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自称『ハズレ』の超克者  作者: ロア
「追放」という名目の「家出」
3/29

グラン、覚醒 その1

普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解いただけますとありがたいです。



俺の名前は武本伊織。

こんな名前に反して、男だ。

子供の頃は、名前が女っぽいからっていう理由で少しからかわれてた時期もあったっけな。まあ今思えば、しょうもないガキがやることだと感じてるし、そんなことはどうでもいい。


小学校低学年くらいの頃はそんないじられ方をしていたが、小学校高学年になるとテストの点数が毎回高かったからか周りから「天才」とか呼ばれるようになったし。中学生になっても、面と向かっては呼ばれなくなったけど、「ここの箇所、教えて」とか「すごいな、武本は」などといつも褒められていた。俺自身は、ちゃんと授業を聞いて復習をしっかりすれば点なんか取れるだろとか当時は思いながらもやはり褒められるのは悪くはないなと、若干ツンデレみたいな思考になっていたな。


だが、そんな自信・喜びは高校に入ってから1年で瓦解した。近隣の子供たちが寄せ集められる小学校・中学校とは異なり、高校制度はご存じの通り入試を通して自分の生きたい学校を選ぶ。

それはすなわち、基本的に周りの学生全員が自分と同じ程度の学力を持っているということだ。特に、俺が行ったようないわゆる「進学校」と言われるような学校ではその影響が顕著に現れるだろう。


確かに小・中学生の時も賢いやつはいた。でも、自分よりもはるかに上だというやつは周りにいなかったし、9割方は自分より下だった。なんなら当時は少し優越感を感じていたのかもしれない。(今思えば悪いが)

もちろん、例外としてぎりぎりで入試に合格したやつも中には存在するだろう。だけど、そんな奴はごく少数でしかない。

もっと言うと、逆の例外も存在する。いたのではないだろうか。もっと上の学校に行けるだろというやつが家から近いからだとかいう理由でワンランク下の学校に進学する生徒が。別に理由はどうでもいいが、明らかに場違いで桁外れな学の才能をもつ生徒が一人はどの学校にもいたはずだ。


俺はそんな才ある学生の波にのまれて自信を失くしていった。失くした自信の代わりに小学生の頃からやってきた、いわゆる「継続力」でなんとか東京でまあまあ有名な私立の大学に進学し、そのままある程度のの企業に就職した。その頃にはもう「継続力」という名の努力や根性も勉強による完全燃焼で失ってしまい、なるべく楽して好きなように生きたいと考えるようになっていた。


ただ、俺の入った企業は緩急の差が激しく、暇なときは定時上がりが簡単にできるのだが、繁忙期はほぼ毎日全員が残業で日をまたぐような感じだった。同期だけでなく上司すらもエナジードリンクに頼っている状況を目撃するほどだった。


そんな時期真っ最中のある日のことだったな、あれは。

その日もヒイヒイ言いながらどうにか一日の仕事を終えた俺は家に帰ろうと駅に向かっていた。月明かりに照らされた駅の外観が見えたことで先ほどよりも少し早足に歩きながら自分がはめている腕時計を確認すると、

 ”午前12時50分” 

今日もまた日をまたいだなと思いつつも駅の出入り口を通り改札口に入って駅に来る電車を待つ。

 

再度腕時計を見ると

 ”午前12時53分”


「こんな生き方をしたいわけじゃないんだけどなぁ」


周りに人が複数人いるのもお構いなしに俺は息を吐いた後、そう呟く。いっそのこと仕事を辞めてずーっと家でゴロゴロしたりゲームでもやろうかなと考えたのち、ふと思い出す。


「そういえば仕事のせいでみんなに迷惑をかけているな」


何のことかというと俺がハマっているゲームのことである。


俺は大学生の頃にハマって今でも続けているMMORPGがある。基本的には他のRPGにもありそうな要素が含まれているのだが、一つだけ特徴がある。それが、パーティーでボスを倒した時とソロでボスを倒した時でドロップするアイテムの種類が全く異なることだ。通常、ボスモンスターは5人以上のメンバーでパーティー(チームのこと)を結成して戦いに挑む。ボスを倒した暁には通常のモンスターのドロップアイテムよりも高価で強力なアイテムがドロップする。


しかしそのボスをソロ、つまり一人でクリアすると通常のボスドロップアイテムよりもさらに高価で強力なアイテムが落ちるのだ。ただし、当たり前だが一人で倒すのはパーティーのそれよりも数倍、いや十数倍難易度が跳ね上がる。ゆえに現在、ゲーム内では50のエリア、つまり50体のボスが存在するのだが、パーティーで攻略されたのは45であるのに対してソロで攻略されたエリアは11しかない。

そしてこのゲームの運営側の熱意があまりにも強いためか、新エリアがひと月からふた月に一つの頻度で制作されており、さらに毎回ボスの難易度が加速度的に上がっている感じなのだ。


そんなゲームを俺はリリースされて間もない頃から大学の同級生とパーティーを結成してやり込んでいた。いつしか俺たちのパーティーは前線組として立つようになり、今は44のエリアを踏破していた。しかし、俺を含めた仲間全員が就職したことで学生の頃よりもゲームにログインできる時間が一気に減った。


それでも、なんとかみんながそれぞれ空いている時間帯にレベル上げだったり装備を整えたりして、みんなが集まれる日にボスの攻略に挑んでいたのだが、ここ最近俺の企業が例の時期に突入したことでみんなと顔を合わせる日がなくなってしまい、ボス攻略に挑めなくなっていた。みんなは俺の事情を理解してくれて、「ソロでのボス攻略を誰が一番多くできるか選手権」をやって俺が帰ってくるのを気長に待ってくれているという。そんな報告を聞くとメンバーたちの優しさに感謝すると同時に申し訳なさを感じてしまう。自分としても早くゲームを再開してみんなとボス攻略を進めたい。


しかし、その思いとは裏腹にまだ1か月ほどの間は自分は戻れないという現実に直面する。


 ”午前12時57分”

三度目の腕時計を確認する行動とその時間に少しいらだちを覚える。


「落ち着け、落ち着け」


今は行けなくてもやれることはある。次にみんなで攻略するボスは決めてあるからな。そうやって心を落ち着かせながら次のボスの情報を思い出す。確かボスの名前は「ジャイアント・アンチマジックゴーレム」だったかな?

「ゴーレム」の名の通り、生半可な物理攻撃は通用しないにもかかわらず、「アンチマジックゴーレム」という名前のモンスターは魔法攻撃すらもほとんど無効化されてしまう。そんな1体倒すだけでもめんどくさそうなモンスターのボスであるから、厄介極まりないのは間違いないだろう。

もちろん、ゴーレムには弱点である核が存在するものの、ボスである「ジャイアント・アンチマジックゴーレム」は常に核が移動しているのだ。


「いっそのこと、敵の防御や無効を無視して攻撃出来たら苦労しないのになぁ...あ、でもそんなチーターみたいなことしてもなにも面白くないか」


苦労して手に入れた達成の方が、何の苦労もなく得た達成よりも喜びや幸福感を感じることができる。昔の偉人が残したような残していないようなそんな言葉を頭に浮かべたまますぐ近くまでやってきている電車に視線を向けているときにそれは起きた。


自分の後ろを通り過ぎようとしていたサラリーマンの体が俺の背中にぶつかったのだが、仕事による過労に自分の体が耐え切れなくなっていたのだろうか、俺は自分の足で踏みとどまれずにそのまま前へつんのめってしまい、ホームの先の暗闇へと飛び込んでしまったのだ。


文字の如く、目の前が真っ暗になってしまってからは意識がはっきりとはしていない。ただ漠然と「俺は線路に飛び込んで死んだのかな」と思ったくらいだった。死ぬ前に走馬灯を見るという話をよく耳にしていたが、俺の場合は全くそんなことがなかったな。これも過労が原因なのかな。




...それにしてもこの感覚はいつまで続くのだろう。

なんせ自分の周りが完全な暗闇で包まれているから、自分が今どういう状況にあるのかが一切わからないのだ。まるで光が届かない深海を泳いでいるような感覚だ。そんな曖昧な不安を抱えながら暗闇の中をさまよい続けていると、わずかに少しだけ光が届いたのを感じた。その光の方向へ動くと、その光は少しずつだが確実に大きくなっている。

もう少しだと思い、さらに早く動きながらその光に手を伸ばすよう意識していると...


...気づいたら俺は宮殿の広場のような場所に立っており、目の前には顔立ちが綺麗に整っている、つまり絶世の美女がいた。

綺麗な女性がこんなところで何をしているのか疑問に思ったのだが、頭の中に浮かんだその疑問は視界がクリアになった瞬間にはじけ飛んだ。




その女性の背中には、翼が生えていたのだ。


1、2話目と打って変わって3話目があまりにも長くなってしまいました。

最初は前の2話と同じ文章量でいけるなと思っていたのですが、書いていていろいろと構想が浮かんできてしまい、全部入れたらこんな風になりました。

読者の中には読んでいて不満を思われた方もいるとは思いますが、この作品はこんな風に行き当たりばったりで書いていきますのでご容赦ください。





こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。

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