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北条光〜漆ノ弐〜

「ばっ!…は、はぁ!?」


おかしな事を言うものだ。

大体先輩とはまだ知り合って2日3日の中であって『その様な』感情を抱く方が難しいというか?てか先輩も先輩でこんなに可愛い後輩が一緒に帰ったり登校してるのに全くと言って良いほどに意識してないしそんなに私って魅力が無いのかな?先輩の好みとかは分かんないけど付き合ったり『その先』な関係になったらちゃんと『そういう』事だって学ぼうという意欲はあるし?でもこっちから手を出すのは何か負けた気がするから嫌なだけで全然こっちとしてはもう超『ウェルカム』っていうスタンスなのに性欲がないんじゃ無いかって位なびかない癖に他の女にはデレデレして本当にだらしないというか

全然そんな気持ち何か持って無いし!


「全然そんな事微塵も思ってないけど?」

「本当?絶対嘘でしょ?」


コイツ…


「ふむふむ…鳴渡先輩かぁそれでクラスの奴らが騒いでた訳ね」

「…この事はどうか内密に…お願いします」

「えー?だって奴らもうしってたよー?」


本当に情報が回るのが早い。

流石は女子の情報網だ『蜘蛛の巣』とは本当のことだったか。


「ホント、『回るのが』早いね」

「それに一緒に昼飯食べてたの見たって聞いたよ?」


…マジか、にしても回るのが早すぎる。

いや青春を謳歌する齢16の我々には色恋沙汰のお話なんて貴重な物だし?途端に食いつくのは分かるけども。


「いやぁ、にしてもさ」

「なによ?」


勿体振りながら話そうともしない花に少し、少しだけ痺れを切らす。


「で?何?」

「ひっ…」


『出来るだけ』優しく微笑む。

こう、『聖母』みたいに。


「わ、分かった!話す!話します!話させて下さい!」

「うん、それで良いよ?」


やっと交渉が成立して話を聞く。

花から聞いたのは以下の事だった。


曰く、私の好意を知っておきながら付き合おうとした奴が居るらしい。

曰く、そいつは相手にもされずに勝手に逆恨みしているらしい。

曰く、ソイツは私と同じクラスとのこと。


正直、聞いていて胸の奥底に黒く蠢く物を感じた。

会ったら殺してしまいそうだ。

憎悪、狼狽、嫉妬、怒り、などの感情が一斉に、堰を切った様に溢れ出してくる。


「ストーップ!ストーップ!溢れてる溢れてる!」

「はっ!」


花が縮こまってる。

すんごく小さくみえる。


「いや、そのね?その鳴渡先輩に手を出した子なんだけど…」

「うん」

「三日位前に死体になってて…」

「へ!?」


死体!?


「…何があったの?」

「いやぁ私も詳しくは知らなくてさ」

「わかってるだけでもいいから」

「てか、テレビでやってたよ?」

「電源付けるの怠くて」


もう、とか言いながら詳しく説明してくれる花。

これはモテるね。


「えっと、死んだのは赤坂美里って奴で、死体があったのは『鹿毛山』。

警察が言うには顔の半分と片腕、両足が『獣』に食われてたんだってさ、それと付近に妖力が感じられなかったから『キャンプ中に狼か熊に襲われた』って事らしいよ」

「赤坂ってあの万年成績最下位の?」

「そうそう、その赤坂」


あんな奴が先輩を?

能も無ければ技も無く、学も無ければ努力もしない。

あんな奴が?

許せない…許せない…許せない!

許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!


「光ー!ストーップ!」

「はっ!」

「まだ!まだあるから!」


花の息が荒くなっている。

細々と震えている。


「そ、それがさ、『残った所』も『焼け爛れてた』んだって」

「『焼け爛れてた?』」

「そう、焼け爛れてた。つまり誰かの怨恨の説もあるわけ」


つまり火に適性がある人かぁ。

先輩は音と風だっけ?


「取り敢えずあんたのお熱な鳴渡先輩じゃないから安心しな」

「うん」


なんて他愛もない話をしてると

ガラッという音と共に扉が開いた。


「此処か?」

「せっ先輩!?」

「ほほうこの人が…」


今日は長い一日になりそうだ。

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