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40話

 三人は村の手前で林に入り木の裏に隠れて村の様子を伺う。

 村は柵ど囲まれ門には、頭にバンダナを巻いている男が立っているが、外からの警戒と言うよりも村人が逃げて来ないか警戒しているようにみえる。


「彼も盗賊でしょか?」


「んー、村人には見えませんね。それに村を守るとまいった感じではなく、村を見張っているよういみえます」


「ん、私もそう思う」


「では、どうしますか?」


「そうですね。まずは見張りを黙らせて村の状況を確認したいですね。一応と盗賊と確定した訳ではないですが、まぁ、ほぼ盗賊だと思います。とりあえず意識は奪って縛りますか」


「なら私が行って黙らせてくる?」


「まず、僕が商人の息子を装って見張りに近づきます。シンクさんは従者として一緒に来てもらいます。ミルさんは盗賊が僕たちを意識してる間に盗賊の後ろから一撃で黙らせて下さい」


「ん、わかった」



 アレンとシンクの二人は、何も知らない風を装い見張りの男に近づくと、見張りの男は剣先をこちらに向けてきた。


「止まれ!何者だ!この村に何の用だ!」


 男に問われたので決めていた設定を話す。


「僕は商人の息子で、彼は僕の従者です」


 男は目を細め、アレン達を見つめる。


「商人の息子と従者?」


「ええ、こちらには父が商い来ているはずなので僕たちも村に入りたいのですが」


「商人なんていたか?今はお前たちだけなのか?」


「ええ、僕たちだけですよ。入ってもいいですか?」


「いや、駄目だ!誰も村には入れるなと言われているからな、明日辺りにでも出直すといい」


「村に入れてくれないなら、父か村長を呼んでくれませんか?確認したいことがあるので「ウッ」村の中のこととかね」


 男と会話して注意を引いていると、男の背後に現れたミルがさんがホントに一撃で意識を刈り取った。


「もう少し待った方が良かった?」


「いえ、問題ありません。この男から情報を得るより自分たちの目で見た方が早いでしょう。とりあえずこの男はそこの林に縛り付けておきましょう。一応後から情報が取れるかもしれませんし」


 アレンがストレージから取り出したロープをシンクに渡すと、シンクはロープを片手に持って盗賊を林に引き摺って行った。


「ま、男と会話した感じだと村の人間ではないでしょう。それにここでも、村の中から血の匂いがします。十中八九盗賊が村に入ってますね」


「アレン様、男を縛り上げて来ました。この後はどうしますか?」


「とにかく誰にも見つからないように、まずは村の中心に向かってみます。人が集められている場合は村の広場とかに居そうですから」


「ん、了解」


「わかりました」




 村に入り民家に隠れながら村の中心を目指すと、中心に近づく程に死体の数が増えていく。しかも死体は背後から斬られたようでほぼ背中や首に致命傷が見える。


「······これは酷い。背後からですね、逃げる時に斬られたのでしょうか」


「殆どが男性か老人の死体ですね」

 

「···単純に、盗賊にとって男性や老人などは不要なので殺したのでしょう」


「では、生きている可能性があるのは女子供だけなのでしょうか」


「かも知れませんね。女子供は奴隷としての需要もありますから。ただ、若い男性が居ないのが気になりますが」



 散乱した死体を見ながら進んで行くと村の広場に着いた。

 民家に隠れて広場の様子を伺うと、広場には十名近い子供が集められ、その子供たちの周りには血の付いた剣を子供に見せびらかすような立っている男が三人。

 広場には盗賊三人と子供以外の姿はなく、広場の中心に集められた子供たちは抱き合って恐怖に耐えている。

 それと、近くの民家からは女性の悲鳴が聞こえてくる。



「···広場には子供しか居ませんね。たぶん女性は民家の中でしょうか」


 気配は四つの民家から感じ取れる。


「民家に連れ込まれているのでしょうね。何をされているかは想像したくありませんが···」


 マップで確認すると子供たち以外は四つ民家に集められている。

 一軒は他よりも大きめの家なので村長の屋敷だろう。その屋敷の中には二十人。残りの三軒にはだいたい五〜六人が分散している。


「今広場の子供を助けてしまうと子供たちが騒いでしまうかも知れません。まずは三軒の民家から助けて回り、そのあとに子供ですね」


「確かに、子供は助かったと分かったら騒ぐかもしれませんね。わかりました」


「では、まずは最初は一番近いあの家から行きます」



 隠れていた民家から誰にも気付かれないように移動して目的の民家に近づいた。

 家の中からは男の笑い声と女の悲鳴が同時に聞こえている。


 アレンとシンクは剣、ミルが短剣を構えるとアレンが小声で指示を出す。


「盗賊は殺して構いませんから、声を出させないで始末してください。では行きます!」


 ドアを開け、シンクさん、ミルさんの順に家の中に飛び込み、アレンも三人目で飛び込む。

 数秒遅れでアレンが突入すると、まさに今斬られた盗賊二人が血を流し倒れるところだった。アレンも一番奥にいた盗賊との距離を一気に詰め心臓を一突きにした。


 この家にいた盗賊は三人だったようで、数秒呆然としていた女性たちだったが、助かったと分かると乱れた服のまま泣きながら抱きしめ合う。

 女性二人が落ち着くのを待ってからシンクさんに状況を説明して貰う。


「分かった。なら、アタシ達は合図があるまでこのまま隠れてればいいのね?」


「ええそうです。私たち三人が順番に助け出していきます。なので絶対に自分たちだけで子供たちを助けるよううとしないでください」


 アレンは完全に見た目が子供なので、説明や説得はシンクさんかミルさんに任せる。


「···わかりました。私たちはこのまま隠れています。どうか村の皆を、子供たちを助けてください」


「頑張ります」


「ん、アレン君に任せれば大丈夫」


「アレン君とはこの子ですよね。子供には危険ではないですか」


「んー、アレン様は私たちの主なんですが、総合戦闘力は私たち以上です。なので安心してください」


「えっ!この子があなた達よりも強い?」


「ええ、アレン様は強いので心配は要りません。それに私たちがいますので」




 三人は家を出ると他の民家を回り盗賊を瞬殺、村人を助け出し説明と説得を繰り返した。

 民家にはやはり女性と盗賊しか居なかったので助けた女性に話を聞くと、成人男性の大半は徴兵されていて元々おらず、体の不自由な者や老人たちは盗賊たちに不要と言われ殺されてしまったらしい。

 それと、若かく見栄えの良い女性は村長の家に連れて行かれたとのことだった。


 三軒の民家で村の女性たちを救出した三人は、ここから一旦二手に分かれ、ミルさんとシンクさんは村長の屋に向かい。

 アレンは一人広場の盗賊退治に向かう。


 予定としては、シンクさんが正面から村長の家に向かい騒ぎを起こし、そのタイミングでミルさんは村長の屋敷に忍び込んで待機、スキをみて女性を助けられそうなら救出、または屋敷内の盗賊の撲滅。

 シンクさんは一時的に一対多数になるが、そこは頑張ってもらうことになる。

 アレンは魔法で速やかに盗賊を撲滅してからのシンクさんと合流。

 


 村長の屋敷辺りから騒ぎ声が聞こえたタイミングでアレンは身を隠していた民家から一気に飛び出し、盗賊に向って走りながら魔法を行使する。


「狙撃!」


 石を圧縮して作り上げた弾丸が、盗賊の心臓に吸い込まれる。


「ゴフッ!?」


 心臓を貫かれた盗賊が、何をされたかわからないまま口から血を吐き出し後ろに倒れる。


「魔法使いだ!」


「チィ!接近しろ!次の唱和はさせるな!!」


 盗賊の一人が一般的な魔法使いへの対処を知っているようで、アレンが唱和できないように剣先を向けながら距離を詰めてきた。

 しかし、無唱和が使えるアレンにはその盗賊の行動は無意味だ。


「エアカッター!」


 アレンが盗賊の足に向けて風魔法のエアカッターを使うと、風の刃が盗賊の脚を根元から切り離した。


「ぎゃー!あ、脚がぁー!!」


「えっ!?」


 脚を切り飛ばされた盗賊の同様に魔法使いとの距離を詰めようと走っていた盗賊は、まさか無唱和で仲間の脚を切り飛ばされるとは思わなかったようで、驚いて完全に勢いを無くし立ち止まるとその場で尻もちをついた。


「あなたも彼らのようになりますか?」


 アレンが残った盗賊に剣先を向けて問うと、盗賊の男は尻もちをついたまま激しく首を振る。



 座り込んだ盗賊に剣先を向けながら気配察知とマップを使い、他の盗賊が広場の周りに居ないかを確認すると、バックからロープを取り出し盗賊に投げる。


「そのロープを使ってそこの喚いてる男を後ろ手に縛り上げて。もしもロープが解ける事があれば···わかりますね?」


 盗賊の男はブンッブンッと頭を縦に降り、四つん這いの状態で脚を切断され喚き転がりまわる男をロープで後ろ手に縛った。


「次は、自分の脚を縛ってからうつ伏せに、手を後ろにまわして」


 盗賊の男は震える手で自分の足首を縛ると後ろ手の状態でうつ伏せになった。


 アレンは男を確認すると背中を踏みつけて、男が動けない状態にしてから後ろ手に縛り上げる。その際に二人のロープがちゃんと縛られているか確認すると、広場の隅にいる子供たちに声を掛けた。


「もう大丈夫です!怪我をしている子はいますか?」


「······」


 警戒しているらしく子供たちは固まった状態でアレンを見つめている。


 流石に警戒されるよな。と思ったアレンは助けた女性たちが居る家屋に向かって声をあげた。


「もう出て来ても大丈夫です!僕は仲間の所に向かうので後はお願いします!」


 すると、その言葉を待っていた女性達が家屋から出て来ると子供達に向かって走り出した。

 

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