主の正体 その4
...先に言っておきますが第1章、今回で終わりません! やってしまった! 前言撤回です! 書き進めていたらめっちゃ長くなっちゃって全然キリよく出来なかったっス! スンマセン!(小物感)
いや、次回でキリよくなると思います!...多分。なるよね!? なると思いたい!!
普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。
「...というわけで、あの女神が言うにはお前と婚姻関係を結ばなければいけないらしいのd」
「喜ンデオ受ケシマス!!」
「判断が早すぎない!?」
女神ルシラの提案の全容を聞き終えた俺はそそくさと元の世界に戻り、テレポートで例の洞窟に戻っていた(ちなみに瞬間移動する直前に数多の足音が近づいてきていた時はめっちゃ焦った)。その後、元の体に戻すための方法を教えて今に至るのだが...
「ダッテ、体ヲ戻スタメニハソノ方法シカ無インデショ? ソレニ、私ノコトヲ助ケヨウトシテクレルアナタトノ婚姻ナラ全然受ケ入レラレルシネ。モシカシタラ、天使ノ加護ガ私ニ付クカモ!」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどなぁ...」
― あの女神の推測と同じこと、言ってくるやん。なんかちょっと癪に障るな...
前世の世界の価値観が残っているからか、さっきまで赤の他人だったやつといきなり「ハイ、結婚」っていうのはちょっと抵抗感が拭えない。前の世界のお見合いでさえ、出会った初日に結婚なんて少なくとも俺は聞いたことがない。そんなことを考えているのが顔に出ていたのか、
「アナタハ天使ダカラ知ラナイカモダケド、コノ世界デハ一回モ会ッタコトガナイ人ヲ許嫁ニスルノハ全然珍シクナインダヨ。」
「そ、そうか...っていうか、俺の呼び方変えてない!? イオで良いよって俺、言わなかったっけ!?」
「エ? 今カラ婚姻関係ヲ結ブカラ、トリアエズ形カラ入ロウト思ッテ...」
「っ!...あ~、それはちょっとむず痒いからやめてくれないか? なんか背中がソワソワする。」
「コノ体ヲモトニ戻シタラ止メテアゲル。」
そう言いながら俺に向かってウインクする。いや、今はまだクワガタの姿だから何をしてもときめかないよ?
「はぁ~、分かってるよ。ここまで来てサヨウナラ!ってするわけないだろ。えーっと確か...」
―――――――――――――――――
「で、その気持ち悪い笑顔はもういいから、その関係の結び方を教えてくれ。」
「えぇ~、教えてもらう側の人にそんな態度で来られても、困りますぅ~。」
「......ドウカソノ婚姻関係ノ結び方トヤラヲ教えてクダサイー。お願いシマスー。(棒)」
「心が全然こもってないですが、時間も押していますのでそれで手を打ちましょう。と言っても、そんな仰々しい手順を踏むわけじゃないんですがね。やることはただ一つ、その呪われているという相手の額に唇をあてる。それだけです! あ、それだけとは言っても相手側が心の底から同意してくれないと、この術は成立しませんからね。例えば、相手を催眠状態にして無理やり関係を築こうとしても、相手が潜在意識下で抵抗していたら成立はしません。今のは極端な話ですけど、まぁあなたの話を聞いている限りでは大丈夫でしょう。」
「...いろいろ文句を言いたいところではあるが、本当にそれで元の姿に戻すことが出来るんならしょうがねぇ。まぁやってみるか。」
「ようやくその気になりましたか! まぁ彼女と出会ったのも何かの運命だと思って、第二の人生を思う存分楽しんできて下さいよ!」
「っ、お前が俺のことを天使に任命した時点で、人生を謳歌する目標は達成できねぇんだよ! なんだよ、『だいたい十年後にこの世界は巨大な危機に瀕します』って! 下手すりゃ俺の第二の人生、十年前後で終わるっていうのに!」
「とは言ってるものの、もう何か考えてはいるんじゃないですか?」
「...ああ、そうだよ。この前死んだばっかりなのに、そう易々と命を投げ出すわけねぇだろ。」
「はぁ~い、それじゃ頑張ってくださいねぇ~。あ、あと上手くいったら、私が先ほど渡した能力で連絡をくださいねぇ~。」
「...はいはい。」 ガチャガチャ...ドォォォン!!
「あぁー!! 私のドアがぁぁぁ!!」
―――――――――――――――――
「...というわけだから、こっちに額を近づけてくれないか?」
「...話ヲ聞ク限リ、アナタッテ、モシカシテ何カヲ破壊スルノ好キ?」
「気になるとこ、そこ!?」
「大丈夫、今ノハ冗談ダカラ...ハイ。」
― 全然つかみどころが分かんねぇ。本当にコイツとやっていけんのか?
俺は若干戸惑いを感じながらも、額を近づけてきたクワガタの額の端に両手を添える。...事情を知らない人が見たら思考が停止しそうな状況だな。
「...よし、じゃあいくぞ。さっきも言ったが、心の底から俺に身を委ねろよ。」
「ウン、大丈夫。 イツデモオッケー。」
俺は体に巻きついていた抵抗感を無理やり取っ払って足を一歩前に踏み出し、額に口づけをする。何秒経っただろうか、短くも長くもある時間が過ぎて個人的にまだ何も起こらないのかと考えていた時に、それは始まった。
突如としてクワガタの艶のある緑の体全身が真っ白く光り始めたため、驚いた俺はその体から手を離して後方にジャンプした。体長3メルト程度・高さ約2メルト弱あった体は徐々に小さくなっていき、横長だったシルエットはまさに人間の姿だと断言できるくらいの縦長に変化した。そして、その輪郭が俺の身長よりもやや低いところで停止したところで、光が上から徐々におさまっていく。
(その変化は前の世界の少女がよく見るアニメのヒロイン的な変身と似ていたのだが、)クワガタだった時の表面の色よりもっと明るい、透き通ったエメラルドグリーンの髪が肩までかかっていた。
そして顔は天使と繋がりを持った影響なのか、精巧に作られた人形なのではないかと疑ってしまうほど顔立ちが整っており、光を反射しているかの如き白く透明な肌に加えて、大富豪が身につける指輪に付いてるルビーのように鮮やかな赤色のクリっとした瞳が備わっている。控えめに言って美少女。
そしてその下は細く華奢な腕に、わずかに凹凸のある...
「っておぉぉい! 服着てねぇじゃねぇか!!」
急いで俺は後ろを向き、何か彼女に着させられそうな服がないか探し始める。
「え、だってあの体に合う服なんてなかったから。」
「たしかにそれはそうだけどもっ!......あった、これを使おう。」
俺は異空間の中にしまっていた、さっき戦った蜘蛛たちの外殻と糸を取り出して、例のハンマーを出現させる。
「鍛冶師でも服を作れるのかは知らんけど、とにかくやってみるしかない。」
― どうせなら防護の役割も込めてっと...
俺は彼女に着させる服をイメージしながら、地面に積み重ねた殻や糸に向かってハンマーを軽く振り下ろす。
「...ふーっ。なんとか上手くいったかな。」
そう呟きながら額にあてていたゴーグルを目の上にかけて創った服を鑑定する。
《上質な白黒のワンピース(メイル付き)》 C⁺
柔軟性のある蜘蛛の糸と軽量ながらも頑丈な殻を使用して出来た、防護の要素とファッション性を兼ね備えた服。『鍛冶師』の効果により、寒暖の影響を無効にしている。
「たしかに気温の変化を無視した服をイメージはしたけど、本当に創れるとはな...っとと、余韻に浸っている場合じゃないな。」
俺は完成した服を片腕で抱えながら余った素材を元の場所に戻し、そのまま後ろ向きに彼女の元へと歩み寄る。どうやら俺が何かしているのを待ってくれていたようだ。
「えーっと、ちょっとこれを着てみてくれ。大きさが合わなかったら言ってほしい。すぐに直すから。」
...ファサッ、ムズムズ
「...うん、良い感じ。ありがとう、私のために作ってくれて。」
「ん? あぁ、それについては気にしないでく......うおっ」
「?」
後ろを向いてたから分かんなかったけど、即興で作ったありきたりなデザインの服を彼女が身にまとうことで、最高級の服に感じさせるほどに彼女の容姿は完璧だった。さっき一瞬顔を見たはずなのに、改めて彼女の容姿の凄みを感じさせられる。
― 天使との繋がりってここまで影響するもんなのか!?
「...うん、とりあえず、似合っていて安心した。...えーっと、ごめん名前聞くの忘れてた。なんて呼べばいい?」
「名前、イオが決めてほしいな...」
― な、なんだこの美少女からの上目遣い頼みの破壊力は!! しかも、繋がりを持ったおかげなのか分かる...彼女、本心からこの行動を取っている! ...落ち着け、落ち着け俺!
「え、えーっと...名前なら両親につけてもらったものがあるんじゃないのか?」
そう尋ねた途端、鮮紅の瞳の美少女は上げていた顔を俯かせ、
「...あの時の名前はいらない。あの時の記憶を思い出しちゃうからイオにその名前で呼んでほしくない...」
静かにそう呟いた。
― そりゃそうか。身体的な苦痛がなかったとはいえ、ずっと地下に閉じ込められてたんだからな。あまり良い思い出が無いんだろうな。
「すまない、気分を悪くさせてしまったみたいだな。...よし、俺で良ければ名前、決めてやるぞ。」
「っ! いいの!? 」
「あぁ。 といっても、俺も名前を付けたことがないからあまり文句は言うなよ?」
「うん、大丈夫。イオが付けてくれるならどんな名前でも構わない。」
「そこまで言うか...んーと、少しだけ時間をくれないか?」
俺は、気分良く返事をする少女の全体像を眺める。
― ふん、やっぱり最初に目がいくのは瞳と髪だな。こんな透き通った色なんか日常的に見ることがない。っていうか、「赤」と「緑」から名前をとるのはありきたりだな...よしっ!
「レナ。...レナ=メラルドなんてどうだ? 嫌なら別の名前にするけど。」
「レナ。...うん、良い名前。ありがとう、大切にするね。」
そう感謝の言葉を口にするレナは、頬を少し赤くさせながら微笑んでいた。
― うん、これはヤバい。「控えめに言って美少女」の顔で微笑まれたら毎回、手を合わせて拝みたくなってしまう。っていうか結局「くれない」からもじった単純な名前にしたのに、彼女はなんて純粋なんだ。なんかもう全てがどうでもよくなってしまいそうだ......ハッ! だめだ! 相手は十歳の女の子だ。そんな子に惚れ惚れしていたら、あの女神からロリコン認定を受けて一生それで擦られてしまう!
「あ、でも婚約関係結んだのに、家名が違うのはどうなの?」
「え? そ、それは...ほら、体裁的な意味だよ! この年でもう『婚約者がいます』っていうのは、ちょっと...うん...アレだから!」
「ふぅん。イオがそういうのなら、私は何も言わないよ。でも、ちなみに言うと10歳で婚約を結ぶのは貴族では普通のことらしいよ。」
「そ、そうなのか!? あ、でも俺たちは貴族でもなんでもないから...」
「うん、それもそうだね。大丈夫。私、無理強いするつもりはないから。それに『メラルド』って響きも好きだし...」
「う、うん。気に入ってくれたのなら良かった。あはは...」
そう言いながら彼女の動き一つ一つに心が揺らいでいた俺は、頭の中で「煩悩退散、煩悩退散!」と唱え続けるも、途中で『いやでも、そんな子と成り行きとはいえ、婚約関係結んじゃったんだよな!? ヤバくねぇか!?』と頭を悩ませる状況に気づいてしまった。そんなパニックになった俺の脳内を知ってか知らずか、レナが
「...そういえば、今ってヴァロニア暦何年? 私、結構長い間ここにひっそりと暮らしていたから、時間の感覚が分かんなくって。」
「え、そうなの?...じゃあご飯とか就寝とかどうやって時間決めてたの?」
「...お腹が空いたら食べて、眠たくなったら寝てた。」
― お、おう。これはいわゆるニートってやつなのでは?
「そ、そうか。じゃあこれから体を順応させないとな。ちなみに今は1010年だよ。」
「そう。...私、ここに11年もいたのね。」
「え、そんなに!? でも見た目は俺より幼く見えるけど。」
「多分、あの姿になったときから成長が止まっていたんだと思う。」
「あぁ~なるほど。呪いを受けていたから本来の体の成長が阻害されていたのか。つまり、見た目は10歳だけど精神年齢は21歳ってことだな。俺とほぼ一緒だな。」
「...そうなの?」
「おう、ここに来る前に24年ほど別の世界で過ごしていたからな。まぁ、ちょっとだけ俺の方が年上だけど。だからまぁそんなに気にすることはないよ。」
― え、ちょっと待ってつまり見た目はロリだけど中身は俺と同じくらいってことは...
ぽくぽくぽく、ちーん!
“俺と彼女との婚約は合法ってことですかぁぁ!”
誰もが分かると思いますがちなみに言っておくと、レナの家名「メラルド」はエメラルドから取りました。もうちょっとオリジナリティ溢れる名前にしたかったなぁ...これがセンスの無さっていうやつなんですかね。
こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。




