表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/94

湊からみた周平は格好いい(ハート眼鏡装備済み)


湊視点


「私は午後の授業の準備がありますから先に失礼しますね。皆さんも授業には遅れないように。あとロールケーキ美味しかったです!では!」


 梅田先生が去っていく。

 その表情は笑顔で軽くスキップしながら去っていく。


「ああ、癒しが去っていく・・・」


 隣に座る眞子ちゃんが去っていく先生を見ながら悲しそうに呟いた。


 眞子ちゃんは友人君に絡まれて少し攻撃的になっていた。

 昨日の帰りに友人君の本を本人にバレないように広めるにはどうしたらいい?と尋ねられてきた時にヤバいのを感じる。


 私は怪我をした周平に構っていて周囲の気配りがおろそかになっていた。

 だって困る周平が可愛いんだもの。

 自分が悪いと思っているのか、いつもより踏み込んでも困った顔をしながらも受け入れてくれた。

 登下校に腕を組むのも、昼食にアーンするのも受け入れてくれる。お風呂やトイレの世話は流石に拒絶された。

万が一があるので聞いてみただけだ、やり過ぎるといくら周平でも怒る。ワンチャンあるかもとトイレの鍵をカチリと開けたらイヤアァァァと女の子みたいな悲鳴が聞こえたので満足して止めてあげる。いつか直接声を出させてみようと思う。


 まさかその間に眞子ちゃんが友人君の興味の対象になっているとは思わなかった。

 友人君はいつも馬鹿みたいな行動をして交友関係はかなり多い。だけど本当に親しい人はごく少数だ。私が知っている人は身内以外では片手で足りるぐらいだ。周平ならもっと知っているだろうが教えてくれない。


 周平と私よりややこしい性格をしているのが友人君なのである。

 私が望んだくらいだから眞子ちゃんも変わり者だが、私と周平の近くに居れば友人君も無下にはしないだろう。ゆっくり仲良くなっていけばいいと考えていた。

 なのにいつの間にか友人君が眞子ちゃんに急接近しているのである。

 昨日の登校時に元気のない眞子ちゃんと元気に眞子ちゃんの傍にいる友人君を見てようやく気付いた。

 前日までは友人君は他の人にするような態度を眞子ちゃんにも取っていたのに、子猫や子犬が遊んでと寄って来るみたいに眞子ちゃんに絡んでいた。


 下校時に眞子ちゃんに友人君を腐の世界に落とす計画を相談され、悶々とした夜を過ごして朝に周平にどうにかする相談をしようと考えてその日は就寝する。


 そうしたら周平はほぼ徹夜で対策を取っていた。

 ロールケーキを二つも作っていたのだ。

 それをどう使うのかは大体予想は付く、だがケガ人なのに無理をしたのは怒った。左腕は使ってないよ!右腕と両脚しか使ってないよとかのたまうので登校ギリギリまで説教した。


 周平はロールケーキで昼食に梅田先生を誘い込み、私と眞子ちゃんの間に先生を配置して友人君を強制的に眞子ちゃんから離すことに成功した。

 ついでに私も周平から離されたのだが、そこは乗ってあげることにした。まあ私に怖がっていた先生がデザートに釣られて満面の笑顔なのに惹かれたのもあるが。


 梅ちゃん先生は可愛かった。つい眞子ちゃんと甘やかしてしまった。

 一口食べるたびに大喜びする先生は天使のようだ。周囲からスマホで撮影している音も聞こえてくる。

 本当に教師なのか疑問に思ってしまうが生徒会の先輩方から聞くと、授業はなかなかのスパルタらしい。あと宿題の量もかなり多いと。その姿と性格で生徒を魅了し、授業もキッチリするから人気者かもしれない。


「またお菓子を持ってきて食べてもらおう」

「そう、ですね。次は私も何か作ってきます」

「じゃあ一緒に作ろうか、甘いジャムクッキーとか先生好きそうだし」

「それいいです!他にも何を作ろうかなぁ」


 よし眞子ちゃんの顔から険しさが取れた。

 梅田先生は凄い先生だ。食べてるだけなのにこちらの心を癒してくれる。


「そっちは満足したか?」


 周平が頃合いに話しかけてきた。


「うん、子供に食べさせてるようで楽しかった」

「あれはやってみないとわからないものですね。どうしよう私も梅田先生にはまったかも」


 ようこそ眞子ちゃん。可愛いものはいっぱいあるよ。


「うんうん生贄を用意してよかった。俺もオカズを用意して呼び寄せよう」

「梅田先生は他にも餌場があるみたいだから本当にたまにしてあげないと他の餌場に注意されるから」

「え、あの人他にも生徒にたかってんの?」


 私の聞いた限りでは三年に一組、二年に二組だ。どちらも元梅田先生のクラスだったみたい。

 私達は月に一、二回呼ぶことに決定した。


「それじゃあとはこっちのほうの解決だな。ほら自分で言えよ」

「ああ~、周平が言ってくれよ」


 周平が罰の悪そうな顔をしている友人君の肩を叩いて促す。

 すこし眞子ちゃんが体を硬くしたのがわかった。


「う~あ~ここんところ執着してごめん。たぶんしないと約束する」


 最低な謝罪の仕方だ。

 眞子ちゃんの顔を見ると真剣な表情だ。


「たぶんですか?」

「うん、俺も自覚出来ない部分がするかもしれん」


 友人君は正直に言う。他の人には噓八百ついても取り繕うのにそうしないのは友人君なりの誠意なのかもしれない。中身は最低だけど。


「あー眞子さん、俺が馬鹿を見張っておくし眞子さんに迷惑かけたなら俺に言ってくれシメるから。それでも嫌ならなるべく関わらせないようにするから湊とは仲よくしてくれ」


 周平の最後の言葉は男女別々に行動しようということだ。私より周平は今回の事を重く見ていたのかもしれない。

 周平はいつも自分は平凡平凡と自分のことを言うが私や友人君より遥かに人との関係を大切にしている。


 眞子ちゃんはじっと周平を見る。周平も目を離さない。


「はあーわかりました」


 眞子ちゃんが大きく息を吐いた。


「私もせっかく仲良くなった周平君と友人君とギスギスしたくありません。友人君、今回みたいなウザ絡みはしませんね」

「おうたぶんな」

「してきたら友人君の触手絡みをシリーズ化してお姉さんに送り付けますから、周平君は手伝ってくれますよね」

「それは喜んで!」

「あ、私も学校で好きそうな子に勧めるよ」

「お前ら悪魔か!」


 三人は笑い。一人は顔を青ざめていた。それでも何か四人が少しまとまったような気がする。


 凄いな周平は、デザートを作っただけでいくつかの問題を解決した。

 梅田先生には心配させた謝罪の品として、眞子ちゃんに先生を構わらせることで心の負担減少、友人君は眞子ちゃんから少し離れさせて楽しそうな光景を見せて反省させる。

 最後は友達関係が破綻する覚悟で友人君を眞子ちゃんに認めさせた。

そのままでもなあなあで済ませられたのにそれをしなかった。友人君を友達と認めてもらいたかっのだと思う。

 成功したからよかったけど駄目だったらどうするつもりだったのだろう。まあなにか考えていただろうし、その時は私も参加したはずだ。

 あ、私を自分から離そうとした件は納得いかないのであとで追求しよう。


 その後は雑談だ。

 重い話は高校生活には似合わない。


「そういえば来週からゴールデンウイークですけどどうします?」

「俺はこの前のゲーセンで金使ったから外は無理」

「私も結構使ったしね。家で周平とゴロゴロかな。でも四人で集まりたいね」

「じゃあ、俺んちはどうだ」

「「「え」」」


 最後の友人君の発言に三人で一斉に友人君の方を向く。


「なんだよう。俺だって少しは迷惑かけたって感じてるから家に招待してやろうとしてたのに、その反応は何だよ」


 むくれる友人君。


「え、友人君の自宅って道場があって槍もって襲ってくるおじいちゃんがいるんですよね」

「おう道場はあるぞ。ジジイは基本実力がある奴しか襲わないから眞子ちゃんは大丈夫だ」

「行きます!そんな面白い所行かないわけにはいきませんよ」


 ねえ!と眞子ちゃんは私を見てきた。

 ああこれはすでに決定済みだ。


 周平を見るともう少しあとに行きたかったなと呟いている。

 うん今の周平には友人君宅は鬼門だもんね。ご愁傷様だ。


 こうして私達のゴールデンウイークの予定は決まった。


周平「俺はそこまで考えていません」

湊「またまた~」



さあ、ようやくゴールデンウイークだ!(*´∀`)♪

筆者は死ぬ。予定ではすでに夏休みを書いていたのにこの差は何?(;´д`)

ゴールデンウイークはワクワクハラハラ閑名家です。(*≧∀≦*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ