初心者の森 その1
普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。
残りはあと3体。今さっきと同じ要領で倒すことはできるが、他にも試してみたいことがある。
「1対3は少ししんどいから確実に1体ずつ倒していこう。」
俺は『スカイムーヴ』で空中を走り回ったり木に飛び移ったりしてゴブリンを翻弄する。ゴブリンも頑張って視線を追っているが、俺の居場所を掴むのに時間がかかっており、最終的には見失った。向こうは焦りがでてきたのか、個々の距離が遠くなっていた。
― そろそろだな。
ゴブリンそれぞれの間隔がだいたい10メルトほどになったのを頃合いに、俺は加速した勢いに乗せて1体に迫った。当然、対応できるはずもなく、ゴブリンは胴体を両断される。
これであと2体だ。
「次は...『貫通』の内容について突き詰めよう。」
2体目のときの戦闘で効果は分かっているが、どの程度までいけるのか詳細は分かっていない。ゆえにそれについて調べようと思う。
3体目を倒したことによりゴブリンとの距離がリセットされたため、俺は『スカイムーヴ』で姿を消す。
「さて、検証開始と行こうか!」
ショートソードに「装備貫通」を付与して、右にいるゴブリンの右肩を狙う。スパッ、と斬れた感覚が手にくる。振り返ってみるとゴブリンの右腕が地面に落ちており、当のゴブリンは左手で切り口を抑える体勢で地面を転がっている。
「やっぱり、思った通りだ。」
よく見てみると腕だけがなくなっており、服は一切傷ついていない。これは相当強力なスキルだな。相手が鎧やら兜やらどんな装備であっても、それを無視して攻撃できるのだから。
「このスキルが強いことは今ので完全にわかったから、さっさと片づけるか。」
パッと最後の1体を見ると、そのゴブリンは涙目になっており完全に腰が引けてしまっている。どうやら目の前の惨状を見て怯えているようだが、まだその手には棍棒が握りしめられている。
「こういうヤツが命投げ出す覚悟でぶつかってくるのが一番厄介なんだよなぁ。」
俺は真下で苦しみながら悶えているゴブリンの心臓を一突きしたあと、震えながらも両手で持つ棍棒を俺に向けている最後のゴブリンと相対する。
「お前みたいなヤツを見ると倒すことを少し躊躇ってしまうが、こっちも女神のせいで世界の未来を背負わされているからここでお前を倒して強くならなければならないんだ。文句ならあのクソ女神に言ってくれ。」
俺の言葉を理解したのだろうか、しゃべり終わると同時にゴブリンは地面を蹴って棍棒を振りかざしてきた。俺を叩き潰そうとしているのだろう。俺はそれを左ステップで避けながら剣に「皮膚貫通」の効果を乗せる。
― せめてもの償いとして苦しまずに殺めるとするか。
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『ステータスレベルが上がりました。』
俺がゴブリンとの戦闘を終えた直後、脳内にそんな内容の声が響き渡った。
「うーん、今すぐに能力を確認したいけど、後処理を終えてからにしよう。」
そう言いながら、俺はうつ伏せになったゴブリンたちを見渡す。最後のゴブリンは自分でもびっくりするくらい綺麗な状態だった。江戸時代の処刑人に見せたらひっくり返っていたかもしれない。首の皮一枚、いや逆に首の皮だけが繋がっているのだから。俺の剣は皮膚を無視して斬ったため外見では死んでいるようには全く見えない。ただ他の4体は見るも無惨な姿であるため、このまま放置してしまうと血の匂いで他の魔物が寄ってくるとカルロスから教えてもらったからな。もちろん、グランの時にだが。
「ゲームの世界だったら自然と消滅するから楽だったんだけどなぁ。」
ぶつくさと文句を言いながら、俺はゴブリン5体の首から左耳を切り取ってカバンの中に入っている白いきんちゃく袋に入れる。その時に自分の服に返り血がついているのに気付いた。他についていないか確認してみると気に入っていたコートにも付着していた。
「うわぁ~、先に付与しておけば良かった~。」
ショックだがやってしまったことは仕方がない。俺はすぐさまコート、ブーツ、ショートソードに「返り血をはじく効果」を付与する。ついでに剣には加えて「錆びない効果」を付与する。これで毎日手入れをする必要がなくなった。
その後、ゴブリンらが持っていた棍棒で頑張って掘った地面の中に5体とも埋めて手を合わせた。
「よし、後片付けが終わったことだし確認するか。」
グラン=ヘレクレス
<ステータス> レベル2
体力 17(+6)
筋力 17(+6)
敏捷力 17(+6)
耐久力 16(+6)
魔力 16(+6)
<特殊スキル>
『貫通』(レベルMax)
<通常スキル> BP 25
なし
<職業>
『鍛冶師』(レベルMax)
「ステータスの方は予想がついていたからいいとして、問題はBPの方だな。」
単純計算ではゴブリン1体につきBPが5もらえることになるが、この「5」という数字がどっからきているのか。どの魔物を倒しても5ポイントしかもらえないのか、それともゴブリンは5ポイントで他の魔物は違うのか。はたまた全く違う仕組みなのか。
「これ以上は考えても答えは出てこないか。他の魔物も倒してみた方が手っ取り早いな。」
時刻を確認すると4時10分になっていた。
「マジか、もう1時間も経ったのか。森まで走ってきたんだけどなぁ。」
両親の追手がいつ動き出すかわからないから、5時までにはこの森を出てアテネスを通り、なるべく東の帝国に近い場所にたどり着いておきたい。
「よし、少しスピードをあげるか。」
俺は再度荷物を背負って整備された道まで戻り、駆け足で走り始めた。
こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。




