表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/41

24話

 目を覚ますと隣りにはミルさんが眠っていたが他はすでに起きていた。ジャックさん達は身支度をしていてクルタさんは小さな手鏡を使い化粧をしている様だ。流石に少し寝坊したようなのでミルさんも起こすことにする。


「ミルさん、朝です。朝食の時間に遅れますよ」


 ミルさんの身体を揺らして声をかけるとパチッと目を開き僕を見た。


「やだ、食べる」


 と言って目を擦りながら起きたミルさんにおはようございますと言うと「ん、おはよ」とミルさんは背伸びをしながら返した。


 僕とミルさんも急いで支度を終えると全員で一階に降り朝食を食べる。

 朝食を食べてる最中、ジャックさんに夜中二人で部屋に入って来たけどミルさんにトイレに連れていって貰ったのか?と聞かれた。どうやら部屋に戻った時に気付かれていたようなので、「まぁそんなとこです」と仕方なく答えると、クルタさんに

「あら、可愛いわね。起こしてくれたら私がトイレに連れて行ってあげたのに」

と言われ「だ、大丈夫です」と答えたが、若干顔がひくついていたはずだ。



 朝食を済ませた僕とミルさんは、クルタさんにシンクさんの情報を確認して来ると言って宿屋を出ると、ゲアルギ準男爵の屋敷の様子を確認してから町を出て森に向かった。



 森に入ってマップで確認しながら十数分程歩き、一キロ圏内に誰もいない事を確認して、ゲアルギ商会の会長デニス・ゲアルギ準男爵をルームから引きづり出した。


 土の地面に転がったゲアルギ準男爵の手足は縛ったままで猿轡だけを外してやるが、まだ気を失っているので水魔法でバスケットボール大の冷たい水を作り顔に落した。


「うわっ!?冷たっ!ゲホッゴホッ!な、何だ!?どこだここは!何故縛られている!?クソッ外れない!誰だ貴様らは!!」


 いきなり冷たい水を顔に浴びせられたゲアルギ準男爵は、混乱した顔で辺りを見回してから手足が縛られているのに気づき、縄を外そうと暴れた後にやっと僕らの方を見た。


「誰だお前ら!クソッ、縄を解かんか!」


「嫌です、縄は解きませんよ」


「ワシはゲアルギ準男爵だ!貴族のワシにこんなことをしおって、貴様らタダでは済まさんぞ!!」


 ゲアルギが貴族だ準男爵だと叫んでいるが、準男爵は一代限りの貴族で次代に貴族位を譲る事は出来ないし、金で買える何の権限も無い名誉爵位だ。なので金に余裕のある商会の会長などが、名誉欲しさに準男爵の爵位を持っていることはよくある。


「で?僕をどう済まさないんです?それにどーせ準男爵なんて金で買った爵位でしょ?」


「貴様らを殺してから貴様の家族も友人も貴様の関係者は全て捕まえて奴隷にしてやるからな!」


「そーですか、僕らを殺した後はお得意の拉致ですか」


「!?貴様ら何を言っている?訳の分からん事をほざきおって!とにかく縄を解かんか!早く解けガキがぁー!!」


「だからヤダよ。解く気ないから」


「おいっ!そこの女ぁ!今すぐ縄を解けっ!」


「······」


「クソがぁ!貴様らぁ何が目的だぁ!金か?なら金をくれてやる!幾らだ?!」


「金かー、なら、一億ルペかな」


「なっ!?あるかそんな金!」


「あれれ?儲けてるでしょ?攫った人売った金で」


「!?な、何の事だ!ワシは知らんっ!」


「またまたー、なら屋敷の地下室の牢屋にいた人は何だって言うのかな?」


「あ、あれは、か、買って調教中の奴隷だ!」


「ふーん、なら誰から買った?嘘なら指を斬り落すからな」


「し、知らない奴だ」


 僕は無表情のままゲアルギ準男爵の腹を蹴飛ばす。


「ぐぇぇ、ゲホッゲホ」


「もっかい聞く、誰から買った?」


 ストレージから出した解体用のナイフをゲアルギ準男爵に顔の横で見せてから同じ質問を聞く。


「し、知らない奴だ、ぐぇ、やめろっ!何する気だ!」


 もう一度蹴り、うつ伏せにして後ろ手に縛られているゲアルギ準男爵の右手人差し指をナイフで斬り落した。


「や、やめ、ぎゃー!!ぐぁぁ!痛い痛いー!」


「嘘をついたら指を斬り落すって言ったよね。本当の事を言わないからこうなるんだよ。もう一度聞くよ。但し、次は手首から先がなくなるからね?誰から買った?本当は攫ったんでしょ?」


「か、買った。まっ、まてまて!わかった!言う!言うから!」


 左の手首にナイフを当てる。が何か言いたいらしいのでもう一度聞く。


「正直に答えてね」


「さ、さ、攫った」


「やっぱりね。で?ただ売る為か?それとも他に理由がある?」


 手首にナイフを強めに押し当てる


「·····売るた、まて!正直に話すから!」


「早く正直に答えろ。次は無いよ」


「い、依頼された。ほ、本当だ!嘘じゃ無い!」


「へー、誰から?、誰から依頼された?」


「こ、こう、こうしゃ······」


「何?声が小さくて聞こえないよ」


「くっ、こうしゃく、侯爵だ!依頼主は、ダーラム・ガストル侯爵だ!!」


 オーク侯爵かぁ。て事は、やっぱ村に間者がいてガストルに開発品の情報が漏れているな。それで僕が開発者だと知って狙った可能性高いか。なら今回シンクさんも僕の従者だから攫ったのか。


「ふーん、ガストル侯爵がねぇ、信じられないね。何の為にそんな依頼を出す?依頼って言うなら証拠はあるの?」


 たぶんゲアルギ準男爵が言ったのは本当だと思うが、一応確認の為に信じて無いフリをしてみる。

 

「なっ!ほ、本当だ!ガストル侯爵の依頼だ!信じてくれ!それに依頼してきた証拠の書簡も保管してある!」


「へーそうなんだ。でも、証拠の書簡とやらを見ないと信じられないな」


「証拠はある!本当だ!ワシの寝室の金庫にしまってある!なっ!ワシを解放してくれたら証拠の書簡を見せるぞ!」


 ほぉー、金庫ねぇ、確かダイヤル式の金庫だったな。なら開け方を聞けばいいな。


 ゲアルギ準男爵の近くに寝室から持ってきた金庫を出し、ゲアルギ準男爵に開け方を聞く。


「なっ!?何処から!しかもコレはワシの金庫ではないか!」


「この金庫でいいみたいだね。一応何か証拠が無いか調べるつもりだったけど持ってきて正解だったよ。じゃあ、開け方を教えてくれる?勿論。嘘を教えたら手首は斬り落すから正直にね」


「クソッ!金庫まで持ってきておるとわ」


 金庫から証拠の書簡を取りに行く事を口実に逃げようとしていたのだろう。悔しそうな顔をしたゲアルギ準男爵は、金庫のダイヤルの番号と開け方を話したのでミルさんに金庫を開けて貰うと、金庫の中には証拠の書簡の他にかなりの金貨や銀貨、大金貨もそれなりに入っている。それとガラス製で蓋をされたフラスコ容器が数本あって、フラスコ容器は赤黒い液体と薄ピンクの液体の二種類の液体が入っていた。


 金庫から書簡を取り出し読んで見ると、確かに僕を攫い連れて来いや従者は情報を聞き出し始末しておけ、と書いてあるが、肝心の名前などガストル侯爵が関与に関わる文字は書かれていない。


「これじゃあガストル侯爵の依頼かは分からないね。本当は違う奴の依頼じゃないの?」


「た、確かに名前などは書かれていないが、その書簡を持ってきた者がガストル侯爵との繋ぎ役の男だったのだ」


「本当かな?まぁ偽名の可能性が高いとは思うけど、一応その繋ぎ役の男の名前は聞いておこうかな」


「名前はギゼルと言っておった。確かに偽名かも知れんが」


「じゃあ、次は地下室に居た人はどーする気だった?それと意識が戻らないのは?」


「ち、地下室の連中のうち女子供はお前を攫ったら一緒に侯爵へ送るはずだった。そして男はワシの周りを嗅ぎまわっていたから捕らえて尋問していた。奴らの意識が戻らないのは、その金庫にある薬で眠らせているからだ」


 なるほどね。取り敢えず連絡役の男はどうせ偽名だろう。

 それにあの子達を侯爵に送られる前に助けられたのは良かったな。侯爵に送られたら絶対にろくな目に合わないだろうし。


「そう、分った。で、この薬は二種類あるわけだけど?」


「赤黒い液体は針を使ったり飲ませると三日は意識が戻らなくなる、ピンクのは逆の回復薬で飲ませると数分かそこらで意識が戻る」


「じゃあ、地下室の人達には赤黒い方を使ったってこと?そうなら、この薄ピンクを飲ませれば意識が戻るんだね?」


「そ、そうだ。なぁ、も、もう全部話した。ワシを解放してくれんか?も、勿論、その金庫も中身ごとくれてやるし、誰にも話さない!」


「本当に全部話したのかな?嘘では無い?」


「あ、ああ、勿論だ、すべて正直に話した。ワシを解放してくれるんだよな?」


「そっか、正直に全部話したか。なら、もう、いいかな···狙撃」


 土魔法の狙撃でゲアルギ準男爵の頭を打ち抜き殺した。ゲアルギ準男爵には色々能力を見られてるし、生かしておいてもろくなことにはならないだろう。それに仲間を攫い痛め付けたことや、女子供を攫い売り物にしていたのも許せない。まぁ最初から始末するつもりではあったけど。


 土魔法で掘った穴にゲアルギ準男爵の死体を入れ、ゾンビ化しないように火魔法のファイアで骨まで焼き尽くした。



 ゲアルギ準男爵の死体を処理した僕達は、場所を少し移動してからシンクさん達を全員ルームから出したが、シンクさん以外はまだ縛られたままだ。

 最初に意識の無いシンクさんに薄ピンクの薬液を数滴飲ませ様子を見ていると「うーん」とうめいた後に目を覚ました。


「シンクさん大丈夫ですか?」


「はっ?!アレン様!あれ?私は確か牢屋に······」


「ええ、確かに牢屋に閉じ込められていましたが、ミルさんと僕で救出しました。怪我もしていたので目に見える怪我は治しておきましたが、他に痛い所とかありますか?」


「あ、ありがとうございます。確かに顔の腫れも背中の痛みもありません。他の痛みも無いので大丈夫です。本当に申し訳ありません、従者の立場でついて来たのにも関わらずアレン様に迷惑を掛けてしまいました。ミルさんにも迷惑掛けてしまい申し訳ありません」


 シンクさんは申し訳なさそうな、悔しそうな顔で頭を下げた。僕はシンクさんの頭を上げさせると、覚えている事を話してもらった。

 シンクさんは宿屋の裏庭に行ったのは覚えているが、気付いた時には牢屋で縛られていたそうで、相手は僕の情報をしつこく聞き出そうとしていたが、拷問されても何一つ、自分の名前さえ喋らなかった様だ。


「そうですか。僕のせいですみません。それにしても流石シンクさんですね」


「いえ、当然です。アレン様に関する事は誰にも話したりしません」


「分かりました。信じていますから。ああ、でも今回シンクさんを救出するためにシンクさんが知っている能力と、知らない能力を、ある程度ミルさんには話してしまいましたから、ミルさんとなら話しても構いません。ミルさんもシンクさんには構いませんよ」


「分かりました」

「ん、分った」


「それと、シンクさんはこの人達に見覚えはありますか?」


 シンクさんに救出した他の人達を指差して聞いてみたが、シンクさんはたまに声が聞こえた程度しか分からないと答えた。


 危険はないと思うが一人ずつ起こして話を聞いていくことにした。最初に子供、次に女性、最後に男性の順番で起こしていく。


 子供は女の子が十二歳でラム、男の子が十歳でライと言うらしく、二人は姉弟で辺境伯領から南にある隣国、ラトリ連合国内にあるリノイ公国の出身。両親と辺境伯領に移住する為に旅をしていたら盗賊に両親が殺され、気がついたら牢屋の中にいたらしい。


 女性は十八歳でエイヴァさん。辺境伯領の地方都市を中心に活動している冒険者。パーティーを組んでいる恋人で同じ孤児院出身のマテオさんと依頼でスベラニに向かう途中に盗賊に襲われた。恋人のマテオさんは盗賊に殺されエイヴァさんは捕まり気がついたら牢屋の中だったそうだ。


 最後に男性は三十二歳元冒険者の石工職人でアルテガさん。

 結婚を機に冒険者を引退して奥さんの実家を継ぐために石工職人に転職した。一年前に子供と奥さんが買い物から帰らないので情報を集めていたら、最近になってゲアルギ商会が怪しいと情報を得たのでゲアルギ商会を探っていたら男達に襲われた。気がついた時には牢屋にいて拷問を受けていた。


 多分盗賊もゲアルギ商会かゲアルギ準男爵の配下だろう。デニス・ゲアルギはろくなことしてないな。やっぱ殺して正解だったわ。

 口止めだけど、まぁ誤魔化したから大丈夫かな?全員ここに縛られた状態で倒れていた事にしたし、怪我も高級ポーション使って治したことにした。

 ただ、アルテガさんは元からスベラニに住んでいたから少しお金を渡せばいいけど、問題は残りの3人だ。ラムとライは行くあてが無いらしいし、エイヴァさんもマテオさんがなくなり一人孤独になったらしいし。


う〜ん。どうしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ