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秋夜姉さんは下の子達を気にかけてます


周平視点


 一人だけ姉貴分のことを知らなかったことに地味にいじけてようとしたら


「賭け金が足りん体で払え」


 と暴君姉貴分に言われた。

 爺さんが俺の掛け金である饅頭を二人が勝負している間に食っていたからである。スピョスピョ寝ている爺さんを突き出しても駄目だった。役に立たんジジイめ・・・。


 体で支払うことになった俺は晩飯を作ることになった。一応オードブルを頼んでいるが女子三人に揚げ物ばかりはきついとのこと。

 女子?と友人が疑問系で言った瞬間に反対側の壁まで吹き飛んでいた。誰が吹き飛ばしたのかは秘密だ。俺は死にたくない。


 ロープで簀巻きで寝ている爺さんと気絶している友人を抱き合わせるように寝かせて道場から出る。


 女性陣は座敷でおしゃべり、俺は一人で台所に。桃は流れてこなかった。

 希望はさっぱり系なのでイカと野菜の塩炒め、鮭のホイル焼きポン酢味、エビとアボカドの生春巻き、缶詰一缶使用した無駄に高いかに玉、デザートにベリーのスムージーを用意した。無駄に材料費が高いが俺の金ではないので知らない。


 作り終えたときに道場から悲鳴が聞こえてきた。上手くいけばジジイとキッスの位置に顔を配置したが成功したのだろうか。


 怒りの顔の友人がやって来たので皿を持って行かせた。爺さんとの抱き合わせは秋夜姉さんがしたと言ったら大人しくなる。俺はジジイとキッスの位置に配置しただけだから嘘は言っていない。

 一応爺さんはどうしたか聞いたら蔵に放り込んだと。まあ明日の朝にはケロリとして登場するだろう。爺さんの晩飯は知らん。権利は秋夜姉さんにあるのだ。


 座敷でお泊り会プラス眞子さん歓迎会が始まった。


「やっぱり周平君の前世はお母さんだったのでは?」

「否定は・・・出来ないんだよね、私たまにママと呼びそうになるから」

「一家に一台は欲しいな。ウチの弟と馬鹿をやらなければだが」


 俺の作った料理を食べながら俺の事を言うんじゃない。湊、お前は呼びそうじゃない時々呼んでいる。俺がスルーしているだけだ。


 まあ作った料理は好評でよかった。明日の料理番も暴君から任命されたのは納得いかんが。


 食事も終盤になった時、湊が間違って秋夜姉さんの飲んでいたウーロンハイを飲んでしまう。

 座る位置も悪かった。下座に俺と友人のむさい男二人、上座には女子高生を両隣りに侍る暴君。

 湊はウーロン茶を飲んでいて間違ったのだ。


「えへへ、しゅうへ~い♡」


 そして誕生する甘えん坊湊。

 顔を真っ赤にしてご機嫌状態だ。

 俺が胡坐をかいてその上に頭を置いて寝転び終始俺に構えと催促している。



「チュ~しよチュ~」

「体勢的に無理無理、俺の体は硬いの」

「ぶぅぅ」


 口をタコにして不満をあらわにする湊。可愛いが後で後悔する彼女を見たくはない。


「いつ見ても酒飲んだ湊は面白れぇな」


 俺達の傍では秋夜姉さんがお酒を飲んでいた。食事が終わってから強めのお酒を飲み始めている。顔にも出ないこの人はちょっとおかしい。


「わざと間違えやすいのを飲んでいただろう秋夜姉さん」

「おう、飲むかどうかは賭けだったがな」


 やはりそうだったか。度数が高いのが好みの秋夜姉さんがウーロンハイを飲むなんて珍しいなと思っていたが湊を酔わせるためだったようだ。


「だめ~しゅうへいはわたしをかまうの~」

「はいはい」


 髪を撫でてやるとえへへと喜ぶ。


「たまには気を張らずに彼氏に甘えてもいいだろうよ」

「いつも全開で甘えられていると思うけど」


 俺に甘える湊を優しい目つきで見る秋夜姉さん。


「お前は本当に馬鹿だなー。普段甘えていてるのと本音の甘え方は違うんだよ。湊は特にその傾向があるからな、彼氏ならちゃんと本音で甘えさせろ」


 いつもとたいして変わらないと思うが、同性ならわかるんだろうか。


「お前は特にわからんだろうな。湊に本音でしか接することしかできないお前にはな」


 グビッとコップの中の琥珀色のお酒を飲む秋夜ねえさん。

 よくわからんな。俺はわりと湊に隠し事をするんだけどな。


「わからんでも頭のすみにでも入れておけ、中学の時みたいに間違った方向には進みたくはないんだろう?」

「それはまあ」


 それを言われるときつい。

 秋夜姉さんの忠告を聞いていれば俺の体はおかしくなることはならなかっただろう。でも湊と付き合えたかは微妙だしな。あの頃ちゃんと秋夜姉さんに湊の事を相談していればどうなっていただろうか。


「無駄なこと考え始めてんぞ。今回のは俺の相手をした湊へのご褒美だ。彼氏に甘えられて満足だろうよ」


 後で顔真っ赤で後悔しそうだけど、眞子ちゃんは我が子を微笑ましく見る母親みたいになってたし。しょうがない、俺が相手してやらんといかんな彼氏だもの。


「ところであの二人はどうなんだ?」


 秋夜姉さんは台所の方を指差す。

 俺が湊の相手をすることになったので、後片付けは友人と眞子さんしてくれている。


「友人がちょっかいし過ぎたけど、今の所は友達止まりじゃない?相性はいいと思うけどさ」

「う~む、眞子は良い女なんだよな。俺が嫁に貰いたいぐらいだ」


 グビリとおっさん臭く飲む性別女性の秋夜姉さん。あなた女ですよ?


「いや匂いがなこう惹きつけるというか、モノにしたいというか」

「止めて、姉と思っている人が女好きで匂いフェチだなんてさすがに受け止めきれない」

「馬鹿野郎!俺はちゃんと男好きだ!」

「その言い方は不特定多数の男性が好きになるから訂正して!」


 本当この人女性なんだろうか中身は中年のおっさんが入ってないか。


 俺と秋夜姉さんが言いあっている間にずっと髪を撫でられていた湊はスースーと寝息を立てていた。



秋夜「俺は彼氏いるからな」

周平&眞子「「え!?」」

友人「俺は知ってた」

湊「私は会ったことがある」

秋夜「二人はどうして、え!?なんだぁ?」

周平&眞子「「ヒィィ!」」

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