閑名家二日目の予定決め
眞子視点
「えへえへ、うふふふ」
湊ちゃんがおかしくなった。
いやおかしくなったというのは本人に悪いかな。正しくは乙女になってしまって意識が遠いところに行ってしまっていた。
学校で見る中性的で女子生徒に頼られる凛々しい穂高湊ではなく、私達四人でいるときのいたずらっ子の湊ちゃんでもない。
周平君に恋する女の子がそこにいた。
頬に手を当てリズムよく身体を横に揺らしいる。そしてときどきおでこに手をやり、えへえへと笑っていた。
好きになるのはこんなにも人をころころと変えることができるのだろうか、恋したことが無い私にはわからないけど親友が幸せそうなのは嬉しい。でも
「さすがに一時間も見させられると飽きるな」
秋夜姉さんがお茶を飲みながら呟いた。うん私もそう思います。
私達三人は周平君が作ってくれた朝食を台所にあるテーブルで食べることになった。
ベーコンが乗ったオムレツ、揚げたポテト、一人用に分けてあるサラダ、ロールパンと厚めの焼かれた食パンにジャムとバター、オニオンスープも用意してあり、シンプルなのにかなり美味しかった。デザートはカットフルーツヨーグルトがけ。食パンは多く食べる秋夜姉さんのためと気づくと周平君のそつのなさに凄いよりも恐怖を覚えてしまう。
そのちょっと高級なホテルの朝食を食べている前から湊ちゃんは恋する乙女状態だった。ただ朝食だけはボーとしていても食べていた。たぶん周平君が作ってくれたからだと思う。
その食事も終わり、今はお茶を飲んでゆったりしているのだけど、まったく湊ちゃんが戻ってこないのである。
何度か声を掛けたけど反応は無し。それだけ周平君からのキスは湊ちゃんにとって衝撃だったみたい。
「埒が明かんから俺達で今日の予定を決めるぞ眞子」
「え、でも・・・」
そんな私みたいなのが勝手に決めてもいいだろのだろうか。まだ閑名家に来て一日も経っていなのに。
「惚けているのが悪い。あと気を使わなくてもいい。というのはさすがに無理か、今はこの家ではそういうもんだと思っとけ」
口は悪いけど秋夜姉さんは私の事を気を使ってくれている。昨晩も二人で話したりしたけど決して悪い人ではない。むしろ人への気遣いが出来る人だ。とても友人君のお姉さんとは思えないと言いたいけど、男口調で行動がおおざっぱなので人を引っ掻き回しているようにしか見えないのでやはり兄弟なのだろう。
「いくつかはもう決まっているから、あと開いている時間の穴埋めだな」
「はい」
「まず決まっているのは午後というより夕方だな。子供向けに道場を開いているから俺はその時間にはウチにいなきゃならん」
「あ、やっぱりしているんですね」
道場のすみに子供用の道具があったから少し気にはなっていた。
「変な家族だからな。地域にボランティアして点数を稼がんと孤立しかねんから仕方なくな」
ちょっと遠い目をする秋夜姉さんは苦労したのだろう。おそらく槍ジジイの事が大半だと思う。昨日で十分に知ることが出来た。友人君は外に向けての対応は学校と同じようだから多分大丈夫かなぁ?ご両親は会ったことが無いからわからないけどまともな人と期待しよう。じゃないと秋夜姉さんが可哀想すぎる。
「興味があるなら見とけ関わらん限り見ないもんだからな」
「はいじっくり見学させてもらいます」
いい返事だと笑う秋夜姉さん。
あとで湊ちゃんに一緒に見学するのをお願いしよう。
「それ以外は特に決まってないがなんか要望はあるか?」
「あ、それなら途中に勉強会を入れてください。それを名目にして宿泊の許可が下りたのでちゃんとしないと。それに宿題もたくさん出てますから友達として学級委員長として問題児二人にはやってもらわいといけないんです」
周平君は湊ちゃんがいればしそうだけど、たぶん友人君は宿題をしないと予想している。だから湊ちゃんと勉強もしようと相談をしていたのだ。ただ現在遠い人になっているからあとで話し合わないといけない。
「眞子はしっかりしてるなぁ。なら子供たちがくる前の午後だな弟も逃げねえように俺が監視しといてやるから」
「それ本当に助かります」
前に湊ちゃんのウチでしたとき友人君は最初は真面目にしていたけど途中から何かにつけて中座しようとしていたのだ。それを確実に阻止してくれる存在がいるなんてなんて素敵なんだろう。
「やっぱ眞子はウチにくる女だよなぁ」
「ん、何か言いました?」
小声で聞き取れなかった。
「あいつらにとって眞子はいい友達だと言ったんだよ」
「ええーそんなことないですよ」
照れちゃうなあ。
「午後は決まったな。晩飯あとはその時の気分で決めるとして、今から昼まで何するかだ・・・女三人で買い物でも行くかぁ」
秋夜姉さんは数秒で決めていく。
「あの買い物に行くほどお金は持ってきてないんですが」
私も湊ちゃんもこの前のときに少し使い過ぎたから、閑名家に来ることになったのだ。
「心配すんな。三人で見て回るぐらいだ飲み物ぐらいは姉の俺が奢ってやるさ」
ニヤリと笑う秋夜姉さん。ちょっとキュンとしちゃう、この人男性だったら凄くモテるんじゃないかな。
「よし大体は決まった。後はこの色ボケをどうにかせんといかんな」
秋夜姉さんが見るのは夢うつつの湊ちゃん。本当周平君は湊ちゃんの心を奪っていったね。
「朝風呂に入ってシャンとさせるか。眞子ついてこい一緒に入るぞ」
「は、はいっ」
秋夜姉さんは台所に来たときと同じように湊ちゃんの襟をつかんで持ち上げてお風呂場の方に向かい、私も後を付いていく。
閑名家のお風呂は大きめの檜風呂なので昨晩入浴したときは凄く気持ち良かった。それを朝から入るのはなんて贅沢なんだろう。
親猫に咥えられて運ばれているようにみえる湊ちゃんと親猫のような秋夜姉さんの後ろを私はついていった。
湊「えへへ」
秋夜「乳揉んだら治るか?」
湊「フギャーッ!!」
眞子「朝からそれは・・・」
秋夜は親猫、眞子はちょっと年上の姉猫、湊は妹子猫です。秋夜がいるとき限定ですが(^^)
男どもがいないと書くのが楽しいです。(*´ω`*)
秋夜は眞子を友人の嫁候補に狙ってますね。眞子本人は秋夜にときめいてますが( ̄▽ ̄;)
このあとお買い物回を書くか省略して午後まで飛ばすか、迷うな~(;´д`)どちらを書いてもたいして話は進まないこの物語・・・(;・ω・)
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