多々良凛〜参ノ壱〜
今回から少しの間繋がったお話になります。
ガラッ
教室に入り席に座る。
複数の目線が此方を見るが気に留めても意味は無い。
「た、多々良さん!な、何で遅刻したんですか?」
教師が何か言っているが耳に入って来ない。
多分どうでもいい事だろう。
「(響何してんのかな…)」
「ま、まぁ多々良さんは
放課後生徒指導室に来て下さい!」
「(今日の献立何にしよう?)」
「多々良さん!聞いてますか!?」
「(煩いなぁ)」
喋りゃヒステリック起こすくせに
よく言うわ。
ひそ…ひそ…
「(ん?)」
「あいつ何でこの学園入れたんだろう?」
「親のコネじゃない?」
「春売ってんのかもよ?」
「ありそー」
「はいそこ!静かに!」
「「「「はーい」」」」
「1時限目ですが…」
つまんないなぁ…
「…では、室内運動場に移動して下さい!」
移動らしい。
室内運動場…俗に言う体育館だ。
私達二年の教室は5階なので毎回億劫になる。
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「えーでは、私は次の授業があるので、此処からは寺川先生、お願いします」
「えぇ、分かりました」
寺川先生。
この学園で校長の次に暦の長い人らしい。
「それでは、これより『更なる適性』を計る、準備ができたら儂に言っとくれ」
『更なる適性』?
『刀』の話か?
「せんせー!何の適性ですかー?」
「なんじゃ聞いとらんのか?」
あの先生まじで報連相守らねぇな。
「はー、一から説明するかの。
今のお主らは、うーん…いい例えが見つからんの…
まぁ用は前の試験では『表層』を見たんじゃよ。
今回は『深層』を見るんじゃ」
深層を見る?よく分からないけど、
あの時と同じ様にやればいいかな?
「あっ…言い忘れとったが、
半端な気持ちでやると『刀』に殺されるぞ。
去年とある生徒が適当な覚悟でやったのじゃが、
『刀』に『呑まれて』しまっての。
それ以来見張り役教師が必要なのじゃよ」
「えっ…」
誰が出した声だろうか?
組の皆んなの顔が一気に青くなる。
「(まぁ、いいか)」
目の前の刀に集中する。
持ち手が熱くなる。
「(あっつ…)」
「ほう…」
私の適性は『炎』らしい。
だから熱いのかな?
「(っ?!炎が青くなった!?)」
何が起きたのだろうか?
「素晴らしい!!まさかこんなに早く
『認められる』者が居ったとは!合格じゃ!『刀』がお主を認めおった!」
「(えっ)」
確かに手元から刃先にかけて燃え盛る『炎』は
もう熱く無い。
「なっ、あいつに出来るなら私にだって!」
クラスメイトの1人が躍起になって居る。
「!?」
突然彼女の体が『溶け』出した。
「いかん!『刀』よ!鎮まり給え!」
その言術と共に溶けていた彼女は元に戻った。
「はぁっ…はぁっ…」
「儂がおらんかったらお主、死んどったぞ」
クラスメイトは皆、呆然としていた。
それもそうか突然人が溶け出したら誰だってそうなる。
成程、『刀』が拒否すると適性に殺される様だ。
突然先生が此方を向いた。
「えっと其処のえーっと…」
「多々良です」
「おお、多々良じゃったか!もう抜けて良いぞ。
じゃが、1日1時間『刀』との対話を忘れん様にな」
「はい、有り難う御座いました」
そうして私の一時限目は幕を閉じた。
場面切り替えが上手くなりたい。(切実)