多々良凛〜陸〜
日曜日。
響は帰ってこず、孤独が続く。
「(たまには遠出してみようかな)」
元家に居た時は外出させて貰えなかったし。
何処に何があるか分かっておく必要もあるしね。
「どこいこっかなぁ?」
少し伸びながら考える。
「スーパー…はもう行ったし、近いとこにショッピングモールとか無いしな〜」
何というか…全体的に活気が無い。
隣町にはカラオケボックス等色々あるけどこの街は活気が無い。
「電車乗って隣町行くのが一番いいか」
えーと、後は…あっ!『あれ』も試そう!
えーっと、何処やったかな…
「あった!」
名付けて『どこでも探知君』!
使用者の霊力を元に使用者が望む物を見つけてくれる優れものだ!
そして今回はグレードアーップ!写真も撮れちゃう!
「(これで響の弱みを握ってやるわ)」
多分響もショッピングモールに居るだろうし。
「認識阻害の術文を組み込んで…と」
これで見つかり辛くなる筈。
「(響の幼馴染として、響の交友関係を知る必要があるのよ。
そう、此れはストーキングとかでは無いのよ。
断じて違うわ)」
────────────────────────
さーて、響は何処に居るかなー。
後々気づいたが、家から出る必要が無かったので
出ない事にした。
「(お)」
早速目標を発見!
上空から偵察します!
…なんてね。
「…。…。…」
「…♪…?…♪」
は?
なんで?
また女と居る?
『テイサツヲツヅケマスカ?』
「(当たり前よ)」
『リョウカイシマシタ』
「…。…?…」
「…♪…。…♪…?」
何よ、あんなにデレデレしちゃって…
…私にはあんな顔した事無いくせに…
『テイサツヲツヅケマスカ?』
「(当前よ)」
『カシコマリマシタ』
あの手に付けた赤色の髪飾り…一年生?
白と黒の混じった髪色…『北条』家の子か。
でも何でそんな名家が響に?
「…?…。…」
「…?…♪…♪」
でも…大丈夫よね。
名家の子だし、響とは釣り合わないわよ!
「(でも…何か嫌だなぁ…)」
響も響よ!
私という物がありながら…他の女に現を抜かす何て…。
「(もう少し見張りましょ)」
「…♪…」
「…。…」
あんなに仲良さそうに…手まで繋いで…
「…」
「…♪…?」
動悸が早くなる。
これ以上見てはいけないと脳が、思考が警報を鳴らす。
「…「…」…!?」
「…!」
は?今…何した?
キ…ス…?
…は、はは、あ、響の初めてが…
あんなポッと出の女に?
「は、はは」
笑いが溢れる。
其れは果たして易々と初めてを奪われた響に対してか、
はたまた今まで素直になれなかった自分に対しての自責の物か。
許さない…。
許せない…軽々と奪われた響も、
奪ったあの一年生も…。
「はっ…」
無意識のうちに炎を出していた。
その炎は、今まで出したどんな炎よりも熱く、冷たく、
感情を丸写しした様な嫌な物だった。
いかんせん感情を出すのが難しい。