表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/94

周平は男の子なのです(湊には勝てません)


眞子視点


「本当に私が参加してもいいんですか?」


 梅田先生が周平君に訊ねる。


「おすそ分けすると言ったので一緒に食べてもらえると嬉しいです」


 今日の昼食は梅田先生も私達と食べることになった。

 朝におかずをおすそ分けする約束を周平君は守るようで先生を昼食に誘い、先生もそれに乗ってくる。

 

 周平君が声を掛けたとき最初、先生は断ろうとした。

唐揚げ、エビフライ、ミートボール、ウインナー、卵焼き、ポテサラ、と運動会定番メニューを告げられるとあっさりと賛同したけど。


友人君がお子様だなと小さい声で呟く。。

あと周平君が時間が無かったから全部太る料理なんだよなというのもはっきりと聞こえる。今日は食べるのを少なめにしよう。


 いつもの食べる場所に移動する。

 先に先生と周平君が先を歩いて友人君がお弁当を持ち私と後ろを付いて行く。

 周平君におかずの事を聞きながら楽しそうに歩く先生は兄に質問する妹に見えてしまう。


「妹をエサで釣る兄」


 友人君、さっきから私を笑わせようとするのは止めてください。


「一緒に食べるのは時東君に坪川さん、閑名君の三人ですか?」

「いえあともう一人います」


 周平君の言葉に先生の脚が止まった。


「そ、そそそれはどなたでしょうか」

 

もしかして先生は湊ちゃんのことが苦手なのでしょうか?


 駄目ですよ先生。隙があると逃さない人達です。私も酷い目にあいましたから。

 ほら獲物からやって来たと周平君の顔がニヤついてます。


「穂高湊ですけどどうかしましたか」

「今日はお腹の調子が悪いので遠慮します!」


 湊ちゃんの名前を聞いた途端に先生はくるりと進行方法を変えた。


「いいんですか。苦手意識を克服するチャンスですよ」

「うっ」

「これからずっと穂高湊を避け続けるんですか?」

「ううっ!」

「梅ちゃん先生は生徒から逃げませんよね。立派な先生なんですから」


 そこには人を唆す悪魔がいた。

 湊ちゃんにしてこの彼氏ありだ。


「梅ちゃん、諦めた方が楽だ。周平はしつこいからな逃げてもいつか会うことになるぞ」


 悪魔は私の隣にもいました。逃げ道を塞いでいきます。


「わかりましたよっ!ここで私は乗り越えます。あと梅ちゃん先生と呼ばないでください!」


 先生はやけっぱちになったのかドスドスと歩き始める。そばで見るとチョコチョコと歩いているようにしか見えないけれども。



周平視点


 逃亡しようとする梅ちゃん先生を確保できた。

 

 あとは湊に任せよう。

 生贄がいないと今日は怖いんだよ。

 ちょっと今の俺は問題が起きている。湊にバレると心配させるので興味が向きそうな梅ちゃん先生を差し出す。

 湊は梅ちゃん先生と仲良くなれるかもしれないので満足、梅ちゃん先生は恐怖を乗り越えることが出来るかもしれないのでいいことだ。後は俺が数日隠し通せれば万事解決なのである。


 中庭に近づくにつれて梅ちゃん先生の足取りは遅くなり、中庭の手前で歩みは止まった。


「おーい梅ちゃん、あとがつかえているんだがさっさと行ってくれよ。乗り越えるって言ったんだから頑張らないと」


 友人が背中を押す。酷いぞ今の梅ちゃん先生は一歩を踏み出す力を溜め込んでいるんだ。


「だめですよそんなことを先生に言ったら」


 眞子さん、それは駄目です。梅ちゃん先生のプライドを刺激します。


「行きますっ!行くったら行きます!」


 頑張れ梅ちゃん先生。さすがに心が痛むよ。


 行く先にはいつも使用してるテーブルがある。

 すでに湊は座っていた。

 足を組んでその上に腕を載せている姿はモデルみたいに様になっている。


 俺達に気付いた湊は梅ちゃん先生を見てニヤリと笑った。


「ひうっ」

「大丈夫ですよー。湊は噛みつきませんから人です猛獣ではないですから」


 再び停止した梅ちゃん先生を優しく宥める。

 なんだか悲しいな、自分の彼女を猛獣じゃないと否定しないといけないとは。


「だ、大丈夫ですよ。私は頑張る子です。この恐怖を乗り越えますよ!」


 自分を鼓舞して背水の陣で挑む梅ちゃん先生。


「ようこそ梅田先生。私が作ったものではないですがどうぞ楽しみにしてください」

「はうぅ」

 

立ち上がって出迎えた湊に一撃でダウンさせられた。

 梅田先生はしゃがんで両手で頭部ガードの防御体制に移行する


「ねえ、流石に傷つくのだけど」

「諦めろ。すでに猫とネズミの関係は確定した」

「いや蛇とカエルだろ」

「言い過ぎですよ二人とも。ええとパンダと笹?」

「三人が私をどう思っているのかよ~くわかったよ。あとでユ〇ィかデ〇ラを加えたのはどちらかで討論だからね」


 恐ろしいことをさせるのな、デ〇ラはまだしもユ〇ィの方は血の海になるぞ。

 友人なんかユ〇ィは駄目だ。俺には選べない・・・とか言ってるし。眞子さんは、うんわかってたよ全員が好きなんですよね、その笑顔は。


「ほら、先生。甘いイチゴ牛乳を買って来てますよ~。顔を見せて下さい」


 湊が紙パックを梅ちゃん先生の前に持っていく。


「いやそれは無理だろう。天敵の恐怖がそんな簡単に」

「あ、いいんですか?やったー!」


 安すぎるぞ梅ちゃん先生の恐怖よ。

 イチゴ牛乳の紙パックを持って大喜びでジャンプしてるよこの人。


「先生の好きな物を調べてイチゴ牛乳にたどり着いたんだけど、ここまで効果があるとは思わなかったよ」


 どうにか仲良くするために調べたのか。時間がかかると思われたのに一撃だもんな湊も微妙な顔をするよ。


「んん、先生と私の些細な誤解も解けたところでご飯にしようか」


 難航する相手が実はチョロインだったら調子は出ないよな。


「さあ梅田先生は私と眞子ちゃんの・・・」


 座席を勝手に決めようとした湊の視線が俺のある場所に固定される。


 梅ちゃん先生がチョロインだったから湊の興味が俺の方に戻ってしまった。

そのまま湊の興味が梅ちゃん先生に向いていたら昼の間隠し通せたかもしれないのに、まったく梅ちゃん先生は身長だけじゃなくてその行動にも驚かされる。


「適当に座って食べよう。梅ちゃん先生には是非とも唐揚げを食べてほしい」


 しょうがない、後の二人にはバレないようにするか。

 

各々が返事をして席に着く。

 その間、湊はじぃと俺を見ていた。




「美味しいですねこの唐揚げ!」

「それは味付けが俺特製です。甘め好みなので」

「これだったら何個でも食べれますよ」

「ミートボールが美味いな」

「自家製だからな。大量に作って冷凍しといたんだよ。使いたいときにタレを作ればいいだけだからな」

「私もそれ食べたいです!」


 欠食児童の友人と梅ちゃん先生が凄い勢いで食べていく。

 作った者としては嬉しい光景だ。


「あの、その、湊ちゃん?」

「何かな眞子ちゃん」

「いや、何でもないです・・・」


 恐る恐る湊に声を掛ける眞子さんだが、湊の笑顔の迫力に負けて取り分けたポテサラを食べ始めた。

 そのポテサラはポテトチップスを砕いて入れているので食感が面白いと思うよ。


 でも今の状況に突っ込める人がいなくなった。


 俺達の座席表は友人、梅ちゃん先生、眞子さんの並びと俺、湊の二つになっている。


 おそらく湊が最初に考えた座席は俺、友人と湊、梅ちゃん先生、眞子さんだったと思う。男子と女子に分かれてイイ感じのはずだった。


 どうしてこうなったのか。


 俺が原因です。

 湊さんは静かに怒ってらっしゃる。俺の右腕を抱きしめて自分だけ食べてるよ。

 梅ちゃん先生ー、目の前でバカップルが腕組んでるよ。注意しなくていいのかな。ご飯に夢中で気づいてないようだ。やはり子供か。


 だから俺は説明だけして何一つ食べてはいない。


「周平も食べないと無くなるよ」

「右腕を離してはくれませんか」

「フォークを使えば左でも食べられるよね。頑張って」


 湊が意地悪い。

 眞子さんもチラチラこちらが気になってあまり食べれてないようだ。


「わかった降参です。左腕は動かすと痛くて全く使えません。これでいいか湊」

「え?」

「ほえ?」

「あ~あ言っちゃった」


 俺の言葉に眞子さんと梅ちゃん先生は驚き、友人はいたずらがバレた子供の様に笑っていた。


「隠そうとしないで素直に言えば意地悪しなかったのに。原因は?」


 言いたくないなー。男の子のプライドが恥ずかしいじゃないか。


「朝に梅ちゃん先生でグレイごっこして最後の階段飛ばしで力を込めたら肩が抜けた」

「馬鹿じゃないかな」

「だよなー」


 恥ずかしながら俺の身体は中学生の時の影響が残っている。

全部話すのは面倒くさいので省くが、肩の脱臼は今でもたまになってしまう。鍛えていた時に脱臼したのを自分で嵌めていたので脱臼癖がついてしまったのだ。


「て、待って!梅ちゃん先生泣かないで!先生のせいじゃないから!眞子さんも責任感じないで!」

「だって私のせいで・・・」

「私があの時気づいていれば・・・」


 ああああ、梅ちゃん先生で昼の間は湊の目から逃げよう作戦は失敗したどころか、二人に多大な罪悪感を抱えさせてしまった。


「二人ともそんな気にすんなって。周平の脱臼はよくあることだから、自分で気を付けなかったこいつが悪いんだよ」

「そうそう、黙っていたのはよくあることで二人を心配させたくなかっただけで」

「でも先生なのに」

「気づかなかったのは」


 助けて湊エモン!


「私にも隠してやり過ごそうとしたでしょう?罪悪感のという罰を受けてね周平」


 湊エモンは大変お怒りのご様子だった。


 友人に嵌めてもらって一日もすれば痛みも我慢できる範囲に収まるので隠そうとしたのが間違いだった。


 梅ちゃん先生と眞子さんをどうにか食事できる状態まで必死に俺のせいなのを説明したあとは、湊に左腕を固定するために強制的に保健室に連れいかれた。


 男の変なプライドは止めた方がいい。バレたときの被害大きいぞ。

 滅茶苦茶怒ってる湊をどうしよう。


梅ちゃん「ショボーン」

眞子「ショボーン」

湊「私は怒ってます」

周平「ガクガクブルブル」


男の子特有の変なプライドです。

人のせいにしたくないお年頃なのですよ周平も(*´ω`*)

湊にバレて眞子、梅ちゃんにもバレて変なプライドは止めようと反省しました。

しばらくしたらまたやるけどね♪( ´∀`)


周平の身体はまあ、ボロボロとだけしか筆者も考えてはいません。大人になっても完全には治らないぐらいてすかね。

脱臼は痛いです。筆者は声も出せませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ