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【転1】やられた湊、やった周平。やる気になった湊、やっちゃった周平

少しだけ真面目に戻します。

まとめていかないといけないですがちゃんと書けているか不安です。(-_-;)



 湊視点


 やーらーれーたーという気分。

 マズいというほどではないが場の雰囲気を持っていかれたのは少し痛い。テンションの上げを全部あの具視ヘアー軍団に握られてしまった。


「たぶん友人君が暴走しているんだろうけど」


 さっき六組の方を見たら眞子ちゃんは顔を反らすし周平は俺じゃないと顔の前で手を振っていた。ということは友人君が自分の判断で場のかき乱しをやっているとまでは思えないから後の具視ヘアー軍団と調子に乗っているのだろう。


 障害物競走では網に具視ヘアーを絡ませて『ああっ!採れたてのお魚さんになっちゃうわっ!』とか言って全員を笑わせて、借り物競争はもっと酷かった。あの具視ヘアーが『六号っこの六号のヘアーに帽子をくださいなっ!』と叫びながら頭部を突き出しながらの保護者席に特攻、保護者達が笑い過ぎて死にそうになっていた。


 テンションの上げ下げを敵に握られるのはこちらのモチベーションの最大値まで持っていくことが出来なくなるということ。特に私達一組と勝ちあった時に六組は仕掛けてくる頻度が多かった。


「ひぃっ、二人三脚のと、具視がっあははははっひぃっひぃっひぃっ」

「落ち着て喜多園さん、深呼吸、深呼吸だよ~」


 そして私の参謀の喜多園さんのツボに具視ヘアー軍団が入ったらしく、過呼吸が止まらない。喜多園さんの競技は団体戦一つだけだから大丈夫、とはいかない。

 私がクラスの全体の大まかな指示をして、喜多園さんが細々と指示を出す。そして上がって来た情報、問題、結果をまとめて私に伝えてくれていたのが完全に機能不全におちいった。

 おかげで私は応援席から動くことが出来ない。一番連絡の伝達が出来るのが応援席なのだ。二、三年生との連携も取りたかったのにそれもままならなくなっている。


 私が前に出て鼓舞すれば全てとは言わないが場の雰囲気で一組だけでも切り離せるのにクラスの指示をするために応援席から離れられない今の状態ではそれも出来ない。


 まあそれでもクラス別の点数を見ると一組は勝っている。点差が二位以下とそれほど開いてはいないけどさすが一組は全学年が優等生が集まったクラスといったところか。


 周平はたぶん少しでも場の雰囲気をかき乱すのが作戦だったんだろうけど友人君の暴走のおかげで我が一年一組の情報伝達部分が最悪な事になっている。

 やはりあの二人が組むと脅威だ。

 周平の短期の人心掌握が半端ないし、友人君の暴走が周平にだけに利益をもたらしている。


『そんなことない。損害超酷いよ』


 ん?何か聞こえたような。


 眞子視点


 お昼休憩になって、湊ちゃんとは一時休戦。

 勝負と私生活は別ということ。

 いつもの四人でと思っていたら参加人数が増えていた。


「お、この唐揚げ美味いな」

「それ下味を冷凍保存する前に漬けたんです」

「ああ冷凍があったな。放課後だけで作ろうと考えていたんだが、もっと最初に下味を付ければよかったんだな」


 上村先輩が調理部の先輩達を引き連れてやって来て周平君と料理談議している。さすがに上村先輩も体操服の上にエプロンは着けていない。入部して友人君が速攻にファンシーエプロン着けているのかを聞いた。あの遠慮のなさは少し見習いたい。

 理由は手芸部の部長が彼女だからとのこと、最初は抵抗したが今は慣れてしまったと遠い目で上村先輩は呟かれた。

 調理部先輩達からラブラブと密告されていますごちそうさまです。


「そろそろ具視も飽きられてきたよな」

「綱引きで先頭にいてもプッと苦笑されるだけだったし」

「具視ヘアーも卒業か~」


 こちらは友人君率いる具視ヘアー軍団が自分達の終焉が近づいているのを嘆いていた。所詮は一発屋、盛者必衰には逆らえないみたいで最後はどうするかを話し合っている。もう今バリカンで刈り上げた方がいいんじゃないかな?


 私は湊ちゃんとあともう一人と食事している。ちょっと私達は集団で食べている場所から離れて食べている。


「アレにはやられたよ」


 具視ヘアー軍団を見て苦笑する湊ちゃん。

 はい自分達が呼ばれたと思って構えようとしない。調理部の女性先輩の作ったニンニクたっぷり唐揚げでも食べていてね。男性は好きでしょうそういうの。


「・・・眞子ちゃん染まったよね」

「やめてそんなこと言わないで、泣いちゃうよ」


 湊ちゃんが私を可哀そうなものを見る目で見てくる。私はまともなの、あんな笑いを取るために自分を捨てるようなことは出来ないの。


「「「楽しいよ?」」」

「キッチンバサミでその髷切っちゃうから」

「「「キャーッ!ウチの坪川様がご乱心よ~っ」」」


 クッ何しても喜ぶ変態共め。


「眞子ちゃんごめん、その変態達は喜多園さんに刺さるから」


 湊ちゃんの横には喜多園さんが前かがみで蹲っている。湊ちゃんがその背中を擦っていた。最初にあった時は物静かそうな人に見えたのに今は笑いを堪えるだけの存在になっている。


「く、ふふふふ。ご、ごめんなさい」


 喜多園さんは上半身を起き上がらせるとその両目部分にはハチマキが巻かれている。具視ヘアー軍団を見ないための対策らしいが、すでに言葉に反応してしまうぐらいに変態の姿が脳に焼き付いてしまっているみたい。

 可哀想すぎる。


「周平は後でお仕置きする」


 ボソリと呟く湊ちゃん。目が座っている。うん、私も協力するよ、友人君の方は私に任せて具視ヘアー軍団の本を描くから。


「食べてるか?」


 上村先輩が私達のところにやってきた。その手にはサンドイッチとフルーツを盛り合わせた紙皿が載っている。


「そこの子に食べさせてやってくれ。一口で食べれるサイズに切って爪楊枝を刺してあるから」

「先輩・・・」


 上村先輩の優しさにキュンとする。この人周平君のまともバージョン上位互換ではなかろうか。


「「ありがとうございます」」


 ペコリと頭を下げる湊ちゃんと喜多園さん。目つきの悪い先輩からフルーツを受け取る目隠し状態の喜多園さん。犯罪臭がプンプンしている・・・はっ、六組の影響を受けすぎっ!私はまとも私はまとも。


「しかし時東は凄いな」


 上村先輩は座って私達の輪に加わる。

 今日の昼食は調理部主催の合同昼食会だ。知り合いがいるなら連れてこいと上村先輩に言われたので六組からは貢献と損害を出した具視ヘアー軍団を、湊ちゃんは参謀の喜多園さんを連れて来たのだけど、喜多園さんの天敵具視ヘアー軍団がいたのが運の尽き。

 あといつの間にか梅田先生は調理部の中心で凄い勢いで食べている。たぶんここが今日一番の餌場とわかって来たのだと思う。でも体重は大丈夫なのだろうか?お顔はかなりふっくらしている。


 本来なら一年が駆け回らないといけないのだけど友人君は具視ヘアー軍団の統率、私と湊ちゃんはハチマキ目隠しの喜多園さんお世話することになり、周平君だけが動き回っている。私達で慣れている周平君は合間合間に色々食べているみたいだから平気そう。


 でも上村先輩の言っていることは多分別の事だ。

 周平君と湊ちゃんの勝負は上村先輩も知っている。調理部で話したのもあるが。


「ええあの軍団には驚かせられましたが、まあ私の勝ちは揺らがないですけどね」


 湊ちゃんが胸を張る。

 あ、まだ湊ちゃんは気づいていないんだ。

 上村先輩の表情からして私と同じ気持ちだと思う。


「?どうしたの二人共」

「うん・・・」

「あ~もう昼過ぎたからいいだろう。時東ちょっとこっち来いーっ」


 上村先輩が周平君を呼ぶ。


「うぃーす、湊ちゃんと食べてるか?」

「うん食べてるよ。このポテサラ周平が作ったやつでしょ?」

「当たりだな。あれだけあってよくわかるな」

「愛の力?」


 私は砂糖を吐いている上村先輩と目が合った。


(あれはなんだ?)

(いつものことです)

(苦労しているんだな)


 なぜだろうここ最近で一番心が通じたのが上村先輩とは。


「んんっ、穂高は完全にお前の作戦に嵌まっているぞ」

「ん?」


 湊ちゃんが上村先輩の言葉に首を傾げる。


「ああ、具視ヘアー軍団がカモフラージュになりましたからね。それがなかったら湊なら気づいたはずなんですけどね」

「んん?」

「お前って革命家の資質があるよな」

「面倒そうですからしませんよ」

「???」


 湊ちゃんが二人の会話についていけてない。

 それに気づいた周平君が湊ちゃんに向き直る。


「湊、まだ一組が一位だけど他のクラスとあんまり差は広がってないよな」

「まあそうだね。予想よりは」

「俺と湊の勝負は湊のクラス一組と俺のいるクラスの六組の点数での勝負だ。だから今開示されている点は全学年合わせた点数だから意味はないよな」

「うんそうだったね」

「俺達一年が取っている点数はわかっているか湊?」

「っ!?」


 湊ちゃんが後ろに置いていたノート、たぶん自分のクラスメイトの順位が書いてあるのだろう。そして湊ちゃんは生徒会に伝手を作っているから点数もわかるはずだ。


「そのノート自分達の順位しか書いてないだろう?それじゃ意味ないぞ全クラスの順位を見ないとな。へい眞子さん」

「はいはい」


 私が持っていたノートを湊ちゃんに渡す。ノートには全クラスの順位が書かれている。

 それをじっくり読む湊ちゃん。うん、周平君は確実に悪魔だよね。


「ほぼ全クラスの順位の人数が同じ・・・」

「別に俺達六組が一組に勝たなくてもいいいからな、他のクラスにも声を掛けて優勝候補の一組を泥沼の試合に巻き込もうぜと梅ちゃん先生を犠牲に交渉した」

「はは、雨乞い2.14の足の引っ張り合いだね・・・」


 湊ちゃんが渇いた笑いをした。


「全員の足の速さがわかればあとは振り分けだしな。六組の生徒は一組の生徒に負けてるけど他のクラスは一組に勝っているだろう?普段の湊なら気づくから具視ヘアー軍団を作ったんだが、まさかここまで嵌まるとは思わなかっけど」


 参謀の喜多園さんが完全に使いものにならなくなってますからね。

 周平君がしたことは最初から突出した一人勝ち確定は許さない。みんなで仲良く泥沼の中からのスタートだということにしたのだ。おかげで個人競技はほとんど差はついていない。ついている部分は借り物競争など不確定要素あるから。


「まさか一学年全部を・・・」

「一学年じゃなくて一組以外の全学年全部を巻き込んだんだよ、こいつ」


 上村先輩が湊ちゃんの発言を訂正する。


「時東は俺を介して三年に話を通した。生徒会長、書記、そして穂高お前らがいる一組連中はズルくない?とな。たしかにそうだよな誰がどの競技のどの順番が先にわかるんだから有利だよな。それに加えて三年に強制で呼ばれて後輩に指図されて不機嫌の二年には梅ちゃんと調理部で作った菓子を生贄にして機嫌を取るし。穂高、お前の彼氏はいったい何者なんだ」


 そう周平君は私達一年六組を鍛えることはしなかった。ただ全学年一組以外を泥沼を作るための生贄にしただけ。ただ学校のアイドル梅田先生への餌付け体験と、ほぼ毎年優勝を獲っていく一組への妬みを利用しただけで、対全学年一組用泥沼を作り上げた。

 その中には副会長もいて会長、書記、湊ちゃんが結託しているのを見ていて歯がゆい思いをしていた。周平君の悪魔の囁きと上村先輩の調理部部長としての信用で上手く絡めとって一組の出場競技者の情報を流してもらった。


 あとは一年六組でパズルだ。個人競技の点数の平均化を生徒一人一人の記録を見ながら作成してもらったのである。私はそのまとめ役を周平君に押し付けられた。確かに学級委員で適任だろうけどしばらくはパズルを見たくない。

 おかげで六組の一組への感情は妬みというより恨みに近いかもしれない。準備期間の殆どが他のクラスの競技を考えるだけだったから。


「具視ヘアー軍団がここまで凄かったのがわかってたら一年だけですませてよかったかもと思っている」

「いや俺達三年も毎年優勝する一組には思うところあったからな、たまには負けたところを三年二年の連中も見たかったからお前の作戦に乗ってくれたんだろうよ」


 ははははと周平くんと上村先輩が笑う。


「ああ私は自分で勝負を仕掛けておきながら体育祭なのに一組と六組という枠を作ってたんだね」


 湊ちゃんが手で顔を隠しながら喋る。

 ゾクリ、腕に鳥肌が立った。

 上村先輩も腕を擦っている。


「まあそうだな。苦労したぞ見つからないようにするの。梅ちゃんがふっくらしていくのでバレると思ったし」


 周平君は平然としている。


「それじゃあ気づけないかな?私もまだまだだね。もっと周りを見ないと」

「おいおいこれ以上、上を目指されたら俺は困るぞ」

「周平、私を上回ったままは許さないよ?よし、喜多園さん戻ろうか。上村先輩ごちそうさまでした」

「とても美味しかったです。あ、この紙皿は貰っていきます」

「お、おう」


 湊ちゃんは顔を私達に見せないまま喜多園さんの手を引っ張り足早に去っていった。

 二人が去ると寒気が無くなる。


「二人も食べないと変態軍団が全部食べちゃいますよ」


 平然と私達に食べることを勧める周平君。


「お前自分の彼女があんな雰囲気出してて平気なのか?」

「別にですかね。ただ本気になっただけでしょう。ああ見えて負けず嫌いですから、上村先輩のクラスも頑張ってくださいね」


 へらへら笑う周平君。

 ここまで全校生徒どころか教師、保護者らを引っ掻き回したトリックスターの本性を思い出した。


【時東周平は穂高湊のことしか見ていない】


 これは秋夜姉さんが教えてくれたこと。中学生の出来事も聞いてたからそうかなとは思っていたけど。秋夜姉さんは普段はいいが、責任があることを周平君に任せるときは注意したほうがいいと言われた。

 周平君は湊ちゃんの為に平然と全てを裏切ると。


「まあ湊もたまには本気出せてスッキリするだろうな」


 今回の体育祭は裏切ってはいないけど途中でバラして湊ちゃんの本気を出そうとしていた。たぶん湊ちゃんが自分に制限を掛けて勝負しようとしていたから制限を取っ払って全力で遊ばせたかったのかもしれない。

 学校の全てを巻き込んでだけどそれに乗ったのは私達、結果もギリギリ勝てる要素を残しているのが憎らしい。


「午後は団体戦で学年単位で点数になりそうなのは学年別対抗リレーしかありませんよ。そして私達六組はリレーで一組に勝たないと負けですからね」


 ピタリと周平君が止まる。


「マジ?」

「マジです。午後はほとんど余興の出し物か学年混合ばかりですから」


 周平君が空を扇ぎ手で顔を隠す。


「さらば俺の貞操よ・・・」


 雨乞い2の時から思ってましたけど詰めが甘すぎませんか周平君。


喜多園「目が~目が~」

具視軍団「「「くっ、やるなっ!」」」

上村「お前ら毎回こんなのやってんのか・・・」

眞子「私は違います」

具視軍団「「「そんな坪川様っ!?」」」


三回書き直しました(;´д`)

ボケ倒すかシリアスにいくか悩んでいたら、マジモードの湊が出現。日照り神様モードではない湊本気モードです。

たまにはぶつかり合うのもバカップルかなと。


周平は湊が能力を制限しながら体育祭をおこなっていたのに気づいています。だから全校生徒を沼に沈めて湊の本気を出させる生け贄にしました。


周平は頭はそこまでいいとはいえませんが、湊のために平気に人を犠牲にできるので大胆な計画をたてられます。あと悪巧みは友人と経験しているので。

なので詰めは甘くて今回は本気で貞操の危機になっています。

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