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自称『ハズレ』の超克者  作者: ロア
「追放」という名目の「家出」
11/29

脱出  その1

普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。



「...兄上。」


マジか。演技を終えて疲れた~っていうこのタイミングで面倒臭いヤツに出くわすのかよ。っていうかなんでいつも家にいないくせにこんな時にかぎっているんだよ。


「...この屋敷に何の用ですか、兄上。」


「おいおい、つれないこと言うなよォ。今日は、俺のかわいい弟が天から力を授かる日だから心配して見に来てやったのに、まさかその当人から冷たい言葉をかけられるとはなァ。」


予想しておくべきだった。侯爵家当主の座を狙っている兄としては弟の情報を調べるのは当然だ。俺を倒すためには俺の能力が強力なものか否かを知らなければ何も対策を講じることができない。


といっても、兄に対する嫌悪感やらのマイナスなイメージを持っているのは俺ではなく「グラン」だ。前世の記憶を思い出した俺としては今となっては兄のダリルが何をしようが正直どうでもいい。ただ、下手な行動を取ってしまうと今後の俺の活動に支障をきたす可能性がある。つまり、「グラン」の気持ちになってまた演技をしないといけなくなったわけだ。


「天授の儀式を受けた直後にいなくなったと思ったら、外で父上の手を煩わせるような行動ばかり起こしているのですから、当然の態度だと思いますけど。」


「俺としては別にたいしたことはしてねェつもりだけどなァ。犯罪者として捕らえられたヤツの方がよっぼど父上の手を煩わせてるだろォ?」


「自分を犯罪者と比較している時点でおかしいんです。そういうことを言っているから父上から当主候補に指名されないんですよ。」


「おぉ、言うようになったねェ。でもォ、そう言うお前も当主候補の座を奪われたんじゃねえのかァ?」


「...! なぜそれをっ!」


「俺の情報網をなめんじゃねぇよ。教会の中に俺の仲間を忍ばせるなんて容易いもんだよ。お前、『鍛冶師』なんだろ? いやぁ、お前の今までの努力は全て無意味だったってことを知った時のアイツの顔が見てみたかったぜェ。」


あまりダリルの顔をまじまじと見たことがなかったから今分かったのだが、どうやらこいつは他人のつらい顔を見るのが好きらしい。カルロスの絶望した顔を想像しているのか、彼の顔はニヤニヤした変態じみた状態になっている。こんな顔を見ていないでさっさと自分の部屋に戻りたい。


「どうやら兄上は自分に用がないみたいですから、自分はこれで失礼させていただきますね。」


「ん?...お、おい待てよグラン。用がないなんてこたァ、あるわけないだろォ? 一つが提案があるんだ。」


「僕がそれを受け入れるとでも?」


「おいおい、せめて最後まで聞いてからにしてくれよォ。なァに単純な話だ。もし俺が当主になったら、お前に「秘書」という名のもとでこの街の政治運営をやってもらうっていう内容だ。」


「なぜわざわざそんなことを...」


「天に見放されたかわいそうな弟を助けるために決まっているじゃないかァ。お前、このままだと家名を剥奪されて追放処分だぜ? 職業だけでお前を切り離そうとするアイツにまだ媚びへつらうつもりかァ? 俺が当主になったら、お前の有能な頭脳をアイツなんかよりも有効に活かすことができる。お前もこんなつまんねェ日常生活を送ってねェでさ、俺のもとで楽しく暮らそうぜェ。」


どこぞのB級ヤンキー漫画みたいなちょっとカッコいいセリフを言っているが、物は言いようで俺に事務的な作業や雑用を押し付けて自分は遊びほうけるっていう算段なんだろう。俺がどれだけ前世で言葉の裏を読んできたか。学生の時も社会人になってからも、相手の言葉をそのまま受け取ってはいけないということをいやというほど経験した。そんなしょうもない言葉騙しに引っかかる俺ではない。


というかそもそも、俺は一人旅に出るって決めてんだ。たとえほんとに面白おかしく暮らせるとしても、俺は自分の道を歩むという前世で出来なかったことをやりたい。だからカルロスの味方にもお前の味方にもならない。


「申し訳ないですが急に言われても困ります。明後日の昼に決めるという流れにしてもらえませんか。」


「俺は忙しいことで有名だが、かわいい弟のためだ。いいぜェ、俺の心は寛大だからなァ。明後日の昼にまたこの場所に来てやるよ。それじゃあ俺は父上のところに行くから、お前は俺についていく準備をしておけよォ。」


そう言いながらダリルは俺の左肩をポンと叩き、そのままカルロスの部屋へと向かっていった。




――――


「あああぁぁぁ、クソしんどい~」


俺はダリルの姿が見えなくなった後、早歩きで自分の部屋に戻ってそのまますぐベッドに顔からダイブした。


「ほんとにアイツなんなんだよ。」


ダリルの行動に関して理解はできても納得はしていない。基本的にへらへらした顔で話しかけるから余計気に障る。それが彼の思惑なんだろうが前世の俺から見ても少し腹が立った。あいつは俺と話した後にカルロスがいるところへ向かったが、何しに行ったのだろうか。


いや、そんなことを考えても時間の無駄だ。とりあえず一人旅に出る準備を整えないとな。明後日の昼にまたアイツはここに来るから当日の朝までにはこの屋敷から出たいな。とりあえずまずは目的地を決めないとな。





早速グランの記憶を呼び起こしてどこの国に移るのか決める。

この世界には2つの大陸が存在しており、それ以外は全て海で覆われている。簡単に言うと、太古の地球のパンゲア大陸を縦に二分割して少し離したような感じだ。大陸間の距離が短い海の真ん中をいわゆる日付変更線として設定しており、西側の大陸は俺が今いるリーゼウス王国を含んだ5つの国に分かれ、東側の大陸は3つの国に分かれている。


西側の大陸は国境線がバツ印を描くような形で引かれており、北側にリーゼウス王国, 南側にエシュリーゼ共和国, 東側にギザイナ帝国, 西側にガルー王国が存在している。そして、その4つの国に囲まれるような形で「永世中立」を宣言しているスタニス国がある。


この5つの国には特徴があるが、俺が個人的にまず行きたいのは東のギザイナ帝国だ。理由としては、グランの時の記憶を思い出すと、この国の文化は日本のものと近いのだ。女神や天使が介入したせいなのか、この国は食物の新鮮さを追求しているらしく、海で捕れた魚介類の料理が他の国と比べて極めて美味しいのだ。グランの時はその異質さに少し興奮していたが、今は懐かしい感じが心に残っている。


そしてなにより他の4国と比べて最も際立った特徴は「貿易」だ。西側の大陸との貿易港の8~9割はギザイナ帝国に設置されている。一応、スタニス以外の3国にもあるっちゃあるが、多くて3つ程度で一番西側のガルー王国には1つしかない。


そりゃそうだろう。わざわざ距離の遠い国に行って輸送費がめちゃくちゃかかるような愚かな行動をとるような国はいないからな。ゆえにギザイナ帝国は貿易に関して独占的な権利を持っている。そこに行けば武具やら必需品やらなんでも手に入って気ままに過ごせる。生活の基盤を整えるには一番最適だ。



――――



一人旅の最初の目的地を決めた後、儀式やらなんやらの疲労が体にきていたのか、俺はそのまますぐに夢の世界へと沈んでいた。目が覚めた時には夕方の6時になっていたため、早めの風呂に入ることにする。着替えをもって部屋を出て歩きながら今後の具体的な流れを考える。


まず、一人旅をするにあたって一番大事なのは自衛力だ。誰か助けがくると思っていると簡単に死んでしまうだろう。ここは比較的安全な日本ではないのだ。この世界で危険な目に遭う確率は前世の数十倍もある。


となると、まずはレベル上げと技術の向上だろう。この世界にはHP(ヒットポイント)というものが存在しない。つまり、上手くいけば一撃で相手を倒せるが、逆に全然ダメージを与えることができない可能性もある。


これに関わってくるのが純粋な能力と目に見えない技術力だ。技術に関しては、カルロスから教え込まれた剣技と前世のゲーム知識で最初はカバーできるかもしれないが、純粋な能力に関してはモンスターと戦う以外に他ない。その実践のために必要になるのが武器だ。ただ、レベル1の俺にはまる武器がこの屋敷にあるのかどうかが分からない。訓練時は木剣を使っていたからな。なかったら手に入れるまで素手で倒すしかなくなる。この屋敷にあることを願おう...


「仕方がないだろう! これは決定事項だ!」


そんなことを考えていたら急に怒鳴り声が廊下に響き渡った。声がしたのはカルロスの部屋だ。俺はその部屋の扉に足音を殺して近づく。


「本当に彼に座を渡すのですか!? 今すぐにという必要はないではありませんか!」


「確かに今の必要はないかもしれない。しかし、アイツは何をしてくるのか分かったもんではない。最悪の場合、アイツはクーデターを起こして無理やり私を引きずり下ろすだろう。そんな漠然とした恐怖に悩まされるくらいなら私は先手を打つ。」


どうやらカルロスとイリアが今後のことで話し合っているようだ。やはり、カルロスはダリルに当主の座を明け渡すのか。


「でしたら、グランの方はどうするのですか。」


「私たちと共に来てもらう。弟の家でアイツのスキルに関して調べるつもりだ。もし有能なスキルなら国王に奉納して侯爵家として返り咲くことができる。逆にハズレのスキルならばそのときに決めればよい。再度言うがこれは決定事項だ。明日の8時には執事や側仕えを連れて弟の家に出発するぞ。」



......マジかよ。




こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。

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