魔物との遭遇 その3
すみません。一身上の都合(試験やら)で忙しかったので、予告なしに執筆を放置していました。おそらく今年はあまり進まないかもしれません。(月1回程度かも?)それでも見ていただいている人には感謝してもしきれません。ご容赦いただけるとありがたいです。
普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。
「さてと...どうしようか。」
タランチュラを全て倒し、レッドスパイダーに次の標的を向けている俺は、現在進行形で作戦を考えている。先ほど使ったチート級の魔法をもう一度、というのは考えたものの、あれは相手が意識を失うまで魔法を維持しなければならず、戦闘において魔力消費の効率性が悪いということを身をもって知ったため、緊急時以外で使用するのは控えることに決めた。
だったらどうやってあいつらを仕留めるのか? ということになり、「空気」というワードから「相手にかかっている気圧を操作する魔法」というのを思いついたのだが、いかんせん前世の俺は文系で化学や生物という学問にあまり触れてこなかった。
それゆえに、気圧を十倍やら百倍にしたら瞬殺できるのかどうかが分からず、もしさっきの真空魔法(勝手に命名)みたいに長時間の魔法維持が必要なのだとしたら...と思うとやや消極的になる。
そもそも気圧を増やしたり減らしたりするっていう状況がハッキリとは想像できない。空気の圧力だってことは分かるのだが、それを変えるというのが具体的にどうイメージすればできるのか...
真空魔法のときは、「息ができない状況のイメージ」と「呼吸には酸素が不可欠という知識」を強く意識してそれらを媒介として発動させることができた。だが、気圧を何倍にするというのは具体的にどういう状況なのか全く分からん。
「そうか、ここで空属性が研究されてない弊害が来るのか...」
魔法の属性に関する研究が行われていないという状況は、理論にとらわれていない発動者が思い描く通りの魔法を放つことができるという意味ではある。だが、逆に言えばしっかりとイメージが固まっていないと魔法を発動させることが困難ということをも示唆している。
今回の場合、俺が気圧変化の魔法の発動とその影響を、頭で具体的に想像できていないために上手くいかないのだ。
「別の方法を探るしかないかぁ...」
口ではそう言っているものの、そんな簡単なことではないのは自分でもわかっており、すぐには思いつかない。相手側も先ほどの大規模の攻撃を見て警戒しているのか、にらめっこ状態で膠着している。
「はぁぁ...空気しか操れない魔法がハズレと言われるのも少し納得がいくなー。いやそんなこと言ったら、火属性なんか火しか使えへんやん。」
と、自分で自分の言葉にツッコんでしまうほどに思い悩んでいたが、
「ん、待てよ? 誰が空気しか扱えないなんて言ったんだ?」
さっきの受付嬢も言ってたけど、空属性=「空気を操作する属性」という謎の理論が共通認識になっている。だけど、その空属性はそもそもほとんど研究が行われていない。それなのに何故か「そういうものだ」と誰しもが思っている。
かく言う俺も、受付嬢の言葉のせい(?)で「空」という文字から連想する言葉として、最初に「空気」が思いついてしまい、空気しか操れないんだという錯覚に陥ってしまっていたのだ。
「何か他にないか? 『空気』以外でいけそうな言葉は...」
考えを改め直して再度一人連想ゲームをし始めた時、さっきまで微動だにしなかった赤グモらが突如として動き始めた。多くの蜘蛛が一斉にカサカサと動き回るのは非常に気味が悪く、途中で目を瞑ってしまった(目を閉じてるときに攻撃してきたとしても距離が離れているから対処できるだろう)。
数十秒経っただろうか、急に足音が鳴りやんだので目を開けると、赤グモ4~5匹が1グループになって円陣を組んでいた。...いやまぁ、たかが昆虫型モンスターにしてはずいぶん頭が働くなぁとは思ってたけど、こんなことまで普通出来ないって。絶対誰か指揮・監督してるやつがどっかに隠れてんだろ...
俺がそんな決めつけをしている次の瞬間、グループを作っていたクモらの地面に大きな赤色の魔法陣のようなものが浮かび上がった。
「なるほど...集団で魔法を発動させることで威力を上げて俺のところまで届かせる作戦か。」
正直言うと、この世界に集団魔法が存在するのか否か俺は知らない。この世界で読んだ書物に載ってなかったからな、別の魔法書に載ってるって可能性もある。だけど、集団魔法が存在して今相手はそれを使おうとしていると推測して動いたほうが良さそうだ。
「ただ集団魔法になるとどのくらい威力が上がるのかがそもそも分かんないからな。っていか、モンスターが魔法を使うところすら初めて見るし。」
そう考えている間にも次第に魔法の構築がだんだんと出来上がっているのがなんとなくわかる。雰囲気から察するにこれは撃たれる前に倒さないとやばいかもしれない。万が一、攻撃をかわせたとしてもあの魔法の爆発で父が差し向けているであろう兵士がこっちに来てしまう可能性が高い。
「何か手を打たないと...こういう時こそ、俺の魔法の出番だろ!!」
とっさに、謎に包まれている俺の魔法が活用できないか考える。
「そもそも気圧以外で空気を使った応用技は無えのか? あいつらの周りの空気だけ酸素の割合を多くするとか?...いやでも、やり方が分かんねぇし、そもそも爆発させたら意味ねぇからな...やっぱり空気以外でやるしかないか。空、空、くう、くう、くう...あっ、これならいけるか!?」
とある言葉が思い浮かび、俺は頭の中でそれをイメージする。
「理論や仕組みは分からないけど、ゲームやアニメで何度も見てきたからな。きっとやれる!というか、できないとヤバい!!」
魔法が完成しつつある相手を視野に入れながら、俺は頭の中で強くそれを思い描き、そしてその場で
「セイァァァァァァァアアアアア!!」
俺は剣を右に構えた状態から全力で横に一閃した。その直後、地面に描かれていた魔法陣が消えると同時に全ての赤グモが上下に分かれていた。
「...うまくいったみたいだな、俺の空魔法 ―『空間操作』は。」
アニメ好きとしてはすぐに思いつくべきだったのだが、俺は空魔法で「空間」を歪ませつつ自分の剣の斬撃を相手の目の前に移動させたのだ(ちなみに「耐久力貫通」「外殻貫通」も忘れずに)。これなら俺は安全な場所から魔法発動の阻止が可能ということだ。
「テンション上がって横文字使ってみたけど...自分で言うのもなんだがちょっとイタいな、っとと」
分かってはいたが、空気を無くす魔法に比べればマシだが相当の魔力をもっていかれたことを感じた。空間を捻じ曲げるというとんでもないことをやったうえに、今まで以上に大きな斬撃を飛ばしたことを考えると当たり前だった。やるとしてもあと2回が限界だ。そう考えていたら...
『ステータスレベルが10上がりました。』
そんな声とともに、魔力消費による気分の悪さが軽減された。レベルアップによって魔力が増えたのかなと思い、ステータスを確認する。
イオ=ウォルク
〈ステータス〉 レベル27
体力 170(+60)
筋力 170(+60)
敏捷力 170(+60)
耐久力 166(+60)
魔力 216(+100)
〈特殊スキル〉
『貫通』 (レベルMax)
〈通常スキル〉 BP 1,719(+864)
『偽装』 (レベル5/10)
〈職業〉
『鍛治師』 (レベルMax)
「……いや、やりすぎだろ!! 数十匹倒したとはいえ、ここまで簡単にレベルアップなんてしねぇだろ! 魔力に至っては一気に100も上がってるし。え、ナニ、知らない間に俺、獲得経験値量を上げるスキル取ってた? っていうか、そもそもそんなのあったっけ?」
ステータスの画面を見てもそれらしきものがどこにも無い。もしかして表示されないだけで、本当は女神の加護とか受けてるんじゃないの?まぁ、そう思ったとしてもそれを確かめる手段はどこにもないから、そういうもんなんだと割り切るしかなさそうだ。
「あとステータス以外にも、BPが結構溜まってきたな。余裕があるから『偽装』のレベルを最大まで上げておくか。………さて、残りはでっかい黒グモ5匹を倒して、こいつらを指揮しているやつのところに向かうか。」
俺は地面に降り立ち、俺の2〜3倍は大きい真っ黒な奴らと対峙する。なぜ空中戦を仕掛けないのかというと、単に飽きたからだ。もちろん、今後のためにデカい魔物らと地上で戦い合うのはいい経験になるからという目的もあるが、それは建前に近い。それよりも上から一方的に仕掛けるのに飽きたのだ。
「さて、さっきまで自分よりも弱かったやつが今では自分の2倍の強さになっている状況になってどういう気分だ? 確かに、先に手を出したのは俺だが、こっちも生き延びるために必死だからな。そこを通させてもらうぜ!」
そう叫んだ途端、黒グモ2匹が左右から一気に俺のもとへ向かってきた。数的有利を利用して詰めてくると考えていた俺は、予想通りの相手の動きに少し微笑みを浮かべ、逆に自分から距離を詰めようと右のクモに向かって地面を蹴った瞬間、
「フッ!、ッッッッッ!?」
気づいた時には懐に潜り込んでいた。ヤバいッと思い、とっさに「耐久力貫通」「外殻貫通」で腹部に剣を当てる。その直後、
"サクッ"
という音が聞こえ、振り返った時には真っ二つに切れたクモが少しに宙に浮いていた。
ーあ、そうか、さっきまで空中にとどまっていたからレベルアップした自分の身体と感覚にズレが生じてしまったのか。そう考えると常に空中で戦うっていうのも困りもんだな。
「あ、イテッ!」
そんなことを考えてよそ見をしていたのに加え、今までとは違う自分の動きについていけなかったために、上半身から地面に倒れ込んだ。
「いてぇ……今は戦いの方に集中しねぇとな…っと!」
もちろん、コケた隙を見逃すはずもなく、一番近くにいたデカグモがジャンプして右前脚を振り下ろす。それを俺はなんとかかわして一旦4匹から距離を取る。
ー大丈夫だ。ステータスの値は約2倍の差がある。だから普通に戦っていたら、負ける可能性は低い。一番注意するべきなのは……
"プシュッ!"
「やっぱり糸を吐き出してくるか!!」
問題なのはやはり糸だ。もし少しでも自分に当たってしまうと、糸を体に巻いてくるはずだ。片腕が巻かれたならば、筋力勝負で対処することができるが、全身に巻かれた場合は抜け出すのに時間がかかってしまい、その間にズバッといかれてしまう。
ただし、相手が糸を吐く瞬間だけは弱点になる。すなわち、
"プシュッ"
「俺に向かって糸を吐く際には、必ず俺に背中を晒す必要があるってことだ!」
俺は1匹のクモが後ろを向いて糸を吐き出したと同時に少し右にステップし、すぐにそいつの足元へ辿り着く。
ー「耐久力貫通」「外殻貫通」
「さあ、あと3匹だ」
こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。




