初心者の森 その2
普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。
ゴブリン5体を倒して後再び歩き始めて十分強経過した頃だろうか。
...グルルル...
少し離れた場所から低いうなり声が聞こえてきた。魔物が潜んでいるかもしれないと俺は思い、ゴブリン戦のときと同様、カバンを木に立てかけてゆっくりとその声のもとに近づく。4時を過ぎたとはいえまだ日は昇ってきていないため、10メルト先が見えない状況である。
慎重に歩いているとその声が徐々に大きくなり、またその声を出しているものの姿が徐々に見えるようになってきた。
「...ウルフか。」
木の茂みの中に何も生えていない空間があると思ったら、そこで炎よりも濃い赤の毛で覆われたウルフが5匹も寝ていた。どうやらさっきのはうなり声ではなくていびきだったようだ。
「これはレベルを上げれるチャンスだが、起こさずに倒すことなんて出来るのか?」
残念なことに、俺のスキルは「あからさま遠距離系スキル」というわけではない。かといって、今は杖やら弓矢やらを持っているわけではないから『鍛冶師』の出番というわけでもない。
「せめて飛び道具さえあれば......そうだ。」
俺は”あるもの”が地面に落ちていないか探し回り、それを見つけた。
「うん、これならいけるかも。」
俺が探していた”あるもの”は、細くて先端が尖った石だ。これで遠くから頭を一突きすれば絶命させることはできるだろう。
「まさか縄文人に感謝するときが来るとはな。」
加えて俺にはスキル『貫通』がある。俺は石に「皮膚貫通」を与え、顔をこちらに向けて寝ているウルフの額めがけて投げる。
「ガルァァ!!」
額に直撃したウルフは大きな声で叫んだあと、またさっきと同じ体勢に戻った。しかし、それの状態は言うまでもない。いびきをかいて気持ちよさそうに寝ていたら、急に文字通り脳に石が直撃したわけだからな。そりゃあ、そういう反応を起こすだろう。
しかし、さっきの叫び声で他のウルフは目を覚ましてしまった。残りの4匹は一向に起きない1匹がどういう状態か理解した途端、周りを注意深く見渡している。だが、俺は『隠密』で気配を消しておりかつ辺りはいまだに暗いため、ウルフたちは俺の存在に気づけていない。
― もう一回、やれそうだな。
俺は足音を立てないように『スカイムーヴ』で少しウルフから距離を取り、また先ほどのような石を探す。見つけたら近くまで戻ってウルフたちの警戒心が途切れるまで我慢する。
・
・
・
5分ほど経っただろうか。ウルフたちはこれ以上探知しても無駄だと思ったのか、ゆっくりと地面に体を下ろす。その瞬間...
「グルァァァ!!」
1匹のウルフが仰向けにひっくり返った。それはもちろん息が途絶えていた。目の前で仲間の悲劇を見てしまった残りの3匹は最大の警戒心を持つことになった。しかし、それでもなおウルフたちは仲間を倒した相手の気配を捉えられない。当然だ、その者は隠れているのだから。
― これ以上同じ手は使えないか。
敵の数を減らすことに成功はしたものの、俺のほうも警戒を緩めるわけにはいかなかった。まだ自分の存在を敵は分かっていないという、この有利な局面を簡単に手放すことはしたくない。そう思った俺は、再度ウルフとの距離をおいて何か遠距離で倒すことができる方法はないか考える。
「石による攻撃はもうできない。ここには弓矢はない。杖が偶然あったところで俺には魔法の使い方が分からん。今できることは剣で相手を斬ることのみ...遠くから相手を斬る...もしかしたらできるかも!」
やったことがないからわからない。けど、俺の『鍛冶師』はレベルMaxだ。やれないことなんかない。俺はハンマーを剣にあてて目を瞑ってイメージする。
「よし、いける。」
もと居た場所へ戻り俺は攻撃の機会を探る。それが来なさそうなときは、『スカイムーヴ』でウルフたちの周りを音を立てずに歩きながら、その機会を伺う。
そして、その時が来た。
― 今だ!
俺は警戒して動き回るウルフが2匹重なるタイミングを見逃すことなく、その場で剣を横方向に一振りする。すると、20~30メルトほど先にウルフ2匹が一瞬で上下真っ二つに裂けた。
単純な話だ。剣で遠くの敵を倒したいならば、斬撃の波を起こせばいい。ゲームによって名前は違うが、「ウインドカッター」的な技を使えばいい。そして、俺は『鍛冶師』のおかげでそれができる。
「『貫通』も大概だが、『鍛冶師』もやっぱり相当ぶっ壊れてるな。なんでこれをハズレにしてるんだか。」
職業レベルを上げるのにどれほど時間がかかるのかは分からないが、『鍛冶師』はレベル10でも相当ヤバそうな気がする。それなのにハズレとするとは、この世界の人たちはせっかちなんだろうか。
「さてと、無駄話はこのくらいにしてさっさと倒すか。」
残り1匹になったことで俺は姿を見せる。目の前の敵は相当怒っているように見える。
相手はウルフ。ゴブリンよりもやや小柄ではあるが、脚力がゴブリンのそれとは比べ物にならず、飛びつきの速度はゴブリンが突っ込んでくるのよりも2倍ほど速い。しかし、それさえ警戒すれば動きは単調で、引っかきまたは噛みつきしかやってこない。だからタイミングが合えば今の俺なら一発で仕留められる。そして俺はそれができる方法を思いついていた。
俺はじりじりと距離を詰めていく。残りが10メルトほどになったその時、相手は後ろ足に力を加えて飛び掛かってきた。だが飛びつきの前の溜め行動を見逃さなかった俺は、軽く地面を蹴って空中で仰向けの状態になり、ウルフの鋭い爪をなんとかかわす。そこから俺は『スカイムーヴ』で空を蹴って敵の腹あたりを蹴り上げる。これは運動神経があまり良くない俺が生み出した、「疑似バク宙」だ。
蹴り上げた後綺麗に着地した俺は、まだ空中で身動きが取れないウルフの額を剣で突いた。
・
・
・
『ステータスレベルが上がりました。』
グラン=ヘレクレス
<ステータス> レベル3
体力 23(+6)
筋力 23(+6)
敏捷力 23(+6)
耐久力 22(+6)
魔力 22(+6)
<特殊スキル>
『貫通』(レベルMax)
<通常スキル> BP 55
なし
<職業>
『鍛冶師』(レベルMax)
ヒロインを登場させるタイミングに悩む今日この頃。
こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。




