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3話

 いやー、思い出すと創造神様とヤバい契約をしたもんだ、大丈夫だろうかホント······。


 それにしても、転生前の僕は今思うと本当にクズだよね。どんだけ怠惰だったのか今なら良く分かるよ、ホント。


 地球の神様の慈悲でこの世界に送られて創造神様にスカウトされ使徒になれたのは本当に感謝だ。

 地球の神様と創造神様には足を向けて寝れない。


 とにかく、この世界に転生させてもらって、美男美女の両親を初め見た時はホント感動したよね。


 ただ赤ん坊からのやり直しだから色々と大変だったなぁ。


 特に初めての授乳はヤバかったわ、美人さんのアレが目の前に迫って来るし初めて触るしで、ただ赤ん坊だからなのかまったく興奮しなかったな。ガン見はしたけどね。


 それと、初めてステータス開いた時は大興奮。赤ん坊だったからか感情のコントロール出来ずにがん泣きしたせいで母さんが凄く慌ててた。


 その時のステータスはこんな感じだったかな?


名前:アレン・エバンス

ドウェイン王国エバンス男爵家三男

性別:男

年齢:0歳


体力:1

魔力:1

知力:45

瞬発力:1

幸運度:30


スキル

光魔法:LV1

時空魔法:LV1

生活魔法


固有スキル

鑑定、ストレージ


称号

神の使徒


加護

創造神レキエルの加護



 鑑定とストレージを見た瞬間また興奮からのがん泣きで母さんをまた困らせたっけ。


 初めて生活魔法を使った時はいきなり気絶しちゃて起きた時あせったよ。

 でも魔力切れから回復すると魔力が上がると分かり今ではかなり魔力が上がった。


 それと、この世界の文字が日本と変わらない事に驚いた。

 創造神様って日本の焼酎を飲んでたから日本好きなのかな?

 でも様式なんかは中世のヨーロッパに近いんだよなー、変なの。

 もしかしたら中世様式は離反した女神の影響かも知れないね。この惑星アグレを管理してるらしいから。


 一人で歩けるようになると基本は父さんの書斎で読書をしてたけど、流石に魔法書関連は見せてもらえなかったな。

 結局初めて魔法書を見せてもらえたのは3歳になってから。ただし生活魔法の本だったけどね。


 父さんの書斎にある魔法書では上級魔法の魔法書までは読むことはできた。許可はしてもらってないけど。

 魔法書での習得は創造神様の加護のおかげで魔法書を一度読むだけで一発習得できた。創造神さま加護有り難うございます。


 だだ残念なのはスキルは創造神様から与えられたが、光魔法と時空魔法の魔法書はかなりレアらしく、魔法書がないと魔法が分からなくて使えていない。魔法なのか使どちらも使い手がほとんどいないので、誰に聞いてもみんな精細は知らないみたい。

 知っている事は代表的な光魔法の使い手が勇者で、時空魔法の使い手が魔王という事くらいかな。

 仕方がないので最近は勇者や魔王関連の本を探して読んでいる最中だ。


 あと、うちの屋敷には僕が前世の記憶から再現出来そうなものを少しずつ再現してる。


 最近の物はリバーシ。これが以外と作るのに苦戦した。最初は木材で簡単に出来ると余裕かましてけど、木材加工は素人の子供には思ってた以上に大変で、結局概要だけを紙に書いて行商のワッツさんに頼み、王都の木工職人に頼んで作って貰った。ただ白い塗料が手に入らなかったので白い部分は白っぽい木目のままだけどね。

 前世の物とは微妙に違うけどルールは同じなので、家族からは楽しいと高評価を貰い満足してたが、父さんがワッツさんに遊び方を教えたのを切っ掛けに王都で売りに出すとの話になった。まずは売上の5%を貰う借りの契約をして、ちゃんと売れそうなら売上の10%で本契約する事で話がついた。

 近いうちにワッツさんが来たら本契約を交わす予定。


 本当はマヨネーズも作りたいんだけど卵の殺菌が出来ないので保留中。

 たぶん光魔法に殺菌が出来る魔法があると思うんだよなぁ、残念。

 変わりにトマトはあったのでケチャップは作った。ただトマトの酸味が強く甘みが足りないので記憶の物とはちょっと違うかなぁ、なので違うトマトがないかワッツさんに頼んで探してもらってる。なければどうにかして品種改良もしたいな、と考え中。


 他だと5歳の時にケイト姉さんに手伝ってもらい作ったスリッパを母さんにプレゼントした。今では屋敷内は全員スリッパを履いていて屋敷内は土禁になっている。母さんやケーラさんには掃除が楽になったと褒められたので、余ったボロ布と棒でハタキも作ってプレゼントしたらそちらも喜んでくれた。


 そしてうちが特に他と違うのが料理とお菓子のレパートリー。

 この世界って何故か料理やお菓子のレパートリーが少ない。うちも最初は毎回同じような料理で、焼いたメイン料理と固く焼いたパンと味の薄いスープ、毎回これ、すぐに飽きたね。


 なので固いパンの代わりにナンを作って食べて貰うと、パンとは違うが柔らかくて美味いとナンを焼くようになった。


 次に野菜と塩だけで作っていたスープだが、細かくした干し肉からダシを取り、野菜と刻んだトマトを入れてベジタブルスープっぽいのを作ったらこれも好評だった。干し肉って安い割に沢山の塩が使われてるからダシも出て塩も節約になるしトマトのアミノ酸で旨味もアップ。

 このスープも干し肉はガシガシ齧る保存食と言い張るアイク兄さんと僕が言い合いになって、なら証明してやんよ!と作ったスープだ。


 そしてメイン、まずはいつも捨てているらしいボア(猪の魔物)の脂身を鍋に入れて火にかけラード油を作り。

 2cm幅で切った手の平サイズのボアの肉を軽く叩いてから小麦粉、卵、固く焼いたパンから作ったパン粉を付け、ラード油で狐色になるまで揚げ、食べやすい大きさにカットしたらトンカツの完成。

 食堂に運んで最後に塩を軽く振って食べてもらった。


 最初の一口目は初めての料理だけに、みんな最初の一口を誰が食べるかと牽制してたけど、一口食べたらあとはあっと言う間だっだよ。トンカツは旨い。あとはソースがあればなぁ。


 この世界の肉料理は殆どが直火で焼くかフライパンで焼くかみたいな料理ばかりだから、初めて食べる揚げ物料理は衝撃だったようだ。

 気が付くと全員が僕を見つめるので、静か立ち上がりキッチンに向かうと第ニ陣のトンカツを揚げた始めた。


 いやー、あの日からしばらくの間は揚げ物だったなぁ。鶏肉の唐揚げとかは沢山作って従士の家族にまで配ったし。

 ボア肉と牛の魔物肉を混ぜたハンバーグの時もヤバかったなー。


 最後にお菓子なんだけど、砂糖が高くてあまりお菓子が作れない、とても残念だ。


 色々と思い出しているとドアがノックされ返事する前にドアが開く。


「アレンおにいちゃん何してるの?」


 と言って部屋に入ってきたのは妹のセリナだ。


「ん?本を読んでいただけだよ。セリナはメイドのお勉強は終わったの?」


「うん、ケーラさんが今日はおべんきょうおしまいだって」


「そっか、偉いね。そうだクッキーあるけど食べる?」


「たべる〜!クッキーだいすき〜!」


 絨毯の敷かれ場所に2人で移動して、小さなローテーブルの上にクッキーの入った皿を置く。


「少し待っててセリナの分のお茶お願いしてくるから」


「わかった〜、まってる〜」


 セリナがクッキーを見て正座しながら待ってる。待て、されてる子犬みたいだな。


 セリナの頭を撫でてから1階に向かう。


 階段を降りてリビングを見ると誰かお客さんが来ているようで、キッチンにはケイト姉さんがいた。


「ケイト姉さんお客さん?」とケイト姉さんに声をかける。


「アレン様ちょうど良かったです、今呼びに向かうところでした。ワッツさんが来られています。今は旦那様がお相手をしておられます」


「そうなんだ。んー、じゃあ、セリナが子供部屋にいるから、お茶持って行ってしばらく相手してあげてくれないかな?あ、それとクッキーは二人で食べちゃて」


「分かりました」


「うん、よろしくね」


 僕はリビングに向かいドアを叩く。


「アレンです。お呼びでしょうか」


「ああ、入りなさい」


「失礼します」


 リビングに入ると父さんと向かい合って座る行商人のワッツさんと目が合う。


「ワッツさんお久しぶりです。元気そうで何よりです」


「お邪魔しております。アレン様もお元気そうで」


 ワッツさんに軽く会釈してから父さんの横に座る。


「セリナと一緒だったのかい?」


「うん、今は子供部屋にセリナ一人なのでケイトにお茶を運ぶようにお願いしました」


「そうか。とりあえずワッツがアレンと話があるそうだから後は2人で話しなさい。献上品の事も忘れずにね」


「はい、分かりました」


 父さんはソファから立ち上がりドアに向かう。


「ワッツ、私は仕事に戻るよ。じゃあアレンあと任せるよ」


「はい、男爵様今日はありがとうごさいました」


 父さんが部屋から出て行くとワッツさんから話を始めた。


「アレン様、早速ですがリバーシの契約の更新を行いましょう。内容は前回の仮契約から利益の五%を十%に引き上げる本契約になっております」


 ワッツさんから渡されたニ枚の契約書を確認してサインをしたら一枚をワッツさんに返す。


「はい、問題ありません。アレン様ありがとうごさいます。それと私は商会を起ち上げる事にいたしました」


「おぉ、ワッツさんもとうとう商会持ちですか。じゃあもう行商は辞めちゃうですか?」


「いえいえ、商会を構えてもエバンス男爵様が治めるこのファーガス村だけは歩ける限り私自らが来ます。アレン様とリバーシを生んだ聖地でもございますので」


「あはは···。僕はいいとしてリバーシ誕生の村というは何か良いですね。それにワッツさんが行商に来ないと僕が困ります。まだまだ頼んでない物もありますから」


「商人として頼られるのはありがたい事です。アレン様に頼まれている物も必ず取り寄せてみせますよ」


「まぁ、今頼んでいる物は別に急いでいないので気長に待ちますよ。とりあえずは先にリバーシ絡みのお願いがあります」


「リバーシを献上する話しですね?」


「そうです。父上からどの程度聞きましたか?」


「リバーシを王家に献上するとだけ」


「そうですか、王家に献上しようと思っていますが献上するリバーシは王家に相応しい品にしないといけないです。なので現状のリバーシは平民向けにして、他に王家用、貴族用、と三種類の作成をお願いしたいのです」


「なるほど、それは良い考えですね。確かに今のリバーシは木だけで出来ていますから材料だけで考えれば安い物ですから平民用ですね」


「はい、なので王家用にはミスリルをメインに魔物素材で作り、版と駒には装飾を、貴族用には魔物素材と木材で作り、ある程度の装飾をしますが、ミスリルは使いません」


「おぉー、王家なのでミスリル品は素晴らしいと思いますが、問題はミスリルを加工出来る職人です。貴族用は魔物素材によっては高級感が変えられそうですな。とりあえず貴族用の職人は私の知人がいるので問題ありません」


「うーん、ミスリルを扱える職人もどうにかなりませんか?」


「そうですねぇ、ミスリルを扱う職人はだいたい大きな商会が囲っていまして、他だと扱えるのは鍛冶職人ですが······。あぁ、います、いました。鍛冶職人なら一人だけ心当たりがあります。そいつに声をかけてみましょう」


「良かったー、職人が居そうで。えっと、作る数ですが、王家には王家用に5セットと一応貴族用と平民用も見本として1セットづつ。まずは王家に献上して、貴族と平民には王家に献上後売り出しましょう。平民用はそのまま木で販売しても大丈夫だと思います。それから王家用のデザインはこんな感じでお願いします」


「かしこまりました。なるほど版の周りに月桂樹の彫刻を施して、駒には王家の記章と精霊ですね。女神テレジア様のお姿ではないのですね」


「ええ···。神のお姿を勝手使うのは不敬かと思いましたので」


「なるほど、確かにそうですね。ではこのデザイン画は頂いていきます」


「作成にどのくらい掛かりそうですか?」


「そうですね。明日には王都に向けて発ちますから、うーん、ここファーガス村からガストル侯爵領の領都コルサットまでが約十日、コルサットにニ日滞在して王都までが十日と少し掛かりますので、制作開始は早くても一ヶ月後、制作に三〜四ヶ月、完成品をお持ち出来るのは早くて五ヶ月〜六ヶ月、約半年後といった所でしょうか」


「分かりました。ではそれでお願いします。ただ、献上品は完成したら王都にいるお祖父様に渡して下さい」


「かしこまりました。カイン様にですね。あー、そうだ、忘れるところでした。コチラが勇者や魔王に関連する書物になります」


「ありがとうございます。代金はリバーシの売上から引いて貰えますか?」


「問題ございません。次回分から引いておきます。それから······。一つ聞いてもよろしいでしょうか?」


「はい、何ですか?」


 ワッツさんはローテーブルにある皿を指差した。


「このサクサクした食感の菓子は何でしょうか?とても美味しかったので気になりまして」


「ああ、これはクッキーと言うお菓子ですね。美味しかったなら良かったです。まだ少しあったはずなので包みましょうか?」


「ホントですか!是非お願いします!

このクッキーですか?大変素晴らしいお菓子ですね。商売で他の貴族様のお屋敷に行くと、稀に似たような菓子を頂いくのですが甘すぎて、一つ頂くと嫌になってしまうのです。ですがクッキーは甘過ぎず幾つでも食べられます。それに保存も効くのではないですか?」


「確かに他のお菓子は甘過ぎて食べれないのが多いですよね。砂糖を大量に入れれば贅沢みたいなのって誰が始めたのでしょうか。クッキーは砂糖を控えて焼き上げるので甘さ控えめで、湿気と保存に気を付ければ2〜3週間は保ちますよ」


「素晴らしい。クッキーは誰が考えられたのですか?出来るならレシピを買いたいのですが」


「考えたのは一応、僕ですよ。良かったら売りましょうか?クッキーのレシピ。ただ売ったからといってうちで作れなくなるのは困りますけど」


「是非っ!是非お願いします!いえいえ、アレン様達が作るのは好きにして問題ございません。そうですね。リバーシと同じ売上の10%でいかがでしょうか?」


「大丈夫なら問題無いですよ」


「では、明日こちらを発つ前には契約書をお持ちします」


「了解です。ではクッキー包んできますね」


 キッチンに向かいクッキーを包んでワッツさんに渡すと大喜びで帰っていった。


 夕食で両親にワッツさんとの商談が無事終わった事を報告して、クッキーのレシピが売れた事も伝えると2人とも喜んでくれた。

 だた、残っていたクッキーを全部ワッツさんに渡したせいでクッキーが好きなセリナは不機嫌になってしまった。


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