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自称『ハズレ』の超克者  作者: ロア
「追放」という名目の「家出」
10/29

『鍛冶師』=『ハズレ』? その2

普段は小説を読む側のド素人が暇つぶしに書いてみた作品ですので、読者の皆様も暇つぶし感覚で気ままに読んでいただけたら幸いです。また、本業の方が忙しいときがありますので、感想や評価を読むことはあまりできないかかもしれません。ご理解のほどよろしくお願いします。



コン、コン、コン


「...入れ。」


ガチャ


「失礼します。」


はぁ、来ちゃったよ~。正直に言うと、カルロスの命令をすっぽかしてさっさと一人旅をしようと思っていたんだけどなぁ。俺は転生する際に今後は自由気ままに生きていくんだと決めたからな。一応、この世界の両親に迷惑はかけたくないとは考えたが、それのせいで自分の人生を犠牲にすることになったら本末転倒だ。


だから本当はカルロスの話を聞くだけ時間の無駄なのだが、話をしておかないと今後彼の部下か誰かに追われることになるかもしれないからな。そうなった場合の方がめんどくさいから仕方なく彼の部屋に来たのだ。

それに俺には正式に館の外へ出ることに関して勝算がある。先ほどの教会での彼の言動を見て、俺は見いだした。


―― おそらく俺は追放される。


前世に漫画を結構見てきたからか、追放される主人公に共通するものを見つけた。それは、

1.主人公の出身が高い位であること。

2.(世間的に)ハズレの能力を獲得したこと。

3.主人公の親のプライドが高いこと。


3に関しては追放される可能性が高まる要素であって、十分条件は1と2の両方であると俺は考察している。おそらく、8割方の追放漫画はこれを満たしているのではないだろうか。あくまでも推測の域を出ないが。

しかし、もしこの仮説が正しいのであれば、今後俺は追放されるであろう。それは俺にとって非常に喜ばしいことである。なんせ合法的に一人旅ができるのだからな。どうせなら、より可能性を高めるために、カルロスをさらにイラつかせる発言をするか。


俺がそんな変な決心をしているとはつゆ知らず、カルロスは独り言のようにつぶやく。


「天は我ら一族を見捨てたのかもしれぬな...」


「えっと、どういうことですか?」


「お前は天からヘレクレス家の次の当主として認められなかったということだ。」


...どういうこと?


「その様子だとわかっていなさそうだな。もう少し詳しく教えてやろう。そもそもなぜヘレクレス家が侯爵の地位まで上り詰めたのか知っているか?」


「....ヘレクレス家の初代当主カルア=ヘレクレス様が実力で王国騎士団長にまで昇進したからでしょうか。」


俺はグランだった時の記憶を呼び起こして答えた。この世界の貴族は自分の家に誇りを持つことが重要視されてるから、6歳から無理やり勉強させられたんだよなぁ。あれはほんとにしんどい。


「そうだ。そしてこれはまだ誰にも言っていないことなのだが、私たちが初代当主の血を受け継いでいることを証明するために、当主になれる条件として『剣士』の職業をもっているというものがあるのだ。」


...なるほど。つまりあれか?俺が「(女神の言う)魂のトコ」でてっきり『鍛冶師』を選んでしまったがために、この家が崩壊しそうになっていると。



いや、知らんがな。


そもそも時間軸的に俺が職業を選ぶのが先だったし、なんなら女神が俺を貴族じゃなくて一般ピーポーに転生させとけばよかったんだから、俺のせいではねぇぞ。

それに、なんで今も剣士にこだわっているのか。悪しき伝統ってやつだな。前世でもあったわ。なんでこれが残っているのか分からん校則が存在していて、生徒の間でめっちゃ文句言われてたな。


というより、なぜカルロスは俺にこんな話をしているんだ?俺が当主になれないのを分かっていて俺に秘密を伝えている。


「先ほど、お前のスキルに関して調べるために資料を漁ったのだがどこにも載っていなかった。いわゆる『初見スキル』というやつだ。それに関しても他の貴族から懐疑の目を向けられていたのだが、私は無理やりお前を次の当主にするつもりだった。スキルの効果などあとから調べていけばよいのだからな。

 しかし、それは叶わなかった。当主の前提条件である、『剣士』をお前は持ち合わせていなかったのだからな。」


「......つまり次の当主は私ではなく、兄上だということですか?」


「まだ確定しているわけではないが、現時点ではそうなる可能性が高いであろう。」


「そんな......なぜですか!? 私が当主ではいけないのですか! 父上もさんざん兄上に対して手を煩わせていたではないですか! もし兄上に当主の座を渡したらこの街が崩壊してしまいますよ!」


「そんなことはわかっている。あくまで可能性の話だ。他に何か手があるのだとしたらそちらを選ぶ。......少なくとも『鍛冶師』となってしまったお前に当主の座を渡すことはない。」


「どうしてですか!? 『剣士』でなくても良いではありませんか! 父上は過去のご先祖様の栄光と未来の市民たちの希望、どちらが大事なのですか!? 『剣士』でなくても私は侯爵家になれるように努力します!」


「だまれ! 私の期待を裏切ったのはお前なんだぞ!......確かに、お前のこれまでの努力は素晴らしかった。だが、お前自身が悪いわけではないにしろ、お前は私を失望させたことには変わりはないのだ!

 そもそもの話だが、私も受け継ぎに『剣士』という職業に固執しているわけではない。他の職業でも初代当主のように実力があれば問題ないと考えている。しかしお前は、よりにもよって『ハズレ』である『鍛冶師』を引いてしまったのだ!それを聞いた瞬間、私がどれほど絶望したか...」


「...なぜ鍛冶師が『ハズレの職業』だと言われているのですか?」


そうだ、それが聞きたかったのだ。鍛冶師は思い描いたとおりに装備や付与効果を生み出すことができるという万能な特殊スキルだ。それなのになぜ『ハズレ』と言われているのか腑に落ちない。


「それには2つの理由がある。1つ目は全ての職業の中で最もレベルが上がりにくいためだ。過去の資料を調べても最高でレベル10までしか到達したことがないのだ。つまり『鍛冶師』は能力の全てを発揮することができないのだ。もちろん、全く役に立たないわけではない。基本的な鍛冶の仕事 ―武具の生成や強化を行うことができるが、それは我ら貴族の役目ではないし、全能力を発揮できない力によって作られた武具の性能はたかが知れている。

 

 そして2つ目として、『鍛冶師』は能力の向上に一向に役立たないことが挙げられる。お前も先ほど『鍛冶師』の能力を確認したかもしれないが、レベルアップ時のステータスの上昇量が皆無に等しいのだ。ゆえに有事の際やスタンピードが発生した際は完全に足手まといになってしまう。それならば『農民』という職業もそうではないかと思うかもしれないが、あれは被災した後の復興時に非常に有効なのだ。なにせステータスの上昇には全く関与しない代わりに食物を高速で成長させることができるからな。もちろん、復興時だけではなく食糧不足に陥った場合にも役立つ。

 

 それに比べて、『鍛冶師』は全てが中途半端なのだ! レベルの上がりやすさは全職業の中で最底辺の部類なのにもかかわらず、『農民』と比べて全国民に支援できるものでもない。せいぜい中級以下の兵士や冒険者に需要があるくらいだ。上級になると遺跡やダンジョンで手に入る武具の方が強力だからな。だから『鍛冶師』が『ハズレ』という理論が世間一般の共通認識であるのだ。


 これで分かっただろう。これまでのお前はよく頑張ったかもしれないが、今後のお前には期待なぞ出来やしないのだ。わざわざ教えてやったのだ。もうお前と話すことなどない。この部屋から出て良いぞ。」


「......クッ!...分かりました。失礼します。」


キーッ、バタン



...

はぁ、演技疲れた~。

一応わざとカルロスの言葉に反抗して釣ってみたけど、これで追放処分を下してくれれたらいいなぁ。若干グランの気持ちを乗せて言ってみたんだけど、効果アリだったなら嬉しい。まあ今後、彼がこの家をどうやって守っていくのか少し気になるが、俺の自立&一人旅の方が優先順位は高いから、最後まで見守るつもりはない。


あと、彼の話で分かったことは、「『鍛冶師』=『ハズレ』」という理論が俺には当てはまらないということだ。神の隙を見ていじったおかげでレベルMaxになっているからな。だけど逆に言うと、さきの理論がこの世界の共通事項だから、自分は鍛冶師だと人に言わないほうがいいな。まあ、もとから言うつもりもなかったが。この世界において、自分のステータスは一種の個人情報だ。むやみやたらにひけらかすバカは基本的にいない。言うのは相手の特殊スキルが鑑定系統の場合だけだろう。


とにかく、今日は前世の記憶が一気に解放されたからかしんどいのではやく自分の部屋で休もう。

そう思いながら廊下を歩いていると、前から思いがけない人物の声が聞こえてきた。


「お、グランじゃねェか。久しぶりだなァ。」


「...兄上。」


長らく家を空けて街でやりたい放題やってた、グランの3歳年上の兄、ダリル=ヘレクレスが前からやってきたのだ。



次話で一区切り終えられるかなぁ。終えられたらいいなぁ。(希望的観測)




こんなド素人の作品を読んでいただいた読者の皆様、誠にありがとうございます。これを伝えるのは二度目になりますが、筆者自身は暇つぶしとして頭の中で思いついた世界を文章にしてみただけですので、投稿頻度は不定期になります。ご理解いただけるとありがたいです。

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