秋夜VS湊
再投稿のこちらで選考通っているかなぁ(;´д`)
周平視点
秋夜姉さんの激痛整体で廃人と化した俺だがしばらく湊に膝枕してもらい、饅頭を食べさせてもらい、お茶も飲ませてもらう頃には整体で痺れていた身体は動くようになっていた。
体を動かすと整体前よりも軽い。自分では感じていなかったが疲労、ズレの違和感はあったようである。それがかなり少なくなった感覚があるのだ。
秋夜姉さんに礼をするけど、絶対に痛くない方法があったはずである。あれは俺がズルズルと閑名家に行かなかったことへの最終通告だ。
暴君で閻魔様で約束を守らなかったときは自らの腕力で天誅する怖い姉さんである。
俺が回復した後は道場に移動した。
閑名家の人達はないがしろにする可哀そうな道場だが、個人の家にある時点で俺は凄いと思っている。
「はぁー日本家屋の母屋も立派でしたけどこの道場も深みというか渋みが良いですね」
眞子さんは道場内を見て感動していた。
閑名家の面々は、ええ~何言ってんのコイツただの古臭い建物だろ?という表情をしているが無視だ無視。飽きっぽいのが閑名家の遺伝なのだろう。
「うぇーい。姉貴対湊ちゃんの戦いだ、どっちに賭ける」
「湊に饅頭三個だ」
「え~と、じゃあ私はどら焼き二個を湊ちゃんに」
「なんだよ~俺が姉貴に賭けないといけないじゃねえか。釣り合うには羊羹一棹か」
「わしぃー!全部ワシのもんじゃぁ!」
そして現在は俺と友人、眞子さんで輪になって賭けをしている。
道場の中心には腕を組む秋夜姉さんとストレッチをする湊がいた。動きやすい恰好ではなく普段の服装のままである。二人共パンツだったのでわざわざスカートから履き替えることはない。
俺達三人と一匹は道場の端で見学だ。
「俺は自分に今日のジジイの晩飯全部だ」
「私は自分に明日のお爺ちゃんの朝食をだね」
「なんでみんなしてワシのもんばかり賭けるんじゃっ」
二人がやる気を出して不敵に笑っているのに、一匹がうるさい。
「友人よ、なんで発情中のモンキーを連れて来たんだ」
「姉貴が放置するくらいなら見えるところに置いておいた方がマシだって言うから連れて来たんだけどよ。柱に括り付けておくべきだったか?」
「それはさすがに・・・お年寄りなんですから」
眞子さんは優しいなぁ。俺達がおかしいのか?
でもその優しくしないといけないお年寄りは足指でお菓子の袋を開けて食べようとしているんだが・・・。
俺達三人の隣にはロープでぐるぐる巻きにされた猿、もとい槍を持っていないただのジジイが放置されていた。
鯉泥棒の末路は簀巻きにされて秘蔵の菓子を全て俺達に没収されてご飯の権利も無くなる没収刑になった。
「眞子さん、野性の動物には優しくしちゃ駄目だ。今も眞子さんのスカートの中が見えないか少しずつ移動している」
「一応血のつながりがある爺さんだが三歩も歩かないうちに後悔を忘れるからな。反省は最初からしてないし」
「何を言うんじゃ周平っ、せっかくあと少しで見れたんじゃぞ!」
「・・・」
眞子さんが無言で友人の背後に移動する。
「おお~い、そろそろ始めてもいいのかな」
軽く跳躍している湊が声を掛けてきた。
「こっちはいつでもいいぞ」
俺が応えると同時に着地した湊が脚を深く曲げて前方の秋夜姉さんに向けて飛び出す。
そのまま飛び込みながらの右足の前蹴り放つ。
「おいおい、開始の合図もないのに奇襲で女の腹を狙うなんてひでえなぁ」
その奇襲の前蹴りを片手で防ぐ秋夜姉さん。
「それぐらいしないと当たらないからねっ」
湊は秋夜姉さんの手に当たった右足を軸にして左から後ろに回転して左の踵で側頭部を狙った。
それを受け止めずに前蹴りを防いだ手を離して後ろに下がって秋夜姉さんは回避した。
「なんだよそれ。漫画みてえな動きじゃねぇか」
「実際漫画で見た技だからね。はあ~秋夜姉さんには当たらないのか」
空中後ろ側頭踵蹴りをかわされた湊はコマのように回り勢い消して着地する。その顔は凄く残念そうだ。
「ちっと技のつながりが早すぎて、なにがくるのかわからないから下がっただけだ」
「うわー勘だよこの人、周平やっぱ無理~ギブー!」
あれ確かにおかしいよな。まず奇襲の瞬間移動並みの前蹴りを片手で防げることがおかしい。その後の空中後ろ踵落としはなに?まず出来る湊に驚いたよ。そして何となくで避けるのが本能で感じる秋夜姉さんがおかしい。
「秋夜姉さーん、あとどのくらいで満足する?」
「あ~あと二、三個面白い技を見せたら終わりにしてやる」
ヒ~ンと泣きまねをしながらも湊は秋夜姉さんに向かっていく。まあ見る必要がないものだ。
「・・・まったくわかりませんでした」
「いや、普通はわからないから。あれ異常、漫画を見て真似したみたいだけど出来ても実践では無理だから」
「あれ俺なら奇襲で一撃で終わり、わかってて防げても側頭部に見えない踵が一撃。たぶん死ぬ」
俺達には無理と言ってから二人で説明する。どれだけ技の難易度が高くてその繋ぎが異常に早くて最後の一撃が死ぬかもしれないのを出来るだけ正確に。
「湊ちゃんはそれを漫画を読んで実践しているんですか」
「たぶん練習もしてない。何となく読んで秋夜姉さんに通じるかなと考えてたぐらいか」
頭の中で整理して自分に可能なレベルに組み立て直したはずだ。それを初めてで実践できてしまう。
あ、秋夜姉さんの突きの下に潜り込んで肘打ち・・・を受け止められてそのまま力任せに外に払われて身体ごと回転してコンパクトな胴回し回転蹴りを放った。
「あ~それはかなりやばかったな。というか湊お前は全部死ぬ系の技だろうが!」
「あ、ああ待って逆さに持たないでっ」
秋夜姉さんは最後の一撃を突いた腕を戻して蹴りを受け止め、そのまま片手で湊の足を握って体を釣り上げた。
「ほら、なんか言ったらどうだ?」
「あ、あ、秋夜姉さんなら直撃でも死なないと思ってましたっ」
「俺だって死ぬわボケェ」
「「え、死ぬの?」」
「そこの馬鹿その一とその二はジジイと楽しい風呂タイムの刑だ」
「「「いやあぁぁあ!」」」
野生のジジイまで嫌がっている。
眞子さんは・・・普通だな。何かリアクションがあると思っていたが。
「お年寄りはちょっと・・・二人ならいいんですけど」
聞かなかったことにしよう。
「うう、辱められたよ周平。慰めて」
「はいはい」
少しの間上下に揺さぶられたあと湊は解放された。座っている俺の背中に覆いかぶさるように抱きついてくる。
「どうだった眞子ちゃん?私頑張ったよ。あの理不尽には負けたけど」
「凄かったよ湊ちゃん。二人から説明してもらったけど凄いことしてたんだね」
「結構本気で攻めたんだけどね」
いやマジで凄かったよ。オヤジに挑む息子の光景が浮かんだけど。
「おう湊、なかなかよかった。次も面白そうな技覚えてくるんだぞ」
理不尽も会話に入ってきた。
「あの、私から見ても湊ちゃんは凄かったんですけど。秋夜さんは何か別次元のような・・・」
眞子さんが迷いながら聞いてくる。
そりゃあ聞きたいよな。ていうか俺も知らん。
ただ暴君と呼ばれるぐらいに馬鹿力というぐらいだ。
「あー眞子ちゃんは閑名家の先祖の話知ってる?」
「うん、来るときに湊ちゃんが教えてくれたから」
友人が閑名家の先祖の事を聞いてきた。
たしかヒャッハーのボスで圧倒的な力で土地を制圧しただったか。
「それもあるけど最初に追っ手を全て倒した男の話だよ」
湊よ人の頭の中を読むな。
「それそれ、閑名家はときどきその初代の男の血を濃ゆく受け継いだのがたまに産まれてくるんだよ」
「それが俺だ」
秋夜姉さんが自慢げに胸を張った。でも賭けで獲得した饅頭のあんこが口元についている。
「俺は少しだけ血の影響でリンゴぐらいなら潰すぐらいだが、姉貴はかなり濃ゆく受け継いでしまってな」
「リンゴぐらいの石なら秒で砕けるぞ、あとは頑張れば周りがゆっくり見える。湊の蹴りは早いし視覚の外だったから見えなかったんだよな」
「だから私じゃ勝てないのに勝負なんてさせるしさ、また意識外から攻める技を覚えないと」
「まあ俺はすげー体にすげー動体視力を持つスーパーウーマンてことだ」
「は、はあ」
眞子さんの肩に腕を回して笑う秋夜姉さん。それじゃあんまりわからないと思うが。
「俺、秋夜姉さんが頑張ればゆっくり見える人なんて知らなかったよ・・・」
「お前は別にしなくても普通に勝てるしな」
うん、容赦ないね。幼稚園のころからの付き合いなんだけどなー。地味に傷つくわー。
そこで口だけでお菓子を食べて口元を汚しまくって爆睡している爺さんの横で寝ようかなー。
「だめだよ周平。あれに関わっているとダメ人間じゃなくてクズ人間になるから」
「だから俺の心を読み取るな湊」
背中に張り付くと読心術が使えるのか俺の彼女は?
槍ジジイの本当の実力は見送りに~(;´д`)
バトル系が難しくて上手く書けませんでした・・・(;_;)
湊は強い子なんですよ!相手が悪すぎたんです、本気出せば人間ヌンチャクが出来る秋夜がおかしいのです(;・ω・)
ちょっと具合が悪くて飲んだ薬が合わなくてぐわんぐわんしててちゃんと書けているか不安です。




