15話
鉄の箱を作る為にカーラさんの店にやって来た。いつもの様にドアを開き店の中に入るとカウンターの奥に声を掛ける。
「カーラさ〜ん!アレンです居ますか〜」
「おー、ちょっと待ってろー!」
カウンターの奥からカーラさんの返事だけ返ってきたのでしばらく待っていると、作業服なのかツナギ服姿のカーラさんが出て来た。
「おぅ、蒸留器はまだ出来てないぞ」
そう、蒸留酒製造用の倉庫を建て始める前にカーラさんには蒸留酒用の蒸留器と香水用の蒸留器の制作を依頼してあるのだ。
ただ蒸留酒用の蒸留器はいきなり大型化しても運用できるか分からないし、作った蒸留酒が売れるかも分からない。まぁ売れると思ってはいるが、なので一応中型から運用してみて問題が無ければ大型の発注をする流れにした。
「あ、いえ今日は別件ですね」
「あ?別件かー、またややこしいのじゃないだろうな?」
「ああ、その点は大丈夫です。ただの鉄の箱なので。ただ箱の中に水を入れるので錆びにくい加工だけできますか?」
「箱かそれなら大きさ次第だな。錆びにくい加工もまぁ大丈夫だ」
「良かったです。大きさはあそこにある木の道具入れくらいでお願いします。それと保温性の高そうな革とかありませんか?」
「あれと同じ大きさなら問題ない。あと保温性の高い革はこの辺りじゃ手に入りにくいな。ぼちぼちな魔物の革ならあるな」
「ならその革を箱が覆える量を譲って下さい」
「まぁ別にいいけど皮も箱の値段に加えるぞ」
「問題ありません。じゃ箱と革で幾らですか?」
「蒸留酒分けてくれるなら三万ルペでいい」
「本当ですか!?手持ちが減ってたので助かります。では銀貨三枚と、蒸留酒です」
カウンターにストレージから出した銀貨三枚と蒸留酒の入った陶器の瓶を置き、箱が出来上がる時間を聞いてからカーラさんの店を出た。
箱が出来上がるのが夕方頃らしいので、その間にゴムの樹液を採取に向かった。
ゴムの樹液を採取しながらプリンのことを考えニヤニヤしていると、林の奥で音がしたので音がした場所を見る。
するとウサギがいたのでロックバレットで頭を撃ち抜き血抜き内蔵処理皮だけしてからストレージに入れておく。
十分な量の樹液が取れたので樹液の入った瓶をストレージにしまい、ついでに林の中を何か無いかと探しながら歩いてみると、バジルとミントそれにローズマリーが生えていた。
結構シソ科の植物が生えていたので、もしかしてと思い他も探してみると青じそと赤紫蘇にセージやタイムもあった。
あまりの嬉しさに時間を忘れ採取していたら、だいぶ太陽が傾いていたので、急いでカーラさんの店に向かい鉄の箱と革を受け取り屋敷に戻った。
みんなで食事をしている時もプリンのことを考えるとついニヤニヤしてしまい家族に変な目で見られてしまった。
翌日、さてまずは箱を完成させよう。庭に誰も居ないのを確認してからストレージ内の鉄の箱を出す。ゴムの木から昨日採取した樹液を鉄の箱の内側に塗っていくが一回では塗りが薄いので数回塗って厚みを出し乾かす。
乾かしてる間に鉄の箱よりも一センチ大きな木の箱と蓋を作り革を張り巡らせる。倉庫にあった麻をある程度細かくしておいて先に鉄の箱を木の箱に収め、木と鉄の間に細かくした麻を詰めて、麻を入れた隙間を細長く切った木で塞ぐ。
塞いだ所をゴムの樹液で冷気が漏れない様に塗って乾かす。
よし、これならクーラーボックスの代わりになるでしょ。試しに箱に氷を入れ蓋をして、しばらく待ってから開けてみる。
おぉ、ちゃんと箱の中がヒンヤリ冷たい
「これなら、クーラーボックスって言えるかな」
今度は氷の替わりに氷結寸前の水を作りクーラーボックスに入れて蓋をして、少し待ってから開けてみる。
う〜ん流石にさっきよりは冷えてないけど十分な感じじゃないかな?いや大丈夫だろ。問題は冷たい水に浸して冷やすからプリンを作る器に深さが必要な所かな。まあ、陶器の壷か瓶にプリンを作ってから掬い出してから器に盛り付ければ良いかな。あとは材料さえあればプリンが作れるな。
クーラーボックスをストレージにしまって屋敷で材料の確認だ。
嘘ぉ、砂糖が足りない、残りこんなに少ないの?やっとプリン作れると思ったのに···。
無いものは仕方ないので気分転換に夕食を作ることにした。せっかくハーブ手に入れたから。
小麦粉に少量の塩と砂糖を入れて、そこにイースト菌が無いので替わりに魔法の粉重曹を入れる。
軽く混ぜて馴染ませたらオリーブオイルとぬるま湯を入れて小麦粉を練っていく。ある程度練ったら水に湿らせた布を掛け三十分放置、三十分たったら布を取り生地に打粉をしてから丸く広げる。
広げた生地の上にトマトソース、オリーブオイル、細かくしたチーズを乗せフレッシュバジルを乗せて焼くと、マルゲリータの完成。
ちなみにケーラさんとケイト姉さんも僕のを見ながら一緒に作った。
ん〜チーズが伸びる〜、やっぱピザは美味しいね。みんなも美味しそうに食べてくれたし気分転換にもなったから気分良く寝れそうだ。
翌朝、起きたらどしゃ降りの大雨になっていたので流石に今日はランニングも剣術の鍛錬も休み。
アイク兄さんはよほど勉強が嫌なのか、大雨なのに木剣を持って屋敷を出ようとして母さんに捕まってた。
僕は午前中はセリナに算数を教えて過ごした。
午後は子供だけでリバーシ大会を開催。賞品は残り一人分となった砂糖を使って作ったホットケーキにした。
総当り戦で僕は二勝一敗、セリナは三戦全勝、アイラ姉さん一勝二敗、アイク兄さんは全敗、見事に全勝優勝を決めたセリナがホットケーキを勝ち取った。母さんはセリナに味見とか言って半分貰ってたけどね。
ミントティーも作って飲ませてみたら両親とアイラ姉さんには好評だったが、アイク兄さんとセリナには不評だった。
僕も前世で子供頃は苦手だったので二人はまだまだ子供だね、と言ったらアイク兄さんだけ変な顔しながら飲んでいた。
夕食は肉料理だったのでハーブの使い方を説明して試しに使って貰った。
臭みが消えて美味しくなったとこちらは全員に好評だったので、紫蘇以外のハーブはケーラさんに渡した。
夜ベットに寝転がり魔王が出てくる本を読んでいると、この本では空に黒いモヤを見た後気が付いたら魔王がいた、とある。アニメやラノベならだいたいスキルだけど、魔王の転移も魔法じゃ無くてスキルなのかな?だとしたら僕は転移出来ないかもしれないな。
でも時空神様の加護があるからか使え無いって気がしないんだよなぁ、何となくどうにかしたら使えるって気がするし。冷たい水を出した時みたいにイメージの考え方の問題なのかな?イメージだけじゃ駄目とか?
試しに科学的に考えてみる?ワープの概念みたいなことかな?紙に離して書いたAとBを最短の線ではなく点でみたいなの、う〜ん、あれ?そういえば、前読んだ本とこの本で違和感あったな、何だっけ?えっと魔王って本当に転移なのかな?転移で魔物一万以上も転移出来るかな?無理な気がするけど。アニメやラノベならどうするか?確か転移は単体か少人数がほとんどで、あと大人数は、ゲートか、しかも本でも魔王が現れる前にモヤを見てるから、このモヤが出入口の可能性あるよね、何かそんな気がしてきた。確かに本には転移とは書いて無いし、もしかして合ってないかな?
魔王はゲートを使って急に一万の魔物を連れて現れた。
うん、合ってる気がするな、となると、今まで転移をイメージしてたから駄目だった可能性あるかな。知らんけど。
とりあえず試しに、ここから庭に繋がる様にイメージして、時空魔法の魔力を使うイメージ···ゲート···あぁこれかぁ、確かにモヤだな、モヤの中は?庭だな、おお〜、ゲートすげー感動やん。
ただ魔力ごっそり減った気がするけど?
名前:アレン・エバンス
ドウェイン王国エバンス男爵家三男
性別:男
年齢:8歳
体力:61
魔力:1812
知力:71
瞬発力:41
幸運度:32
スキル
火魔法:LV4
水魔法:LV4
風魔法:LV4
土魔法:LV4
氷魔法:LV3
雷魔法:LV3
光魔法:LV2
闇魔法:LV1
時空魔法:LV4
重力魔法:LV3
治癒魔法:LV3
剣術:LV5
槍術:LV2
格闘術:LV2
木工職人:LV4
調理師:LV6
気配察知
魔力感知
魔法制御
唱和破棄
省略唱和
多重唱和
無唱和
固有スキル
鑑定眼、ストレージ、ワールドマップ
転移
称号
神々の使徒
加護
創造神レキエルの加護
魔法神エリエルの加護
武神カリエルの加護
時空神トリエルの加護
魔力は一気に5百も消費するかぁ、めちゃくちゃ燃費悪いな。今の最大魔力でも使えるの四回かぁ、まぁそれだけ凄い魔法なんだろうけど。
それに気になると言うか今更と言うか。何故ゲートが使える様になったら固有スキルに転移生えたの?ねぇ、意味不明、ありがたいけどね。勿論嬉しいけどね。ただタイミングよ。固有スキルって神様の担当じゃなかったの?何か時空神様が付け忘れた固有スキルを慌てて付けた感あるけど気のせいですよね?ドジっ子属性で、あ忘れてましたねテヘッ、とか無いよね?まぁそれでもありがたいけどね、本当に。
ただゲートで感動した後だったから感動があまり無かったけど。
まぁ、何かもう寝よっか、転移の検証は後日でいいかなぁ。
今日は試作した石鹸の感想を聞こうと思ったが、顔と手足を洗うだけじゃ駄目だと思うんだよ。
やはりあれで使ってこその石鹸だと思うんだ。あれとはそう風呂です。
やっぱ石鹸は風呂で使ってこそだよねー。なので両親を説得して一階の倉庫を潰して風呂にしたいと思います。元々がその倉庫は風呂にするつもりだった部屋らしいからね。
最初に母さんの説得からしてみると即答で賛成だった。···まぁ賛成するよね。
問題は父さん、誰何された後に書斎に入る。
「話って何だい?」
「一階の倉庫を潰して風呂にしたいですが良いですか?」
「別にいいけど予算無いよ。屋敷の裏に建物二つも建ててる最中だからね?」
「あー、はい。勿論自分で作ります」
「ならいいと思うよ。下の倉庫は元々は風呂を作る予定の場所で下水工事もされてるけど、水の魔道具が手に入らなくて放置だったからね。問題の水の魔道具はどうするつもり?」
「魔道具は無いので僕がいる時は魔法で水を溜めますよ。最近ウォーターで水温変えれる様になったので大丈夫だと思います」
「へー、ウォーターって水温変えられるんだね。父さんも一応水魔法持ちだから今度教えてね。まぁアレンみたいに水量は出せないから風呂に溜めるのは無理だけど」
「はい言って貰えればいつでも教えます。では材料の木材だけ倉庫から使います」
「まぁあそこに風呂作る分くらいなら良いよ。倉庫に置いてある物はケーラに聞いて片付ける様にね」
書斎を出てケーラさんと屋敷の倉庫を片付けてから外の倉庫に向かった。外の倉庫に入り必要な物を加工しながらストレージに入れていると、壊れているランプの魔道具が置かれていた。
ランプの魔道具を手に持ち色々な角度で見てみる。構造は結構単純で前世の記憶の置き型のライトみたいな構造だな。横のフタを外して中をみると魔石が入っているので電池替わりに魔石を使うらしい。魔石を外してみると薄い金属に何か彫られてあったので取り出してみると、魔法陣が薄い金属の板に彫られていた。この魔法陣は本で見た事があるな、一応後で本の魔法陣と比べてみよう。
壊れているとしても魔道具を勝手に持ち出すのもマズいなと思い、魔法陣を近くにあった木の板に彫ろうとするが彫れない。
確か本に書かれていたが、魔法陣は特殊な方法で学んだ者か元からのスキル持ちでないと魔法陣を書く事が出来ない、とあったからたぶんそのせいだろう。
本当に書けないかぁ、これもいつか検証しよう。仕方無いので金属の板を戻し、魔力が空の魔石だけは検証したいのでストレージにしまった。
風呂に必要な物をストレージにしまったのでダミーで少しだけ荷物を持ち屋敷の倉庫に戻る。
本当は外で作ってストレージにしまって屋敷の倉庫で出した方が楽だけど仕方無い。
まず下水が使えるか試してみるとちゃんと水が地面に空いた穴に流れ込んでいる。一度外からも確認したが排水溝に水が流れているので問題なさそうだ。ちなみに排水溝の先には貯留槽があり魔道具である程度浄化してから川に流している。
それとだいたいの村町のトイレは汲み取りなので流さず基本は肥料になる。
都市や王都などは、ためて置いてある水を自分で水を汲んでから流す水洗トイレが最近は増えていて、地下水路に流して魔道具やスライムなどで浄化してから川に流しているらしい。
とりあえずちゃんと水が排水されるので浴槽を作り始める。
木工職人のレベルが上がってる影響か外の倉庫での加工もそうだったが、浴槽もあっという間に作り終わった。やっぱスキルって反則だよね。
完成した浴槽に水を溜めてみると、一応水漏れは無い様だが、浴槽に使った木材が水に強いかが分からない。
あり合わせの材料で作ったから仕方無い気はするけどね。まぁ様子見でまた作り直すか考えよう。
浴槽の木で出来た栓を抜いて排水も見てみるが問題無い様だ。
早速お湯を張って一番風呂は両親に入って貰おうかな。
食堂で風呂に入っている両親達を待っているがなかなか食堂に来ない。まぁ分かるけどね。セリナも両親と一緒に入ってるからはしゃいでそうだしね。僕も後で長風呂になりそうだな。
結局両親達が風呂から食堂に入って来たのは風呂に入ってから三十分以上が経ってからだった。
食堂に入って来た三人は風呂と石鹸の効果か、いつもより肌が白く見える。
ただ石鹸で髪も洗ったからかゴワゴワになっていて、試しに触らせて貰ったが手櫛も通りづらい。
僕はキッチンに向かいオリーブオイルを持ってきて、手に数滴垂らして伸ばしてから母さんの髪に馴染ませる。
「まあ、だいぶ指通りがよくなったわ」と母さんが言うのでセリナにも同じ様にしてあげる。
夕食を食べながら浴槽風呂と石鹸の感想を聞くと。父さんとセリナはとても満足していたが、母さんは石鹸で身体や髪を洗うと汚れていたのを実感できるが、髪を洗ってる最中からゴワゴワするのが気になる、らしい。なのでさっきみたいにオリーブオイルを使うか、もしオリーブオイルの匂いが気になるなら容器にオリーブオイルとハーブを入れて使うとだいぶ匂いが気にならなくなりますよ、と教えておいた。
夕食後に残りのケーラさんやケイト姉さんを含め全員に風呂に入って貰ってからの感想を聞くと、基本風呂と石鹸の感想は高評価だったが、セリナ以外の女性陣がやはり髪を気にしていた。
予想通りの感想だったが女性は髪を大事にするから早めにシャンプーとリンスやトリートメントをどうにかしないと、と思ったが、ハチミツを使うからなぁ。
養蜂はまだ時間が掛かるし、どうにかしてハチミツを手に入れたいなぁ。




