表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖蔓延る世界のお話。  作者: 書き手のタコワサ
新章、ルルリエノ章
214/235

ステンドグラスの陽

 結局、その後は誰も帰って来ず一日が終わった。

何かサボってしまったのだろうかという罪悪感と、知らなかったからしかたなくね?という“俺悪くない精神”がせめぎ合っている。


「このまま帰って、晩飯は…」


 ──ふと。知っている音が耳に入ってきた。

微かながらに聞こえた、あの時助けた人の声だった。

どうせこのまま帰っても時間を無駄に食うだけだと、声の聞こえる方に歩き出す。


人の隙間を抜け、人混みをするりと通り抜け。

ついた場所は、よく分からない施設だった。


 装飾の施された柵、だが蝶番が錆びているのか嫌な音を立てる。

三角の屋根に、十字架の刺さった家だった。


「…ここ、か?」


木製の扉を開け中に入ると、長い絨毯の様な物が敷かれ、幾つもの長椅子が置かれていた。


そして、見惚れる様な、とても綺麗な、色沢山の飴でできた絵のような物。


『…Can I(教会に) help you?(何か御用ですか?)』 

「あっ、えっ?」


いつの間にか、後ろに立っていた人に声をかけられた。

それほど、俺はあれに見惚れていたのだろうか。


「…」

『…Um(   あの), Are you(  大丈夫  ) okay?(ですか?     )


 まずい、とてもまずい。

声色から何かこちらの心配をしてくれているのは分かるが、何を言っているのか分からん。

神ノ国から出ることないと思ってたし…真面目にルルリエ語勉強してればよかった…。


『…』

「…あ、あいむ、しにあすくーるはいすちゅーでんと!」

『…well! (まぁ!)senior(   高校) High(生   ) school(さん ) students!(ですか!)


 なんとか伝わった、のか?

相手の人もどこか雰囲気が柔らかくなった気がする…か?


切羽詰まっていて気づかなかったが、俺に声をかけてくれた人の後ろに子供がいた。


『…Mike, say hello?』

『…Hello』


「…は、はろー?」


──────────────────────


 シスターと名乗る人の案内で、教会と呼ばれる場所を案内してもらう事になった。

俺が見惚れていたのは天使だか神だかを模った、“ステンドグラス”という物らしい。


ちなみに、マイクと呼ばれた子供はずっと俺を睨んでいる。普通に怖い。


『──This is(という訳で) why God(  神は私達を) returned(お作りになられた後) to heaven(  天へと  ) after( 帰っ) creating(ていった   ) us.(のです。)

「…なるほど」


とまあ話半分に聞いてはいるが、要所要所の単語のおかげで分かる。

今の話も、なんで神様を信仰するのかの説明なんだろう。


そして、ここにきた目的も、そのおかげで思い出せた。

あの声、あの透き通った声。

それの出所を確かめにきたんだった。


「…あー、でぃど(did)ゆー(you)ひあー(hear)(the)しんぐいんぐ(singing)あらうんど(around)ひあ(here)?」

『…Is it a(     歌) singing() voice?(ですか?     )


──────────────────────


 あの後、突然対応が冷たくなったシスターさんに教会を追い出された。

ルルリエでは歌は何か禁句の様な物なのか?


「…てか、もうこんな時間か」


少し急ぎ足で、俺は帰路についた。


──────────────────────


「…ヴァーミリオン様、遂に見つかりましたわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ