警察組織について
科学の発展と共に神の存在を否定する者が現れたとはいえ、この世界では未だに神の存在を信じている者が大多数を占めている。それは司法制度にも影響を与えている。
各勢力圏における治安維持組織は以下の通りである。
◎ソーラルド
ソーラルドでは、山賊や盗賊による襲撃や魔法を使った犯罪、さらにフェンゲと呼ばれる怪物による事件などが起きており、それに対抗するために魔素を多く持ち、高等魔法を扱うことができる者達で結成された警察組織に準じた治安維持組織が存在している。
組織には、隊長(団長)、副隊長、警部、警部補、巡視長、巡視の六つの階級が存在する。
◯エラローリア法王国、フルビルタス王国
ゲセブ教圏では、ゲセブ教が法律の制定や改正、及び司法実務全般と治安維持を担っている。そのため、法律や司法制度はゲセブ教の教義や思想と深く結びついている。
法律の制定や改正はコラべと呼ばれる大伝言師長を中心とするゲセブ教の中枢機関が担い、裁判などの司法実務と治安維持は各教区が担うことになっている。
ゲセブ教の教義では殺生は禁忌とされているため、死刑制度は存在せず、最高刑は終身刑である。また、護法騎士は犯人を傷つけないようにするため、通常の武器ではなく魔道具を用いた特殊な武器を使用しており、この武器は冒険者や山賊、盗賊が使うものと同じである。
実質的に治安維持は、各教区に配置されている護法騎士団と呼ばれるゲセブ教の下部組織が担っており、その業務は犯罪捜査から容疑者の身柄の拘束、犯罪組織の壊滅など多岐にわたる。そのため、人口の多い都市部などでは手が足りなくなることが多く、ギルドを通じて業務を冒険者に外部委託する場合もある。
ゲセブ教圏の司法は、代弁者聖ゲセブが神をその身に下ろして書いたとされる『裁きの板』に基づいて制定された法典を元にしており、裁判などでは伝言師が法典に基づいて刑罰を与えるか、赦しを与えるかを判断するというものである。その為、現世で裁かれることのなかった罪は天に召されたのち神によって裁かれるというゲセブ教の考えが色濃く反映されており、神の前で自らの罪を告白する告解という行為や神に赦しを乞う贖宥状の有無によって刑罰の重さが決まることがある。
しかし、中にはその制度を悪用して伝言師に金を渡して贖宥状を発行してもらい、裁判を有利に進めようとする者も少なからずいる。
こうした背景もあってか、ゲセブ教圏では、暗殺者や暗殺を仲介するギルドが存在が黙認されている。
◯卯下の猟犬
卯下の猟犬とは、ゲセブ教の最高指導者であるエラローリア法王直属の暗殺部隊のことであり、教義に反した者の殺害や諜報活動を担っている。構成員はロアルスで占められている。
◯グロム王国
グロム王国はゲセブ教圏であるが、特例として龍騎士団という軍隊による治安維持が認められている。(その代わりグロム王国はゲセブ教圏全体の安全保障を担っている)
◯パラティア王国
ラトルマスティ教が国教のパラティア王国は、ゲセブ教圏と似た司法制度を持っている。
治安維持と法律の制定、及び司法実務全般は、最高指導者であるアバトルノを長とする治安維持組織が担っており、捜査や裁判は全知全能の神であるラトルマスティを感得した開祖アースラ・ラホティの定めた法典に基づいて行われている。
◯ルネベネリア共和国
ルネベリア共和国の司法制度は、他の国とは異なり宗教色のない民主的なものとなっている。
治安維持は閣僚である警視総監を長とする警察が担い、裁判をはじめとした司法実務全般は国民に選ばれた司法長官を長とする司法庁が担っている。なお、閣僚である法務大臣を長とする法務省は、法律の制定や運用、改正の議論に従事しており、司法実務全般に介入することはない。
◎イファラルド
イファラルドには、魔法は存在するが魔術や魔技は存在しない。それは警察組織も同じである。
◯オルキス帝国
オルキス帝国の司法制度は、於ける司法と警察組織は帝国軍の特務機関という扱いになっており、首都及び地方の治安維持に従事している。
組織は首都ミンドリアンを管轄する中央司法庁と中央警察庁、各地方を管轄する地方司法庁と地方警察庁に別れている。前者は警視庁や検察庁に、後者は県警本部や地方検察庁に相当する。
裁判官や検察官、警察官は公務員ではなく、予備軍人という扱いであり、有事や訓練の際には召集に応じなければならなず、服務規程違反の場合は軍法会議に掛けられる。
裁量は皇帝より信任された警視総監に一任され、予算は皇帝の承認を受けた上で国防予算から出される。
階級は、警視(本部長、支部長)、警部(課長以上の責任者、または部長以上の責任者)、警部補(課長以上の責任者)、警邏主任(班長に相当)、巡視長(刑事に相当)、巡視(巡査に相当)の六つである。
宗教色は薄め。
◯ギムウェリア国
自警団が存在する。
◎傭兵
両勢力圏では、個人や集落などのコミュニティが特定の目的のために冒険者を雇うことがあり、そういった者を傭兵と呼んでいる。
◎暗殺者
暗殺者は、大きく四つに分けられる。
まず、一つは卯下の猟犬。
二つ目に、フルビルタス王国王室騎士団暗殺部隊。
三つ目は、ギルドを介して請け負う一般の暗殺者。
そして、最後は犯罪組織に雇われた用心棒兼任の暗殺者である。