主の正体 その3
普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。
「ふむふむ、なるほど。 ...で、なんでそのまま助けないんですか?」
俺が話し終えると、ルシラは開幕早々言い放ってきた。
「いやだから、呪いの解く方法が分からないから今こうやって聞いてるわけ! そうじゃなかったら、こんなとこに自ら進んで来るわけないでしょ。」
「この場所を良く知らないあなたに悪く言われる筋合いはない! って言いたいところですが、まぁ私は女神ですから寛容な心でその言葉を流してあげましょう。」
...いや、女神さんや。普通に口に出したら意味ないのよ。寛容な方はわざわざ言わないのよ。...おい、『えらいでしょ、エッヘン!』ってドヤ顔すんな!そこまでいったら女神というより子供っぽいわ!
「それで、呪いを解く手段についてですが、もとからあなたの中に備わっているはずですよ。」
「は? いや、それだったらそもそもここまで助けを求めに来ないし。だいたい解呪の能力を俺が持ってるったって、ステータスには何の表示もなかったぞ? それともあれか? 実は空属性だけじゃなくて聖属性の魔力も俺に備わっているのか?」
「ふむ、おかしいですね。確かに付けたはずなのですが......あっ、思いだしました!ちょっと能力開示してくれませんか?」
「は? おいおい、まさか俺が転生する際につけ忘れてたとか言うんじゃないだろうな?」
「いえ、そういうわけじゃなくて。ほら、名前とパラメータの間に妙な隙間があるの分かります?」
「あぁ、それが一体...って、まさか。」
「はい、それではその部分から目を離さないように。...はい、『可視化』!」
そうルシラが叫んだ瞬間、名前の下に文章が浮き出てきた。
<称号:『女神の寵愛を受けた天使』>
女神の庇護下に入ったあなたには、常時「精神攻撃無効」・「状態異常無効」・「自動回復(特大)」が備わる。さらに『天使』という、世界のサイクルを誘く役割を担ったあなたには、「取得経験値上昇(特大)」が追加で付与される。
「...おい、一つ聞いていいか?」
「...はい。」
「...なんでこれを隠してたんだ?」
「え、えーっとですね... ほら、称号が画面に映っている状態だと、他人に鑑定されたときに『天使』だってことがバレて生活しづらくなっちゃうでしょう? そ、それを避けるためですよ、うんうん!」
「...なんか今取って付けたような理由に聞こえたけど、もうそれでいいよ。...ハァ、なんか変だと思った! 何かしら倒すたびにレベルが必ず上がったからさぁ。途中から『俺のステータス、バグってんじゃね?』って思い始めてたし。ちゃんとした仕様(?)で良かった~。」
― 思い返せば、あのクワガタが俺を見てすごいオーラだって言ってたのは、これが原因なのかも。
「...なぁ。今ふと思ったんだが、」
「なんですか?」
「...天使はこんなチートじみた能力を最初から持っているけどさ、これ天使自体がもはや世界にとってイレギュラーなんじゃないの? だって天使って神の遣いなんだから、神が半分介入しているようなもんでしょ? 俺が何か行動を起こすたびに世界の反動が起き続けるんじゃないの?」
「...これだから君のような勘の良い天使は嫌いなんですよ。」
「いきなりそういうこと言うのやめてくれる? ...っていうか、絶対日本の作品めっちゃ見てるでしょ。若干変えてるけど分かるからね?」
「あーもう、そうですよ! あなたの推察通りですよ! 本当はあまり天使を召喚したくないんですけどね。でもあの世界は前にも言ったように、超でっかい危機がたま~に訪れるんです。それが世界サイクルの一部に組み込まれているもんですから、本当はその世界の人たちだけで乗り越えることが出来ればいいんですけどねぇ。」
そう言いながらルシラは大きなため息を吐いた。
「過去二回ともそれだと全滅すると予測されまして、仕方なく毎回この世界に適応できそうな人材を異世界から呼び寄せているわけです。
...まぁ、天使召喚による反動なんて超巨大危機に比べたらちっぽけなものですから、どうせだったら天使に頑張って危機を受け止めてもらおうということです!」
「でもその召喚による反動も危機の中に組み込まれる可能性があるんじゃ...」
「ええ、その通りですとも! 先ほど言った通り、やっつけ召喚です!!」
「...本音を言ってくれてどうも。」
「まだ何か不満を言いたそうな顔をしてますが、こちらにも用事があって時間が取れませんから...ちょっとお顔のほう失礼。」
そう言いながらルシラは自身の人差し指と中指を俺の額にあててきた。......俺が来るまでダラーッとしてたやん、という言葉は吞み込んでおく。
「...よし、これで大丈夫です!」
「一体何をしたんだ?」
「あなたの体に今いる世界のガイドシステムを組み込みました。そこの世界に関する質問だったらなんでも答えてくれますよ。まぁ答えるだけの役割なので、演算機能とかスキル使用のサポートとかをやってくれるわけではないんですがね。」
「いや、そこまでの機能があったらあの世界でのパワーバランスがぶっ壊れるから! これで充分だから、サンキュー。...で、話をもとに戻すけど、」
俺はそう言いながら再度先ほど見た称号の画面を開ける。
「この称号に呪いを解く効果があるのは分かったけど、これをどうやって使えば治せるんだ?」
「え、どうやってって言われても...普通に呪いを受けた人の身体か呪いそのものに触れれば簡単に出来ますけど。」
「は? 俺、普通に背中に乗ってたけど何も起こらなかったし、なんならその箱をガッチリ両手で持ったけど何の反応も無かったが?」
「...(ジト目)」「...♪(口笛でごまかす)」
「...ルシラって本当に女神?」
「当たり前じゃないですか!! 何なんですか!? もう一回、今度は全力で発光してやりましょうか!?」
『発光してやる』なんていう脅し文句、初めて聞いたんだけど...ホタルか何かかな?
「じゃあどうすればいいんだよ。ほんまもんの女神サマなら知ってるはずでしょ~?」
「(ピキッ)えぇ、知っています、知っていますとも! もう一つ方法がありますよ。それはですね...あなたが呪いにかかった者と強力な関係を構築することです!」
「強力な関係? 親友にでもなれってことか?」
「もちろんそれでもなれますが、なにぶんそれでは時間がかかりすぎてしまいます。何も施さずに解呪できるというメリットはあるものの、デメリットとの釣り合いが取れない。そこで私が提案するのは二つ。一つ目は『主従関係』です。」
「主従関係か。...それはあのクワガタと何かしら契約を交わせってことか?」
「正解です。契約にも種類がありますが、あの世界で一般的な契約は奴隷契約でしょう。ですが、あなたの前世はそういった概念とは縁遠い世界だった。ゆえに、奴隷を自分の手で生み出してしまうことに抵抗感があるでしょうから、提案はしますがおすすめはしません。...まぁ、向こうの世界では奴隷という言葉で表現されてはいますが、従者やらメイドやら雑用係やら多種多様な扱いがありますから、まぁ慣れればなんてことはないと思いますが。」
「うーん、そうかもしれないが、そもそもまだ一回も奴隷という存在を見たことがないからなぁ。あんまりピンとこないな。 ...じゃあ、もう一つは何だ? 奴隷契約よりも簡単なのか?」
「はい、それはそれは簡単ですよ。二つ目は...『婚姻関係』です。」
...コツコツコツ、パチーン!
「痛い! なんで無言でデコピンするんですか!?」
「お前がネジぶっ飛んだ発言をするからだろうが!! なぁ~にが『簡単ですよ(ニコッ)』だ! お前は神として生まれるときに倫理観をどっかに落っことしたんか? 無理やり婚約させるなんて、昔の貴族でさえドン引きするわ!」
「あの知らないかもしれませんけど、こっちでは一夫多妻制が主流ですし、なんなら多夫多妻制な地域もあるくらいですから、そこまで過敏になる必要はイダッ!!」
「そういう問題じゃねぇって! 婚約は相手の了承も得たうえでやらないと後々面倒なことになるだろ! だいたい俺は相手のことを何も知らねぇのに! 今んとこ見た目がクワガタなことと元上級貴族の娘なことだけしか知らないヤツと婚約なんてできるわけないだろ! 前世を一夫一婦制の世界で生きた俺の身にも少しはなれ!!」
「まぁたしかに、それは一理ありますけど.....でも、見た目に関しては、言い方はあれですけどあなたの好みに合うと保証できますよ。なんてったって、天使と強力な関係を気づいた時点で美少女になりますから!...年齢に見合った容姿にはなりますが。あ、ちなみにあなたも記憶を取り戻した影響で、この一年間で劇的に雰囲気が変わりますから。」
「...そ、それはまぁありがたい話ではあるけど、...でもそれといきなり婚約ってのは別だろ!」
「えー、いいじゃないですか。どうせしばらくたったら同じ境遇の者同士で意気投合していってそのままゴールイン! するんですから~。今、婚姻関係結んだって同じようなもんですよ~。」
― コイツ! 他人事だからって無理やり推し進めやがって! っていうか干渉の件、全然気にしてねぇじゃねぇか!!
「...仮に俺のほうはOKだったとしても、向こうが同意するとは限らないじゃねぇか。」
「えー、どうでしょうかねぇ。あなたのことを天使だと分かっていて、なおかつわざわざ自分のことを助けようとしてくれる天使のことを好きにならないわけないじゃないですか~。」
― あ、コイツあれだ。いわゆる恋バナとか好きな奴だ...
そして、俺が疑いの目をしていたからか、はたまた呆れたような顔をしていたからか、恋バナ大好き女神はこんな言葉をかけてきた。
「もし、そんなに気になるようでしたら、」
そう言っている女神の顔は、あまりにも少女のように純粋な満面の笑顔のように見え...
「実際に婚姻関係を提案してみたらどうです?」
同時に、友達の恋愛を早く結び付けたい厄介女のような、裏のある笑顔にも見えた。
いやー、今話で一旦、いわゆる第一章的なのを締めくくろうと思ってたんですけどねぇ。キーボード叩いてたら予想以上に長くなっちゃいまして、ここで切り上げる形になりました。プライベートが忙しくて投稿頻度が遅いですけど、おそらく次話でとりあえずキリがよくなると思います!ここまで読んでくれています物好きな皆さん、あたたかく見守っていただけたら幸いです。
こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。




