ラトルマスティ教
◎ラトルマスティ教(唯一神教)
ゲセブ暦一三五九年頃にゲセブ教とクルエン教に影響を受けた開祖アースラ・ラホティが土着の精霊信仰を基に立教したパラティア固有の宗教。全知全能の神であるラトルマスティを崇拝する唯一神教である。ラトルマスティとは、パラティア語で『光り輝く者』という意味。(ラトル=光、マス=輝く、ティ=人、者)
最高指導者の称号はアバトルノで、その下に補佐役であるクランノという役職がおり、そのさらに下に一般聖職者であるマンノがいる。アバトルノは、徳の高いクランノの中から神によって選ばれる。任期はなく終身制である。
崇拝対象はラトルマスティの像である。金色に輝く一五面六臂の両性具有の体(全裸。丸みのある張った乳房と女性器、長い男性器を持つ)に、左から子供、若い女、年老いた男の三つの顔を持つ姿で表され、顔は過去・現在・未来を表しているといわれている。高く掲げられた二本の手には月と太陽を象った円形の板を持っており、これは月と太陽を崇拝していた土着の精霊信仰の名残りといわれている。他の手に悪魔を粉砕する降魔の棒と悪魔を切り裂く降魔の剣、死者を導く楽器を持ち、頭には世のあらゆるものを見通すための一二面の顔がついており、やや前傾姿勢で雲を象った台座に乗っている。
各家庭の祭壇にはラトルマスティの像と共に先祖の名前が書かれたイハウディと呼ばれる木札と一緒に祀られており、先祖供養の祭りの際にはイハウディを拝みながら祈りの言葉を捧げる。
後にゲセブ教やクルエン教もラトルマスティ教の先祖崇拝を取り入れており、ゲセブ教では毎年七月に、クルエン教では毎年八月に先祖供養の祭りが行われている。これは、仮装した子供達が各家庭を巡り、供養のための踊りを舞うというもので、ラトルマスティ教の影響を受けたものであるとされている。
【ラトルマスティ教教義】
ラトルマスティは、万物の中心であり、我々が修行後に行き着く楽園であるウラウゴウを統べる尊い存在である。
人は地上に生を受けた瞬間からラホティ(悟りし者)となるための第一の修行が始まる。
この世のあらゆる物事は全て修行であり、無駄なものは何一つなく、無意味な事も無意味とは何かという答えを得るための修行である。
死後、人々はラトルマスティのもとで第二の修行を積んだのち、ウラウゴウで新たな生を受けるのである。
地上での修行とはラトルマスティが定めた戒めを守ることであり、死後の修行とは地上にいる者達が死者を弔うことである。
【グラシイ(神戒)】
みだりに殺生をしてはならない。
みだりに酒を飲んではならない。
みだりに男女の交わりをおこなってはならない。
先祖を粗末に扱ってはならない……等。