この時は銀貨や銅貨はカラトルではなく、質もばらつきがあった。


◯現代

 その後、世界が二つに分かれると、ソーラルドは銀本位制に復帰したが、一方でイファラルドは金本位制を維持していたままであった。

 各勢力圏の通貨は、単位や額面や大きさは統一されているものの、品位にはバラツキがあった。

 ソーラルドの貨幣は、本位貨幣でカラトル基準の銀貨であるソルストとその下位通貨で銅貨であるカルスで、エラローリア法王国の豊富な銀資源と高い加工技術に裏打ちされた銀貨はその品質・純度の高さからグレイシルストと呼ばれ、区別されている。

 一方、イファラルドの貨幣は本位貨幣でカラトル基準の金貨であるエギリルとその下位通貨で銀貨であるギムアスと補助通貨で銅貨であるタルアで、製造方法も打刻から鋳造に変わっている。

 特にオルキス帝国の中心である皇帝領が発行するものは純度が高く、見た目も美しいことからミンドリアスと呼ばれ、区別されている。

 また、世界は二つに分かれたが貿易は続けられていたため、国際決済用に純金製のカラトル金貨が作られており、カラトル金貨という場合はこちらを指す。

 

◎通貨について

 現在の通貨は、金貨、銀貨、銅貨の3種類で、基本的には本位貨幣と下位通貨又は補助通貨の組み合わせである。

 

◯硬貨

 硬貨の場合、表には額面を表す刻印が、裏には各国の紋章、或いはその国を代表する人物の肖像が刻まれている。図柄は額面のみ変えていて他は同じ場合が多い。

 現在の金銀交換比率では、金一カラトル(約四グラム)は銀二五カラトル(約一〇〇グラム)と等価とされており、銅は二五〇カラトル(約一〇〇〇グラム)で金一カラトル、二五カラトルで銀一カラトルと等価とされている。(ただし、イファラルドの銅貨は補助通貨の為、一種類しか存在していない)

  

◯手形紙幣

兌換紙幣とも。商人や自治体、国などが高額決済用に用いるもので、それ自体が額面を表す通貨となっていて、指定された銀行で兌換するか、債権市場で売買して換金するかの二通りがある。当然ながら信用のある人物しか発行出来ず、不祥事を起こした場合や国の場合には本位貨幣の改鋳が行われるとその価値が下落する。


◎各国通貨(量目、品位は基準貨幣)

 

【イファラルド】

◎エギリル(本位貨幣・金貨)表・各国王の肖像と名前/裏・額面とオルキス大帝騎馬像 品位九二

四分の一エギリル(四半金貨) 量目一.〇六二ウィト 直径八.七メル 厚さ一メル

一エギリル 量目四.三八一三ウィト 直径一五.五メル 厚さ一.三メル

五エギリル 量目二一.六九七七ウィト 直径二三.五 厚さ二.八メル

六エギリル 量目二六.五二九六ウィト 直径二七.五メル 厚さ二.五メル

 

◎ギムアス(銀貨)表・各国王の肖像と名前/裏・額面とオルキス大帝騎馬像 品位八八

四分の一ギムアス(四半銀貨) 量目一.一三〇六ウィト 直径一〇メル 厚さ一.四メル

一ギムアス 量目四.五二二五ウィト 直径二〇メル 厚さ一.四メル

五ギムアス 量目二二.五〇六八ウィト 直径三一メル 厚さ二.九メル

六ギムアス 量目二七.二〇五三ウィト 直径三三.五メル 厚さ三メル

 

◎タルア(青銅貨)表・オルキス三世の肖像と名前/裏・額面とオルキス大帝の坐像 重さ五.一四五五ゲラン 直径二〇メル 厚さ一.五メル


【ソーラルド】

◎ ソルスト(本位貨幣・銀貨)表・各国王の肖像と名前/裏・額面 品位八八

四分の一ソルスト(四半銀貨) 量目一.一三〇六ウィト 直径一〇メル 厚さ一.四メル

一ソルスト 量目四.五二二五ウィト 直径二〇メル 厚さ一.四メル

五ソルスト 量目二二.五〇六八ウィト 直径三一メル 厚さ二.九メル

六ソルスト 量目二七.二〇五三ウィト 直径三三.五メル 厚さ三メル


◎カルス(銅貨)表・各国王の肖像と名前/裏・額面 品位八八

四分の一カルス(四半銅貨) 量目一.一四六二ウィト 直径一〇メル 厚さ一.七四メル

一カルス 量目四.五八七五ウィト 直径二〇メル 厚さ一.七四メル

五カルス 量目二二.九七一三ウィト 直径三三メル 厚さ三.二メル

六カルス 量目二七.四五五六ウィト 直径三五メル 厚さ三.四メル


◎所得など

 ※記載がない場合は、金銀貨は一カラトルとする。

 ソーラルドとイファラルド、両勢力圏では国ごと、地域ごと、職種(身分)によって収入の差による経済格差が生じておりが生じており、一概には言えないが、都市部と漁農村部の間では平均して一〇〜二〇倍程度の差が、聖職者と最底辺であるグラドの間には約一〇〇〇倍以上の差が生じていると云われている。(イファラルドでは法王及び聖職者が皇帝に置き換わっている)

 百姓の平均月収は銀貨二〇から五〇枚前後、平均年収は銀貨二四〇から六〇〇枚、金貨換算で九から二四枚前後で、漁師の平均月収は銀貨二〇から四〇枚前後、平均年収は銀貨二四〇から四八〇枚、金貨換算で九から一九枚前後といわれている。

 それに対して都市部で暮らす一般市民の平均月収は銀貨一五〇枚から四〇〇枚前後、平均年収は銀貨一八〇〇枚から四八〇〇枚、金貨換算で七二枚から一九二枚だといわれている。(だだし、都市部では魚農村部と比べて物価が高騰する傾向にあるため、それに比例して賃金が上がっていることを考慮しなくてはならない。相対的に見れば)

 冒険者や日雇い労働者の収入は仕事や地域によって異なるが、だいたい四半銀貨(約一グラム)二八枚から銀貨二五枚前後、金貨換算で四半金貨一枚から金貨一枚で、月収ではなく日給である。旅芸人は銀貨一〇〇枚程度、金貨換算で四枚程度だといわれている。

 また、暗殺の依頼料は銀貨ではなく金貨で支払われることが多く、金貨二〇枚前後が相場である。この内、仲介者であるギルドの取り分が三割、一割がコミュニティに支払われる報酬(ロアルスの場合のみ)、残りが暗殺者の取り分となる。ギルドを通さない者や格安で暗殺を請け負う者も多く、そういった者達の依頼人はギルドを通せない依頼をする者であることが多い。

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