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28話

 天界から戻った僕は、お礼のお布施マシュー神父に渡し創生教会から出た。


 教会から外に出ると、太陽が真上になるにはまだ少し時間があるので武器屋にも寄ることにした。

 御者のホセさんにオススメの武器屋までと伝えると、領都の中心地から東に十分ほどにある、剣と盾が描かれた看板の建物を少しだけ越えて止まった。


「アレン様、着きましたよ」


 馬車の扉を開けたホセさんが到着を教えてくれたので馬車から降りると、そこは冒険者ギルドの隣にある武器屋だった。


 隣の冒険者ギルドに行きたい気持ちを抑えて武器屋に入ると、武器屋には数人の客がいた。

 僕達が片手剣の置かれている売場に向かとカーラさんが打つ剣には劣るが今の鋳造品よりはマシな剣が並んでいる。

 店主に聞くと、この武器屋は冒険者のレベル的に言えば中級者、DランクやCランク辺りまでを客層とした武器屋らしい。

 シンクさんは早速並べられた片手剣を軽く振ったりして具合を確かめている。


 僕も並べられた片手剣を手に取り軽く振ってみるがやはりカーラさんが打った剣には及ばない。

 僕もせっかくだから予備の剣を購入しようかと探すが、これといった物が無くなかなか見付からない。仕方なく諦めようとした時、店の隅に【中古、破損品】と書かれた箱を見つけた。

 その箱には片手剣や両手剣、槍や根など様々な品が乱雑に入っている。

 試しに一つ一つ鑑定で見ていくとひと振りの折れた刀を見つけた。


〈魔刀ヒヌカン〉

レア度〔A〕

製作者〔****〕

英雄の仲間が打った魔刀で火の魔力を込めると炎を纏い切れ味も増す。

破損しても火の魔力を注ぐとで刀身を再生させる事が出来る。



 中程から折れている刀だが、この世界に刀がある事に驚いた。しかも刀の鑑定結果がまさかの魔刀だったのが更に驚きだ。

 残念ながら魔刀は折れているが、鑑定通りなら火の魔力で元に戻るようなので、この折れた魔刀を買うことにした。


 シンクさんも選び終わり、店主がいるカウンターにシンクさんが選んだ鉄の片手剣と折れた魔刀を置いた。

 値段はシンクさんの片手剣が十万ルペ、折れた魔刀は魔鉄と言われる素材扱いらしく三万ルペだったので小金貨一枚と銀貨三枚を払い武器屋を後にした。


 辺境伯の屋敷に戻ると代理で特許の申請に出掛けていたクルタさんも戻っていたので、昼食後にもう一度ホセさんに馬車を用意してもらい、クルタさんとシンクさんの三人で奴隷商に向かった。




 奴隷商に入るとカウンター向こうの椅子にお婆さんが座っていた。

 お婆さんはカウンターで書き物をしていたが、顔を上げクルタさんを見て不機嫌そうに話し掛けてきた。


「やっと来たかい」


「待たせたわね」


 クルタさんは親しげにお婆さんに近寄ると握手をする。


「確か、三人だったかね」


「ええ、そうよ。早速見せてもらえるかしら」


「分かった。今から準備させよう。そこに座って待ってな」


 お婆さんは椅子から立ち上がると奥の部屋に入って行ったので、言われた通りにソファーに座り待つ。


 奴隷には犯罪奴隷と一般奴隷の二種類があるのだが、今回は一般奴隷から買う予定だ。

 基本的に一般奴隷の大半が税金を払えなかった身売りをした人達で、特に多いのが村で税金が払えなかった為や、口減らしで売られる女性や子供が多い。

 出来ればそういう望まずに奴隷になった人から買いたいと思っている。


 暫く待っていると奥の部屋からお婆さんと五人の女性が出てきた。

 五人はあちこち破れた粗末な服を着ていて、内一人は子供だ。


「まずは女が五人。次に男も五人連れてくるからね」


 左の大人の女性から順に話し掛けながら鑑定で見ていくが、特にこれといったスキルを持っている大人はいなかった。

 その五人の中で最後に話し掛けた黒髪黒目の子供の奴隷は、妙に喋りが大人っぽく必死に買って欲しいとアピールしてきた。

 ユイと言う少女を鑑定してみると。



名前:ユイ

性別:女

年齢:9歳

LEVEL:1

経験値:3/10


体力:18/18

魔力:21/21

攻撃力3(0)

防御力2(1)

知力:47

瞬発力:3

幸運度:1


スキル

(風魔法:LV1)(土魔法:LV1)

(結界魔法:LV1)


(調理師:LV3)


固有スキル

アイテムボックス(中)


称号

転生者



 風、土、結界魔法の三つも魔法の才能があるのにも驚きだが、特に驚いたのは称号に転生者だ。


「お願いします。買って下さい。きっと役に立つはずですから」


 奴隷少女のユイは頭を下げ頼んでくる。


「分かったよ。君はウチで引き取ることにします」


「本当ですか!ありがとうございます!あ、あの、一つだけお願いがあるのですが、私の家族も一緒買って貰えませんか」


 ユイは一度上げた頭をまた下げている。


「あー、お婆さん。彼女の家族は?」


「隣のが母親。あと兄貴が一人だね」


「分かりました。では、彼女と彼女の家族も引き取ります。幾らですか?」


「その娘と兄がニ十万、母親が十五万の合せて五十五万ルペで構わないよ」


 ···人間が三人で五十五万円かぁ。


「分かりました、五十五万ルペですね」


「決めたようだね、なら少し待ってな。全員準備させてくるからね」


 お婆さんは女性達を全員奥の部屋に戻すと、数分後にユイと家族二人を連れてきた。格好が少しマシな麻の服になりボサボサだった髪が梳かれている。


 お婆さんが準備した三枚の奴隷証明書にエバンス家の名前でサインをしてバックにしまい、小金貨五枚と銀貨五枚をテーブルに置いた。


「確かに五十五万ルペ受け取ったよ。その奴隷証明書は失くさないようにね。それじゃあ奴隷契約をするかね。私が契約魔法を使うからコイツらの奴隷紋に坊やの魔力を流すか、血を垂らしな」


 お婆さんの合図で奴隷紋に魔力を流すと、奴隷紋が青く光り数秒で消えた。それを順番に繰り返し奴隷契約を済ませる。


「これで奴隷の譲渡は終了だよ。右手の紋章が奴隷の証だ。三人共一般奴隷だから首輪は無しだ。犯罪奴隷を買う場合は首輪が必要だからね、一応覚えておきな。奴隷の紋章は主の魔力で一定時間見えなくする事も可能だよ。それから奴隷のあんた達は主の命令を聞かなかった場合は身体に激痛があるから気を付けな。私は体験した事がないから分からないが、元騎士の奴隷が痛みに耐えられなくて数秒で気絶していたくらいだから相当な激痛なはずさ」


 元騎士が気絶する程の激痛なら相当な痛みを味わうだろうな。僕も変な命令しない様に気を付けないとな。


「さあ、もう連れて行って構わないよ」


「分かりました。じゃあ、出ましょうか」


 店から出て六人乗りの馬車にギリギリ全員乗り込み、まずは服屋でそれぞれ必要な服と下着を購入して辺境伯の屋敷に向かう。


 馬車の中でユイ達に自己紹介してもらうと、母親がユリナで三十二歳、兄がテオで十四歳、ユイが九歳だ。


 奴隷になった経緯を聞くと。行商をしていた父親が大口の取引の為、殆どの金銭を持ち買付に向かったが、途中で盗賊に襲われて亡くなってしまった。すると数日後に父親の借金だと言って借用書を持った男達がやってきて借金の返済を迫ってきた。借用書に書かれた借金の額は五十万ルペだったが、父親が殆どの金銭を持って買付に出かけ亡くなった為にとても払える金額は残っていなかった。その為に借金奴隷になるしかなかったそうだ。

 予想だが、話を聞いた感じだと、父親を殺した盗賊も借金取りも、取引相手もグルだったのではないかと思う。


 話を聞いてる間に辺境伯の屋敷に着いたので馬車から降り辺境伯にお願いをして用意してもらった使用人の部屋をメイドに案内して貰う。

 使用人の部屋は屋敷の隣に建ててある別棟にあり、従者用の部屋とあまり変わらない作りの部屋だった。

 まずは一人づつ部屋で身体を拭ってもらい買ってきた服に着替えさせてから今後の予定を話し、今日はゆっくり休むようにと言って自分の部屋に戻った。

 ユイの転生者の称号が気になるが、少し落ち着いてから聞けば良いだろう。



 部屋に戻ると自分の寝室に入りドアのカギを閉め、ベットに腰掛けストレージから折れた魔刀を取り出した。

 魔刀の柄を握り火の魔力を刀に流すと、かなりの魔力が吸われたが折れた刀身から生える様にして魔刀が元の姿を取り戻した。

 元に戻った魔刀ヒヌカンの見た目はまんま日本刀だが刀身は薄っすらと蒼い。

 軽く数回魔刀を振ってみるが子供の身体では刀身が長く上手く振れない。使うとしたらもう少し身体が大きくなってからが良さそうだ。

 試しに刀身に炎を纏わせてみると、想像とは違う青い炎で、炎に触れてみたが熱さは感じない。

 炎を纏わせた状態で切れ味も試したいところだが、部屋の中では危ないので魔刀ヒヌカンをストレージにしまい夕食まで休む事にした。




 ドアをノックする音で目を覚ますと夕方らしく窓から外を見ると茜色に染まっている。まあまあ眠っていたらしい。

 ベットから起き上がりドアを開けるとシンクさんが立っていて夕食の準備が出来たと言われたのでリビングで食事をする。


 屋敷では辺境伯が気を利かせてくれたのか、初日以外の食事は部屋に運んでもらっていて、クルタさん以外が揃って全員で食事を食べる。


「ミルさん。明日は冒険者ギルドに行きたいんだけどミルさんの予定は大丈夫?」


「ん、大丈夫」


「なら明日お願いね。シンクさんも冒険者登録するの?」


「せっかくなので登録しておこうかと思います」


「了解。ラムとライは?」


「勿論オレは登録するよ。ラム姉ちゃんは?」


「まあ一応登録だけはしておこうかな。身分証明書にもなるしね」


「なら明日はクルタさんとユイたち以外は一緒に冒険者ギルドだね」


 明日はとうとう冒険者ギルドだ。ジャックさんがいたら剣も渡さないとな。





 翌日、辺境伯と朝食を共にして今日から宿屋に移ると報告をした。

 辺境伯には人数が増えたので宿屋に移る事にしたと言ったが、本当は僕以外が豪華な屋敷の生活に緊張してるから。

 特にラムはずっと緊張しているので宿屋の方が気が楽だろうと思ったからだ。


 屋敷の玄関で執事のトマスさんに辺境伯へのお礼の言葉を言ってから辺境伯の屋敷を後にした。



 辺境伯の屋敷から街の宿屋まではクルタさんの幌馬車で送ってもらった。


「じゃあ、私は色々と準備とかもあるからまた三日後に迎えに来るわね」


「はい。宜しくお願いします」


 クルタさんはそのまま辺境伯の屋敷に泊まって荷馬車や蒸留酒の原料になるエール酒やワインの手配をするそうだ。


 宿屋では四人部屋を二部屋と一人部屋を二部屋取った。ミルさんはどーするのかと聞いたらラム達と四人部屋に泊まると言ったので一応許可したけど、ミルさんはクルタさんと護衛契約してなかったかな?と思い尋ねると、既にクルタさんとの護衛契約は終了しており、後は冒険者ギルドに依頼完了の紙を持って行くだけらしい。



 全員の荷物を部屋に置き、ユイ達家族三人を宿屋に残して冒険者ギルドに向かう。

 ユイ達には昼食代を渡して宿屋の食堂で適当に食べてるようにと言ってあるし、ユイ達は最近まで普通の平民だったから問題ないだろう。


 宿屋から街を見ながら十分程歩き剣と盾の描かれた看板のある冒険者ギルドの前まで来た。


「とうとう冒険者登録だ」


「アレン様嬉しそうですね」


「憧れだったからね」


 だって異世界のテンプレと言えばやっぱ冒険者だよね。


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