周平死す、ついでにジジイも
第一次選考通ってたので、再投稿開始します。
ノクタ行きになっていたので選考だったらアウトなんですが(;´д`)
湊視点
「眞子ちゃんひでぇよ。あそこまで甚振られたの初めてだぜ」
復活した友人君が眞子ちゃんに文句を言っている。
「私も人があんな風に倒れていたら普通に助けますよ。友人君が水ぅ、水ぅ、水ぅをプリーズゥとか言うからまだ余裕があるんだなと思ってお相手してあげたのに酷いです。じゃあ今度からはちゃんと介抱して、水も飲ませますね」
ニッコリ笑顔で受けこたえる眞子ちゃん。
その背後には黒いオーラがゆらゆら揺らいでいる。
う~ん、私の家に泊まった時は腐通の子だったのに友人君、きみはいったい眞子ちゃんに何をしたの?
「いや、それはちょっと面白くねえし。でもさすがにさっきはマジで動けなかったからな~」
「いやいや、本当に動けなかったなら素直に助けてもらおう?」
腕を組んで首を捻る友人君に普通にツッコんでしまった。
周平ならさっさとお茶の準備をして台所を出るときに塩水が入ったコップを指先五センチの所に置いていくぞとか言いそうな気もする。
ん?何かテレパシーが・・・そこは塩水じゃなくお酢がいいって?さすが私の彼氏だなぁ。
「そろそろ体は動くようになった?」
「おう。あちこち軋むがようやくな」
肩を回して調子を確かめる友人君。
私達はまだ台所が出ていない。
今は台所にあるテーブルで三人でお茶している。友人君の体力回復待ちの為だ。
「友人君が動けなくなるなんて、体が鈍ってない?」
「あのな、アイアンクロ―を三十分もくらえば出せれる水分は全部出るし、痛みから逃れるために全身を使うから疲労の極みだったんだぞ。ようやく這いずって水を飲みに来たらあんな鬼畜なことされるし・・・」
「そうですか?まだ余裕がありそうでしたし、私達が台所に来る音が聞こえたから這いずったフリをして同情を誘う計画かなと思ったんですけど」
コテリと可愛く首を傾げる眞子ちゃん。
「友人君、私の親友に何をしたのかな?」
「いや、あそこまで容赦がなくなるようなことは・・・したのか?」
こちらも首を傾げるが男なので可愛くない。
「うふふふ、そうですか自覚は無かったんですかそうですかうふふふ」
眞子ちゃんの闇のオーラが衣に進化してるよ。
「あ、お湯が沸きましたね。早く周平君の所に行きましょうか」
気になり過ぎたので聞き出そうとすると、お湯が沸いた笛の音が鳴った。
眞子ちゃんがコンロの火を落としに行ったので聞くタイミングを逃す。
友達関係ってこんなにハラハラドキドキするものだったっけ?う~ん仲間はいるけど友達っていうほどの子は今まで殆どいないんだよね私。あとで聞き出すか、それとも言ってくれるのを待つか、親しくなるほど距離感が掴めなくなってくるよ。
「ほい、お盆。なんだよ湊ちゃんもっと良い茶葉を出そうぜ。ほらこっち」
「わぁ、凄い高そうな容器に入ってるけどいいんですか?」
「いいのいいの。どうせまた贈り物で貰うんだからあるうちに使っちまえばいいの。菓子も爺さんの好物の饅頭がたしかあったよな」
あれだけ眞子ちゃんを怖い存在に進化させたはずなのに、友人君は何事もなかったかのように眞子ちゃんを手伝い始める。
眞子ちゃんもそれを拒絶することなく普通に受け入れていた。
???これは私が気にし過ぎたのかな?う~んう~ん、周平に聞いたらわかるかな、それとも野性の本能で察することが出来る秋夜姉さん?
「どうしたの湊ちゃん。準備できたよ」
「あ、行く行くよ」
うん、今わからないなら未来の自分に丸投げだ。問題はありそうだけど手伝えるぐらいは二人共仲良さそうだし大丈夫なはずだ。いざとなったら私には最終兵器周平がいるから心配ない。
そう心配ないはずだった。
「「うわぁ」」
秋夜姉さんが向かった先は表の座敷だったので向かったら、そこには酷い状態の周平がいた。
座敷の中央にある座卓の傍で周平は倒れていた。
「あ、あ、あ、」
完全に力が抜けた状態で横になる周平は虚ろな目を空中にさ迷わせている。どうやらしばらくの間は私の最終兵器は使いものにならないようだ。
「姉貴―、茶と菓子持ってきたぞ」
廃人と化した周平に驚いている私と眞子ちゃんをしり目に友人君はづかづかと座敷に入っていく。
「おう良いやつだろうな?」
秋夜姉さんは座卓を挟んで周平の反対側に座っていた。
「一番良い茶葉と爺さんが隠してた饅頭だ」
「そりゃあ客に出すにはいいな。おい二人共ボケっと突っ立ってないでこっちに来い」
秋夜姉さんに言われて私達も座卓に近づいて座る。上座に秋夜姉さん、反対側に私と隣に眞子ちゃん、周平は私が膝枕する。友人君は横の下座に座った
「ねえ秋夜姉さん。周平は大丈夫なの?」
説教をすると言って連れ行ったのは秋夜姉さんだ。なら周平をこんなにしたのは秋夜姉さんしかいない。
怖いけど周平に理不尽なことをしたら私怒るよ。秋夜姉さんには勝てなくても一矢報いるぐらいはするよ。
「ああ馬鹿その二な。説教はすぐに終わったんだが、しばらくウチに来なかったから身体がいろいろとズレが生じてたんでな全部一気に直してやったらそんな風になりやがった」
「あ、そうなんだ」
良かった整体を受けただけなんだ。
「まあ、まだ高校生になったばかりだ。馬鹿その一もいるから徹夜もするし雑魚寝もする。そのくらいなら俺が何とかしてやるさ」
カラカラと笑う秋夜姉さん。暴君で閻魔様だけど今まで私達三人を見守ってくれた良いお姉さんでもある。
うんうん、周平は頑張ったんだね。優しく髪を撫でる。
「よし改めて自己紹介だ。俺は閑名秋夜だ。旅行中の父の代わりに当主代行をやってる」
「あ、えと坪川眞子です。友人君と周平君のクラスメイトです。宿泊の許可をいただきありがとうございます秋夜さん」
眞子ちゃんが頭を下げる。
「おう湊から連絡を受けている二泊三日だな。大したもんはないがゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます」
もう一度頭を下げる眞子ちゃん。
礼儀正しいね。友人君なんか周平パパママに気付かれないで周平の部屋に泊まることもあるのに。
「じゃあ茶を飲んだら何かするか。晩飯にはまだ早いし・・・」
「それなら道場を眞子さんに見せてやってくんない秋夜姉さん」
何をするか秋夜姉さんが悩むと、周平が手を上げて提案する。
意識戻ったんだ、でも動かないってことは膝枕続行かな。
「あん?あんなもん見たって何の面白みもねえぞ」
「掃除が面倒臭いでかい建物で邪魔なだけだしな」
この姉弟は・・・。
「いや、槍ジジイじゃ湊の運動神経のよさが伝わってないみたいでさ。秋夜姉さんとのスパーリングでも見れば驚くかなと」
「ええー私が秋夜姉さんとー?」
嫌だよー秋夜姉さんとなんて、どうして周平はそんなこと言うかな。
「いいなそれ!最近歯ごたえのあるやつがいなくてつまらなかったんだよ」
ああ、秋夜姉さんのスイッチが入っちゃった。
ん、袖を引っ張られてるな?
「湊ちゃん湊ちゃん、私も出来れば見たいな」
キラキラして目で訴えないで眞子ちゃん。
う、う~んしょうがないな。親友が見たいなら・・・。
「客人の為に獲ってきたぞい!今日は鯉こくじゃあぁ!」
悩んでいたら庭の方から槍ジジイが金色に光る鯉を両手に掲げて満面の笑みでこちらに走ってきた。
「その鯉は観賞用だ!この糞ジジイィ!」
秋夜姉さんの全力で投げた饅頭が槍ジジイの口の中に見事に入った。
「さすがの俺でもこれが異常なことはわかるぞ」
胸張って言うことじゃないからね友人君。
馬鹿その一「ツッコミないとボケは死ぬ」
馬鹿その二「たまにその一を水に溶いた片栗粉に埋めたい」
馬鹿ジジイ「ヒャッハー!若い女の子の客人じゃー!」
湊&眞子「「秋夜姉さん・・・」」
秋夜「言うな、悲しくなる」
えー、秋夜はこんな三馬鹿を相手にしています。湊と眞子が来てくれて一番嬉しいのは秋夜なんです。たまには安らぎが欲しいみたいです(;・ω・)
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