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8話

ブックマーク有り難う御座います。誤字脱字が多くとても読みにくい文章で申し訳ありません。気付いた時に少しずつ修整してます。それに伴い若干書き直したりしています。すみません(._.)それにしても読むと書くとでは大違い過ぎて、、、。改めて他作者さんをリスペクトして僕ももう少しまともに書ければなと思ってる次第です。

 蒸留器を温めながらゴムの利用方法を考えてると音が変わったので火を止め、見るともう片方の容器の中に液体が溜まってる。


「とりあえずこんな感じで液体が溜まる訳です」


「へぇ、確かに溜まってる、でも量が減ってるな」


「まぁ、蒸気が漏れてる割に溜まったと思いますよ」


「じゃあ、蒸気を漏れなくする必要があるってことか」


「そうなりますね。そこでゴムで作ったパッキンが必要になるんです。隙間を塞ぐパッキンを蓋と容器の間に挟む事で蒸気が漏れる事を防ぎたいんですよ」


「じゃあ、パッキンはゴムの木の汁があれば作れるんだな?なら取りに行くか?」


「そうですね。ゴムの木がどこにあるか教えもらえますか?」


「分かった。ここからすぐの所だよ」


 案内されたのは村の南側、歩いて十分程の場所。その場所は開墾をした際に椰子などの有益な植物があるために残された元魔の森の一部、そこにゴムの木はあった。因みに、アレンが巣箱を置いた場所も同じ理由で残された場所だ。


 試しに三センチ程ゴムの木の皮を削ってみる。すると確かにゴムっぽい樹液が垂れ出したので、カーラさんが持ってきた器に樹液を集め店の倉庫に戻った。


 パッキンの試作を作るために木の板にナイフでニミリ、三ミリと細長い溝を彫る。それを三十センチくらいの長さで複数作り、そこに粉末にした炭とゴムの樹液を混ぜた物をを流し込む。


 とりあえずゴムパッキンの試作は乾くまで放置、少し勿体無いが安物の酒を蒸留してみることにする。


「カーラさんはお酒は飲める?」


「もちろん、むしろ好きだ」


「ならこれ、消毒用にあった安物の酒なんだけど味見してくれる」


「まぁ、味見程度ならいいが、この酒は不味いんだよ」


 カーラさんはそう言って安酒をコップに入れて一口飲んだ。


「うん、まぁ、やはりアルコールも飛んで美味しくは無いな」


「やっぱり?やっぱお酒はある程度アルコールの度数が無いと美味しく無いよね」


「そうだな。ま、この安酒はアルコール云々前の問題だがな。何だアレンも酒飲んだことがあるのか?」


「まだ、無いよ。······今世は」


「ん?何て言ったんだ?最後が聞こえなかったが」


「何でもないよ。でね、この蒸留器が何か見せると約束したから見せるけど、カーラさんも約束して欲しい、蒸留器に関することはまだ誰にも言わないって」


「ああ、約束しよう」


「分かった。じゃあ見ててね。ここにこの酒を入れて······」


 蒸気が漏れてるから減ってしまうけど、まぁいいだろ。アルコールの蒸発温度は何度だったかなー、確か蒸留は水とアルコールの蒸発温度の差を利用してアルコール濃度を上げるんだよなぁ。

 まっ、始めてだし失敗しても問題無いか。




 とりあえずこれくらいかな?くらいには蒸留できたか。試しに完成した方の匂いを嗅いでみると、蒸留前よりはアルコール感強くなったかな?

 とりあえずカーラさんに飲んで貰えば分かるだろうと、蒸留した物を少しだけコップに入れてカーラさんに渡たす。


「これ飲んでみて」


 カーラさんは恐る恐るコップを口に運び一口飲む。


「ん?少しだけアルコールが強くなった気がするな」


 カーラさんはそう言うと首を傾げコップを見つめる。


「良かった。ちゃんと蒸留できてるみたい」


「どう言うことだ?これが?」


「なら試しにこっちも少し飲んでみて」


「温めた方の酒だな。······変な味の水だな。いや、気持ちアルコールを感じるか」


「一応説明はするけど僕も所処曖昧だからそこは勘弁してね。えっとねー、水は沸騰するのが百度なんだけど、アルコールは少し下の温度、たしか七十八度〜八十度くらいだったかな?そうなると、同時に温めた場合先に蒸気になるのはアルコール。ここまではいい?」


「んー、まぁ」


「そして酒は何を原料に作るのか?だけど、例えばワインは潰したぶどうから作られてるよね?まぁ細かく言うと皮とかを発酵させてるんだけど。でね、ワインからアルコール抜くと何?」


「そりゃワインからアルコールが抜けたらただのぶどうジュースだろ」


「じゃあ、この酒からアルコールが抜けたら?」


「······水だな」


「そう、つまりお酒に入ってたアルコールは蒸気になってなくなったから水になったってこと」


 カーラさん理解できてるかな?ま、できてなくても続けるけど。



「······て、感じで度数の上がったアルコールがこっちに溜まるわけ」


 う〜ん、分かったかな?十分くらい蒸留器について説明したけど。

 でもホント人に説明するのって難しいよね。途中から自分も訳が分からなくなりそうだったよ。


「んー、まぁなんとなく分かった。つまり蒸留器はアルコールと水に分ける装置と言うことだな?」


「端的に言うとそうだね」


「で?結局何がしたいんだ?」


「さっき飲んだでしょ」


「······ああ、少しマシになった酒か?」


「さっきのは酒が美味しくないからね。なら明日はエール酒で試そうか」


「いいなエールは好きな酒だ、鍛冶終わりに飲むのが堪らないな」


「そうなんだね。僕はキンキンに冷えたラガーの方が断然好きだけど」


「キンキン?冷えたラガーとはなんだ?」


「いや、何でもないよ。ところでカーラさんにお願いなんだけど、お金渡すから明日の実験で使うエール酒を一樽買っといてくれないかな?できれば空き樽も貰って来て欲しい」


「ああ、いいぜ」


「じゃあ続きは明日ってことで、悪いけど実験が終わるまで蒸留器は預かっててよ」


「分かった」


「じゃあ明日ね」





 翌日、カーラさんの所に行こうしたら途中でシンクさんに会った。

 シンクさんは父さんの代で従士になったザックさんの息子で、アイク兄さんやアイラ姉さんと魔獣退治に行く自警団のメンバー、成人したばかりの十五歳の若手株でカイル兄さんの従士候補の一人だ。


「こんにちは、アレン様」


「シンクさん、こんにちは」


「どちらに向かわれるのですか?」


「カーラさんの所ですね、シンクさんは何処に向かってるんですか?」


「私もですね、刃溢れする前にこの剣を研ぎに出そうと思ってまして」


 シンクさんが手に持った鞘に入った剣を掲げる。


「剣のメンテですか、目的地が同じなら一緒に行きましょうか。そう言えば最近は魔獣が出てないみたいですね」


「そうですね、しばらく前にゴブリンが村の外れに来たくらいです。山に入るとそれなりに居るようですが」


「近場に魔獣がいないなら問題ないですね」


 ニ人で適当な話をしながらカーラさんの鍛冶屋を目指して歩いていると雑貨屋からカーラさんが出てきた。


「あっ、カーラさん」


「よう、坊っちゃん、じゃなくてアレンと、ザックの息子だな」


「まだ覚えて無いんですか、シンクです」


「わりぃな、人の名前覚えるの苦手でな」


「あー分かります、僕も人の名前覚えるの苦手ですね」


「ホントだよな、それにしても、珍しく今日は護衛つきなのか?」


「違いますよ、シンクさんとは行き先が同じだったので」


「て、ことはうちか」


「私は研ぎをお願いしに行こうかと」


「その剣か、それってザックからだろ。そろそろ買い換えを考えた方がいいぞ。大事に使って貰ってるみたいだけどな」


「もしかしてこの剣ってカーラさんが打ったの?」


「ああ、元はザックに打った剣だ」

 

「そうなんです。この剣は父から、···ん?」


「どうしたの?」


「はい、向こうに見たことのない男たちがいます」


 シンクさんの指先はカーラさんの鍛冶屋の方角を指差している。


「良く顔まで見えますね」


「ええ、狩人のアルさんに負けますけど目には自信があります。それに村の人の顔はだいたい覚えてますから」


「ありゃあ、あの男と······誰だろ」


「あっ、向こうもコチラに指を差して何か話していますね。カーラさんの知り合いですか?」


「仕事絡みでほんの少し話したことがある程度だけどな」


「そんな男が何をしてるのでしょう。ん?!コチラへ来ます、アレン様は私の後ろに」


 見ると確かに男たちが一人を先頭に近づいてくる。


「五人ですね、奥に馬車も見えますから御者も居るかも知れません」


「あれはー、ガストル侯爵家の馬車だな」


「へー、オークのところの馬車ねぇ」


「確かに見た目はオークみたいなヤツだな。アレンも奴に会ったことがあるのか」


 ある。爺ちゃんが男爵当主だった時に一度。


「ニ人とも、もう少し声を小さくして下さい向こうに聞かれますよ」


 僕はシンクさんの後ろに隠れ付いて行く形で歩きながら、コチラに向かってくる五人を見る。

 一人は昨日もカーラさんの店に来ていた男、残りが男三人に女一人、女だけ服装の雰囲気が違うが残り男四人は一応冒険者スタイルみたいで、昨日の男以外は剣を腰に差している。


 五人はそのまま近く付いて来ると、先頭を歩き近づいて来た男が話し掛けてきた。


「よう、カーラ久しぶりだな」


「なんだヤガスか、まだ冒険者の真似事をやっていたのか?とっくに死んでると思ってたよ」


「おいおい、久しぶりに会ったってのに、冷たい口調は相変わらずか、それにしてもガキニ人も連れやがって」


「······」


「だんまりかよ。まぁいい、まだ鍛冶やってんだろ?そっちのデカい方のガキが振れる様な剣を打て」


「断る」


「金なら十分に払ってやるぜ」


「それでも断る」


「ほぅ、今オレはなー冒険者を辞めてガストル侯爵の所に雇われてる。それでも断るんだな?」


「ああ、剣を打つ気は無い」


「······フン、そうかよ、なら精々気を付けるんだな。例えば、店とかよ」


「······」


「おいっ!お前ら戻るぞ」


 そう言うとヤガスと言う男は他の4人を連れて馬車に乗り込むと、昨日の男が御者をして侯爵領の方向に向かっていった。


「彼らは侯爵の私兵ですかね?」


「ああ、そんなこと言ってたな」


「それに脅しっぽいことも言ってたし、店に気を付けろとか」


「ああいう連中はまた来て何かしそうですね。私が他の自警団には話しておきます」


「そうしておいて下さい。僕は父さんに報告しておきます」


「ま、とりあえず店に行くか。ザックの息子もその剣研いで欲しいんだろ?」


「······シンクです。はい、お願いします」


 三人で鍛冶屋に入りカーラさんは剣のメンテ、僕とシンクさんは裏庭を使う許可をもらい、カーラさんから木剣を借りて軽く打ち合う。


 しばらくシンクさんと打ち合っていると、剣のメンテを終えてカーラさんが研ぎ直した剣を持ってきた。


「ニ人ともなかなか良い動きだな、ほらっ剣だ」


 そう言ってカーラさんが鞘に収まった剣をシンクさんに渡した。

 シンクさんは鞘から剣を抜き見た後、軽く振って頷く。


「ありがとうございます。幾らですか?」


「小さな刃こぼれしかなかったから軽く研ぎ直しただけだし。三千ルペだな」


 シンクさんは革袋から小銀貨を三枚取り出しカーラさんに渡した。


「毎度あり。ただ、その剣は次刃溢れするようなら寿命と思った方がいい」


「分かりました。じゃあ次は剣を打って貰うと思うので、その時はお願いします」


「ああ、まかせな」


「じゃあ私は失礼しますね。さっきの男たちのことはケビン隊長とギルバートさんにも伝えておきます」


 そう言ってシンクさんは出て行った。


「カーラさん今日は店はどうするんですか?」


「ああ、店は閉めてるから」


「大丈夫ですか?」


「構わないさ」


「そうですか。じゃあ蒸留器を試しますか。えっと、まずはパッキンからですね」


 ニ人で倉庫に向かい置いあったゴムパッキンの試作を手に取る。


「おぉー、ちゃんと固まるもんですね」


 板から細長いゴムパッキンを取り出してカーラさんにも確認してもらう。


「なるほどゴムの木の汁に炭を混ぜるとこうなるんだな」


「はあ、ゴムの樹液だけだと耐久が弱いかと思ったので」


 本当はタイヤを真似て何となくやっただけなんだけどね。


「これを蒸留器の容器と蓋の間に使いましょう。長さが余ったら切って下さい」


「オレがやるのか?まぁいいけど」


 だって職人だし絶対僕より器用でしょう?


「こんな感じでいいのか?」


「そんな感じかな、とりあえず小さいサイズから試していきましょう」


 まずは蒸留器に水を入れ容器と蓋の間にパッキンを挟んで閉めてから容器を火魔法で温めいく。


 昨日より断然少ないけどまだ蒸気が漏れてるな、でも確実に漏れてる量は減ってるから期待出来そうだ。他のサイズも試してみよう。


 試した結果ゴムパッキンの太さは四ミリか五ミリが良いみたいだ。六ミリ以上だと蓋の閉まりが悪かった。


 とりあえず四ミリのパッキンを使うことにして蓋の内側を熱して熱でパッキンを固定する。


 さてここまで来たぞ。容器にエール酒は入れた。エール酒は大麦から出来てるはずだから成功すれば蒸留酒······。ウイスキーだ!


 容器を火魔法でアルコールが蒸気になる温度にゆっくり慎重に温めいく。


 やばー、なんかドキドキするな、頼むー成功して······。


 ん?アルコールの匂いが漂ってきた。


 無言で蒸留器を見つめているカーラさんは、ホント喋らなければカッコイイお姉さんだよなぁ。


 管から液体が垂れなくなったので火を止めて液体の入った容器に顔を近付け匂いを嗅ぐ。······うん、アルコールの匂いだ。


 コップに少しだけ入れ、唇に触れさせてから舐めてみる。


 おお〜!蒸留酒だ。······まだ薄い感じだけど。


 無言でカーラさんにコップを渡すとカーラさんも無言で匂いを嗅いでからコップを傾ける。


「気の抜けたエールを強くした感じ?だな。悪くはないけど······。これが蒸留器の本来の使い方なのか?」


「そうだけどまだ先があるんだ、ここからが本来目指してたことだよ」


 それから2回蒸留を繰り返し、完成した蒸留酒は元のエール酒の約半分になった。


 容器からコップに蒸留酒を入れ、匂いを嗅ぐ。確実に強くなったアルコール臭、試しに少しだけ飲んでみる。


「カァー!?ゲホッ、ゴホッゴホッ···ア“ア“ー、喉がー」


「おいっ!大丈夫か?」


「フゥー、うん、大丈夫。久しぶり過ぎて、···じゃなくて、と、とにかく大丈夫。それよりも飲んでみてよ、ただし、少しだけだよ、一気に飲まないでね」


 と注意してからコップを渡すとカーラさは蒸留一回目と同じように匂いを嗅いだ。

 すると驚く様に目を開き僕を見る、それからゆっくりコップを傾け蒸留酒を口に入れた。


「なっ、なんだこれは!めちゃくちゃ強いじゃないか!······これが蒸留酒か?」


「そうだよ、アルコールが凄く強いでしょ?そのまま飲むとただ強い酒だけど、これをジュースとかで割ると美味しいと思うよ?」


「ゴクッ······それは確かに美味そうだ。確かオレンジがあるから試してみよう」


 カーラさんはすぐにキッチンに行きオレンジを絞ったジュースの入った容器を持ってきた。


「ジュースに入れると好きな強さで飲めるよ」


 試しに僕が割ってあげて、できた物をカーラさんに渡す。


「飲んでみてよ」


 カーラさんは僕からコップを受け取り躊躇なく口に運び一口飲み。


「美味い!」と言って笑った。


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