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17話

 目が覚めて一瞬何処にいるか考えたが、すぐにリビングでソファーに眠ったことを思いだした。目を擦りソファーから上半身を起こし数十秒ボーっと辺りを見てから立ち上がる。


 まずゲージを見てみると、グレーウルフの子供を寝かせた場所が少しズレていたので寝返りでもしたかもしれない。

 とにかく昨日のように完全に動け無いことはない様で、鑑定で見ると体力はまだ一桁だが少しずつ増えているみたいだ。


 とりあえず大丈夫そうなので顔を洗いに行く。いつもならここからランニングと素振りだが、今日は中止してキッチンに向かいグレーウルフの子供が食べれそうな物がないか探したが見当たらない。仕方が無いので急いで近所に住む従士の飼ってるヤギのミルクを少しだけ分けてもらった。


 家族で朝食を食べていると、セリナがグレーウルフの子供の名前をどうするのか、と聞かれたので何も決めていないと言うと、女の子だから女の子と分かる名前にしようとなり、セリナの決めたアナスタシア、愛称アナに名前が決まった。


 グレーウルフの子供の名前も決まったので、食事を進めていると、隣のリビングから「くぅーん」と小さな鳴き声がしたので、急いで食事を済ませゲージに向う。

 するとグレーウルフの子供、アナスタシア愛称アナがゲージの中で皿に入った水を飲んでいた。水を飲む動きもまだ倒れそうで危なっかしいが、動けるようになっただけでもだいぶ違うので良かった。

 アナを見ると身体が震えて脅えている様なので、セリナには悪いがアナを構うのはもう少し元気になるまで我慢してもらう。

 とりあえずゲージに新しい水と分けて貰ったヤギのミルク少しだけ入れて少し離れて様子を見守る。

 セリナと母さんも気になる様で、いつもなら子供部屋でする勉強をリビングでチラチラとゲージを見ながらやっている。

 しばらく離れて様子を見守っているとミルクを飲み始めたので、母さんにアナの様子見をお願いしてからアナ用のウサギを狩りに向かった。


 最初蜂の巣箱がある林に向かったがウサギが見つからず、急ぎ別の林に向かいウサギを三匹狩った。血抜きと内臓の処理、皮を剥ぎ取り水魔法で洗ってから袋に入れて屋敷戻った。


 屋敷に戻りアナのいるゲージを見るとミルクが全部なくなっていたので、ミルクの入っていた皿だけ回収する。お皿を回収しようとゲージに手を入れると、アナがこちらを向いた状態で震えながらお尻から後ろに下がるのでまだ怖いのかも。

 とりあえずこれくらいの大きさなら固形の物も食べていたはず、ミルクを少し飲んだが足りないと思い、ウサギを解体して肉をナイフで細かくしてから皿に乗せてゲージに入れた。


 ゲージに細かくした肉の乗ったお皿を置くと、やはりお腹が空いていた様で、警戒はしているようだが少しづつ皿に近づく。まだ体は小刻みに震えてはいるがゆっくりと皿の肉を食べ始めた。

 アナは肉を食べながらときおりビクッと後ずさるように動き、一度僕を警戒してからまた食べるを繰り返した。

 残りの解体したウサギの肉は火を通してからアナの明日の朝と昼用の食事に取っておく事にする。


 自分の夕食を済ませ、試しに火を通した肉を少し皿にのせアナのいるゲージに入れると、すぐに皿に寄ってきて匂いを嗅ぎ食べ始めた。熱を通した肉もちゃんと食べるようで少しホッとした。

 アナを見ると身体の震えも無くなり、股の間で丸まっていたシッポもだいぶ高い位置て横に振っている。もう大丈夫かな?と思い、肉の無くなった皿を舐めているアナの身体に手を伸ばし身体を撫でる。震える様子は無い様なので頭も撫でると大人しく撫でらせてくれる。横で見ていたセリナが我慢出来なさそうにしてたので「優しくね」と言ったらセリナは「うん!」と言って、ゆっくりと手を伸ばしアナの頭を優しく無でた。



 翌日、少し寝不足でソファーから身体を起こす。最初は部屋で眠ったのだが、寝ている時にアナの「くぅーん、くぅーん」と鳴き声が聞こえ、全然鳴き止まないので夜中にリビングに移動してソファーで寝ていた。

 アナはだいぶ慣れてきたのか誰かゲージに近づくとシッポを振り寄ってくる。

 アナの頭を撫でてから水を変えるためにゲージから深皿を取り出し、井戸で顔を洗うついでにアナが使ってる深皿も洗いゲージに戻ると母さんがソファーに座りセリナがアナを撫でていた。


「アナにごはんあげるの?」


 と聞かれたのでもう少し後でと返した。母さん達が朝食までリビングに居るらしいので、僕は昨日休んだ朝の日課に向かった。


 朝食が終わりアナの食事の準備をセリナに頼んでみたら「アナにエサあげやりたい!」と言ったので昨日火を通したウサギ肉を半分皿に乗せ、「アナにあげておいで」と言ってセリナに任せることにした。


 昼過ぎにアナのトイレもゲージに置いたのでアナの世話を母さんとセリナに任せ、アイク兄さんとアイラ姉さんを誘い昨日ウサギが取れた林に向かった。

 3人でアナ用のウサギを狩って屋敷に戻りながらお願いをしておく。

「明日か明後日にはクルタさんが来るから、僕がいない間アナスタシアの食事の準備をお願いできないかな?」

 と2人に頼むと了承してくれたので安心してクルタさんと辺境伯の所に出掛けられる。

 実はアナを連れ帰ろうとした時に心配していた事で、拾ってすぐに家族に任せてしまうことになるのでアナを連れて帰るか迷った。


 アナの夕食を済ませたあと抱っこしてお風呂に向う。アナは以外とお風呂が好きなのか身体を洗ってるあいだもシッポを振っている。

 途中風呂にセリナが突撃してきたので洗う時の注意点だけ教えて続きをセリナ任せた。浴槽の湯に浸かりながらアナはだいぶ賢いな、と思いながら一人と一匹を眺めた。




 次の日の昼過ぎ、猟犬を飼っているアルさんに首輪の作り方を習いながらアナ用の首輪を作った。

 余っているリードも譲って貰ったのでお礼にハチミツと石鹸を渡した。


 アルさんにお礼をして今日の分のウサギを狩って屋敷に戻り、アナに首輪を付けてみた。

 サイズは調整出来るので問題無く付けられたが、アナは首が気になるのか暫くは後ろ足で首を掻くがすぐに気にしなくなった。一応リードは母さんに預けておいた。


「この子賢いわね危険じゃ無いと分かるとすぐに慣れちゃうみたい。この分ならゲージから出してもすぐに屋敷に慣れて散歩に行くのも早そうね」


 母さんが僕も思ったことを言ったので、試しにアナをゲージから出して自由にさせてみる。

 最初ゲージから出すとゲージの周りだけで動き匂いを嗅いでいたが、すぐにリビング中を歩きながら匂いを嗅ぎだした。

 途中ゲージに戻ったので何かな?と思ってゲージ内に戻すとトイレを使っていた。やっぱりとても賢いと思う。前世で友達の家に行くとそこの子はよくトイレ以外で致していたのを見ていたから少し驚いてしまった。それにアナは家族に慣れるのもとても早い。


 それにしても、昨日お風呂でキレイに洗ったからかだいぶ毛並みが良くなった。

 まだガリガリなので見栄えは良く無いが、ちゃんと食事をあげていれば結構モフれるレベルになりそうだね。

 そうなるとブラッシングをしないといけないからブラシかクシが必要だな。

 とりあえず雑貨屋には···無いな。ブラシは無理でもクシならどうにかなるかな?明日にでも作ってみよう。




 昼食を食べ終えセリナがアナに食事をあげているのを見てから、カーラさんの店にきた。

 カーラさんにクシが作れないか尋ねると、とりあえずの代用品くらいなら直ぐに作れると言うのでお願いしてついでに見学させて貰った。

 カーラさんが言う様にクシは三十分くらいで出来上がった。

 鉄と何かの合金の板に切れ目を入れカットして研磨したら完成していた。

 あまりの早業に日頃使わない鑑定でカーラさんの鍛冶職人レベルを見たらレベル8だった。カーラさん曰く最近自分でも腕が良くなった気がすると言っていた。

 カーラさんにお礼を言って代金を払おうとしたら、簡単な物だっからと、代金の代わりに蒸留酒を催促されたので蒸留酒を渡した。


 カーラさんにお礼を言って店を出てゴムの木がある林でウサギを狩ってからハーブを摘んだ。ハーブを摘んでいると見たことがある植物をみつけた。

 細い実を付けてるその植物に鑑定を使うとバニラビーンズと出ている。

 つい「うおぉ!?」と叫んでしまった。

実を取ろうとして緑のうちに摘み取り乾燥させるか、枯れるまで待つのか分からなかったので、半分だけ摘み取り乾燥させてみることにした。残りは枯れてから摘み取りに来よう。


 ホクホク顔で屋敷に帰りリビングに行くとセリナがテーブルに向かい勉強していて、母さんはソファーに座って足の上に乗せたアナを撫でている。丁度いいので母さんにクシを使ってみてもらう。


「う〜ん、やっぱりブラシの方が良いかしら、これはコレで使えると思うけど」


「そうですよねぇ、まぁブラシはクルタさんと出掛けた時にでも探してみます」


「それなら私達の分もお願いね。ああそうだわ、そのクルタさんだけどアレンと入れ違いに来て明後日出発だそうよ」


 マップで確認すると確かにクルタさんがノーラさんの宿屋にいるみたいだ、思ってたより1日早かった。

 明後日まで他にやる事あったかな?クルタさん来たしエール酒仕入れてるなら少し蒸留酒を作っておくかな?だいぶ減ったからなぁ、とりあえず明後日までは蒸留酒と保存食とかの準備だな。


 翌日、日課のランニングと素振りを済ませ屋敷に入ると、セリナがケイト姉さんに手伝っもらいながらキッチンでアナの食事を準備してる。

 僕はそのままリビングに向いアナに朝の挨拶をして撫でているとセリナがアナ用に水の入った深皿を運んでゲージに入れている。だたセリナの身長ではゲージの上から深皿を入れるのが大変そうなのでゲージを少し改良する。一度ゲージを外に運び出しゲージに扉を付けて、扉を開けばゲージ内に入れる様にした。

 扉を付けて改良したゲージをリビングに設置し直してセリナに試してもらうとアナと楽しそうにゲージの扉から出入りしていた。


 朝食を済ませ剣術の鍛錬に向うと一緒に辺境伯領に行くシンクさんと模擬戦をする。

 最初は僕の護衛としてザックさんが行く予定だったのだが、将来カイル兄さんの従士になる予定のシンクさんの経験も兼ねてザックさんからシンクさんへと変更になった。

 模擬戦終わりにはギルバートさんが僕とシンクさんが初めての旅という事もあり、護衛時の注意点や旅に必要な物などを色々教えてくれた。


 昼食後は先に完成している蒸留酒製造兼貯蔵用の倉庫で蒸留酒を作ってすごした。

 カーラさんに頼んでいる蒸留器がまだ完成してないので元々の小型蒸留器なのだが、エール酒が少ないので蒸留酒を作る量も少ないので問題ない。蒸留酒作りは香水の販売が始まって金策が出来てからが本番になる。


 香水も試作品の香りを作ってみた。シソ科の植物が生えていた場所で見つけたハーブで作った香水はラベンダーの香りの試作品。

 見たことのある花が咲いていたので鑑定したらラベンダーだったので新作の香りを作ってみようと思ったのだ。あとで母さんに渡して意見を聞いてみよう。


 とりあえず今できるのはここまでかなぁ。あとは明日からの旅の準備が終わればオッケーだな。


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