脱出 その3
普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。
「どうやらこのコートの効果は魔力結晶の対策として使えそうだ。」
あの後、俺は階段で2階に降りて廊下の窓から飛びだし、裏口から抜け出て街の屋台で売っている食べ物を買って食べながら自分の部屋まで戻ってきた。普通なら2階の窓から飛び降りたり裏口から出たりすれば結晶による警報が鳴るのだが、それが起こる気配は一切なく、ただ俺は執事やメイドと出くわさないように気を付けるだけで十分だった。
自分の部屋についた後、俺は明日以降の旅に必要最低限のものを一番大きいカバンに詰め込んでいた。
「よし、これで準備は全部終えたから、少し早いけど今から寝るか。別に早く起きるに越したことはないし。」
時計を見ると今は夜の9時。今から6時間寝ても朝の3時だ。俺は枕元に置いてある時計の目覚まし時刻を設定して、ベッドの布団に潜り込む。
―――――
ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピ
「...ん、があぁぁ! もう6時間経ったのかよ~。」
ないとは思うが両親や他の執事やらが起きることのないように、目が覚めたらすぐに時計のベルを止めて俺はすり足で床を歩く。そのまま床の上で体操とストレッチを十分弱行ったあと、さっきのコートを羽織って自分の部屋を出る。
魔力やスキルによる感知には引っかからないものの、透明状態になれるわけではないので、誰かが廊下を歩いていないか慎重にかつなるべく速く地下まで降りる。降りた20メルト先に武器庫の扉が見える。普段は鍵と鎖で厳重に閉められているのだが、扉は開きっぱなしだった。中を覗いてみるとほとんど何も置かれておらず、置いてあるのはそこらへんに売ってそうな武器や装飾品だけだった。
おそらく、ここから離れることを決めた二人が兵士に伝えて貴重な品を回収したのだろう。俺は自分が扱えそうな武器を探していたから手ごろな武器が残っていて少しホッとする。というよりも、武器庫の扉が開いていたことに、俺は幸運だとすら思っている。とにかくなるべく早く自分に合う武器を探さないとな。
個人的には、前世でもゲームの世界で使っておりこっちの世界でも練習した、剣を主要武器にしたいと思っているが、ここに残っているのはたった3本でどれも粗末な状態になってしまっている。一番刃こぼれしていない剣が短剣であるため、近距離で戦わなければいけなくなる。そんなリスクのある戦闘を続けていたら気がおかしくなるだろう。だが、ボロボロの武器で戦うわけにもいかない。どうしたもんか。
「これ、『鍛冶師』で解決できないのか?」
俺の質問に反応したのか、目の前に画面が出現する。
『指定した武器を合成することができます。合成しますか?』
合成...その手があったか! そりゃあどこの世界でも鍛冶師は合成くらいできるか。
俺はさっきの質問に頷くと、ヒヒイロカネのハンマーを出現させる。その後、例の3本の剣を重ねてその上にハンマーをあてる。すると、剣がそれぞれ光り出して融合していく。数秒後には一つの剣となって現れた。
≪良質なショートソード≫ C
少し高価である黒鉄で出来た、少し刀身が短い剣。
黒鉄の特徴である、刃こぼれしにくい性質を含んでいる。
「おぉ! 良いんじゃないか、これ? 俺の手にハマってるしめっちゃ軽いし振りやすい!」
誰だよ、『鍛冶師』がハズレだとか言い出したやつ。鍛冶師、バンザイ!!
その後、武器以外に他に残っている装飾品を片っ端から集めてハンマーで合成させたらペンダントができた。
≪黄色に輝くペンダント≫
これを身につけている者は、麻痺耐性の効果を受ける。
「『思い通り』って書いてあったから、ゲームでモンスターからリンチを受ける発端となる麻痺の対策ができないかなと思ったけど、まさかここまで思った通りに作れるとは...。」
想像以上の大収穫となった武器探しを終えて、俺は自分の部屋まで戻ってきたのだが、ここまで『鍛冶師』が有能だったのかと驚いていた。今後の活躍にも期待しつつ俺は窓の外に目を向ける。
「さて、どの脱出方法がベストなのかなぁ。」
『隠密』のコートがあるからさっき外に出た時の経路で脱出することもできるだろうがなるべく見つかる可能性を下げたい。仮に裏口にも警備兵が配置されていたら一発アウトだ。
「正門には当然のごとくすでに兵士が置かれているからなんとかしてあいつらの死角になるところを通っていきたいんだけどなぁ......あっ。」
窓の外で飛んでいる鳥を見た瞬間、良い案を思いついた。
―――――
「まさか本当にこんなことまで出来てしまうとは... 『鍛冶師』さまさまだな。」
俺は歩きながら米つぶほどに小さくなった警備兵を見下ろす。
そう、俺は今空中を歩いているのだ。
簡単な話だった。常に人の死角になる場所は頭上なのだ。人が空中を移動していると誰が思うだろうか。
「というよりも、この靴の質が付与できるほど良くて助かったわー」
≪猪王皮のブーツ≫
ロードボアの皮を剥ぎ取って作られたブーツ。寒さにめっぽう強い。
付与効果:『スカイムーヴ』
空中を地面のように移動することができる。
コートにブーツまで...公爵の息子というだけあって、どうやら俺は相当親から優遇されていたようだ。今まで自分の物について調べることなんてなかったから、こんなに高価な品を俺は使っていたなんて驚きだ。
けど、こういうことは願ったり叶ったりだ。おかげで少なくとも数年は装備にお金を費やさなくて済
む。
「よし、目指すは東のギザイナ帝国だ。そこで自衛できるための力をつけるぞ!」
普通は富や名声を得るのを目的とするだろうが、そんなことはどうでもいい。裕福な生活を送りたいのではなく、気ままにいろんな場所を旅したいのだ。そのために必要な準備を東の帝国でするだけ。
そう思いながら、まずは東方向二つ先の街アテネスに向かって空を走り始めた。
こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。




