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自称『ハズレ』の超克者  作者: ロア
「追放」という名目の「家出」
8/29

グラン、覚醒 その6

普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解いただけますとありがたいです。



結構見てきたが極めて飛びぬけたものが無いな。俺が見たものは全て、一部のパラメータが上がりやすくなる職業で、それは序盤では良いかもしれないがステータスレベルは上限が無いから最終的には全部のパラメータが高い方が有利だと俺は考えている。やはり『職業』はサブで『特殊スキル』がメインの立ち位置だからだろうか。とりあえず全部見て、これだというものが無かったら相対的な評価で決めるしかないな。

そう思いながら並んでいる像をぐるりと見渡す。そこで俺は一つの像に目がいった。小さいハンマーを右手にもって腕を組んでいる像だ。


「これは...鍛冶師か。」


職業:『鍛冶師』

レベルアップ時の全パラメータ上昇量がさらにx/4増加する。(小数切り捨て)

職業レベルが高いほど、装備の生成・属性付与・効果付与の質と可能性が高くなる。


なぜこれが目に入ったのかはわからない。直感というものか、それとも俺の思いに応えてくれたのか。いずれにせよ、これは俺が求めていたものに合致している。上昇量は他と比べて少ないが、それはレベル上げでカバーできる。それよりも重要なのは2つ目の効果だ。これはつまり、自分の好きなように装備を創造・改造できるということだ。超大危機がどういうものかわからない現時点においていくらでも戦う選択肢があるこの職業ならやっていけるだろう。


「おいルシラ、『職業』決めたぞー」


俺は後ろでいつ置いたのかわからないベンチの上で女神を呼んだ。しかし、一切返事がない。

俺が選択に時間をかけすぎたのか深い眠りに落ちているようだ。


「はぁ...こうやって黙ってたら全然美人なのになぁ、本性がアレだからなぁ。外見も性格も良い女性ってなかなかやっぱりいないもんだなぁ。ん?」


寝ている女神のもとへと歩きながらそんな現実的ではない悩みを口に出していると、女神の前に何かショーウインドウらしきものが光っていた。ベンチの後ろに回って覗き込む。


「これは...俺のステータス画面か。自分がどんなもんか確認したいし、寝ているから触っても問題ないかな。」


武本伊織



<ステータス> レベル‐

体力  --

筋力  --

敏捷力 --

耐久力 --

魔力  --


<特殊スキル>

「???」(レベル10/20)


<通常スキル>

 --


<職業>

「???」(レベル10/20)


「ほとんど何も埋まってねぇな。埋まっているのは例のレベル10だけか。」


転生する前だからか自分の情報がほとんどない。さっき特殊スキルは決まっている風な言い方をしていたのに確認ができないなんて、答え合わせができないじゃないか。でもまぁ、これから行く世界のシステムが少し知れたからいっか。

そう思いながら画面をタップしていると


「これは...設定画面か?」


画面のほとんどの文字は「#N/A!」と書かれているため読めないが、10や20といった数字が

ところどころに記されている。


「これがもし設定画面だとしたら、俺でも数字をいじれるんじゃないか?」


試しに一つ目の「10」に触れてみると、画面のその上から少し小さな選択画面が表示される。


「選択の数字の上限が20までしかないということは、やはり俺の予想どおりだ。これで数字を変えられるわけか。」


選択画面で20を選ぶとさっきの設定画面の表示も「20」に変わっている。同じ要領で二つ目の「10」も「20」に変える。


「超大危機がどれほどのもんかわからないから、こんくらいの変更はまぁ大丈夫でしょ。それにもともと楽しく気ままに過ごすつもりだったのに世界を助けるはめになったんだから文句は言わせねぇぞ。」


設定画面を閉じながら、俺は寝ている女神に対してそう呟く。


「それにしてもいつになったら起きるんだ?」


女神ルシラは一向に起きる気配がない。今から寝るっていう報告もしてこなかったし、ちゃんと他の神や天使と意思疎通が取れてるのか。どうすることもできないため、ベンチの空いているスペースに座る。


「これから行く世界はどんな感じなんだろうか。」


職業に『魔導士』が存在していたことからおそらく魔法が存在する世界ではあるんだろう。ただ、転生後の俺が使えるかどうかわからないし、その前に俺が強くなれるのかどうかがわからない。なんなら強くなる過程でどんな出来事が起こるか想像もつかない。とりあえずレベルを上げてでっかい危機を退けてそのあと自堕落で気ままな生活を送れるように頑張ろう。


「ん...ふああぁぁ...。あれぇ?まだここにいらしてたんですか?」


そう決心しているとルシラがようやく起きたが、訳のわからないことを言っている。


「は? 職業選び終わったのにお前が寝てたからずっと待ってたんだぞ。」


「え? 選んだ職業の像に触れればそのまますぐに転生できたんですよ?」


......は?


「はああぁぁ!? お前が『私から与える形を取ります』だとか『さっさと決めてください』だとか言うから俺は『あっ、ルシラの手続きが必要なんだな』と思って、お前が起きるまでわざわざ待ってたんやぞ! なんでそれを先に言わへんねや!お前を待って損したわ!」


「いやぁ、もちろん本来としては私が案内人として手続きをするんですが、あなたがずうっと決めかねていたから何もすることがなくて眠たくなってきちゃいましてぇ。それを伝えるのを忘れてそのまま寝ちゃいましたぁ。それに私の超可愛い寝顔が見れたんですから、これ以上の得はないですよっ☆」


「やかましいわ、この八方美人駄女神が。」


寝て気分が良いのか知らんがこっちはテンションダダ下がりなんだよ。もちろん、ルシラが寝ていたおかげで設定を少しいじれたが、本音を言えばそんなことせずにさっさと転生したかったのだ。


「...今なんて言いました?」


こめかみに青筋ができている駄女神が問いかけてくるが知ったこっちゃない。


「何度でも言うたるわ!この八方美人駄女神が!」


「言いましたねぇ!? この私でも八方美人の意味は分かってますよぉ!それに私のことを駄女神と呼びましたよねぇ!馬鹿にしてられるのも今のうちですよぉ!あなたなんかねぇ!...って聞いてないでしょその態度!」


女神は怒って何か叫んでいるようだがめんどくさいので耳を手で塞ぐ。そしてそのままさっきの像のところへ歩いていく。


「もういいよ、お前の怒号は。とにかく、俺は『鍛冶師』にしたから。」


「は?『鍛冶師』?......アハハ! どうやら考えすぎて頭がおかしくなっちゃったようですね。それとも前世ではハードモードでゲームを遊ぶ人だったのでしょうか。」


「...どういう意味だよ。」


「そうですね...あなたのことがムカつくから教えてあげないっていうこともできますが、仮にも世界の危機を防ぐ英雄サマですからねぇ。いいでしょう、一つだけ教えますよ。

 あなたが選ぶ、その『鍛冶師』は『ハズレ職業』と言われてますよ。」


「...なぜそんな職業が存在するんだ。」


「必要だからですよ、支援職としてはねぇ。『鍛冶師』は文字の通り装備の生成や調整を行う職業です。だからモンスターたちと戦う人にとっては非常にありがたぁい存在なわけですよ。

 ですが、あなたは世界を救う存在にならなくてはならない。だから非戦闘系の職業を取ろうとしているのを見て私は頭がおかしくなったと思ったのですよ。」


「...それはこの職業が『ハズレ』だという理由になってないぞ。」


「それに関しては...転生後に誰かからいろいろ説明されますよ、否が応でもねぇ。

 変えるなら今ですよぉ。私だって危機を食い止めるのを失敗してほしくはないですからぁ。」


煽ってくるようにあのクソ女は変更を促す。いや、「ように」ではなく、実際に煽っているのだろう。逆に変えさせない狙いなのか。だがそもそも変えるつもりは全くない。


「ハッ、だったら俺が! ハズレ職業でも職業レベルが最大なら強いんだぞっていうところを見せてやるよ!」


そう言いながら俺は像に手を触れる。自分の周りの地面に空気の渦ができ始める。


「そういうと思いましたよ。まあ、せいぜい私に泣きつかないように頑張ってくださいねぇ...? いまさっきなんて言いましtウワッ!」


女神がしゃべっていたが、地面の空気の渦が大きな上昇気流を起こしたことで、俺は途中から聞こえていなかった。上昇気流のせいか俺の体は空中に浮かんでいき、風がどんどん強くなると自分で自分の体を動かすことができなくなっていった。体が振り回される感覚に陥り、徐々に意識が体から離れていった。意識が離れる際に最後に見えたのは気流の向こう側にいる女神の、裏のない微笑みだった。




――――――



「風、いや空の渦...彼は職業に加えて『ハズレ』の魔法適性を引いたのかもしれませんねぇ。」



何とか次の場面に移せて少しほっとしてます。




こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。

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