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妖蔓延る世界のお話。  作者: 書き手のタコワサ
赤く、黒く、白い物語。
200/235

赤く、暗く、白いお話。

祝!祝っていいのか分かりませんが、二百話を突破しました。

感想、いいねは要りませんので、これからも本作をよろしくお願いします。

報告書No.153


キュカルス番号:No.095

危険度:星二(黄色)

収容方法:No.095は無数の木からなる■■に存在する湿地帯の一部です。

No.095内部に立ち入る際は、■■へと赴き、■を購入し自身の身に振りかける事で幾許かの猶予を得る事ができます。


キュカルス番号:No.096

危険度:星一(緑色)

特別収容方法:No.096は一つの盆と浮遊する水瓶で構成されています。

使用方法:No.096を使用する際、使用者は喉を乾かさなければいけません。

喉が渇いている場合、晩に注がれる液体が使用者の欲する液体に変化します。

使用上の注意:コールタールや蜂蜜、メイプルシロップ等の粘性の高い液体を想像すると、水瓶が使用者に降りかかります。


キュカルス番号:No.097

危険度:星三(赤色)

特別収容方法:No.097は三つの首を持つ犬のような生物です。

一つは老犬のように萎れていて、とても高い知能を有しています。

また、職員及びエージェント、Code等の生物全般を嫌っており、脱走し見つける度に踏み潰そうとします。

また、自らの体をどのようにも変化させられる事が確認されており、飛行している097が確認されたこともあります。

特別抑制プログラム:No.097は脱走が確認され次第即座に鎮圧しなければなりません。

No.097は三十分ごとに姿を変える事が確認されており、二時間の脱走の末、■■■人の犠牲を払い鎮圧が成功しました。


──────────────────────


 白い奴から聞かされた話は、どうも受け入れるには時間を必要とするものだった。

そも俺はあんまり頭の良い方じゃないし、時間を必要とすると思った話も随分と噛み砕いて説明してもらって漸く理解できた。


そも、妖云々の話もどうやら何かの手違いだったらしい。

じゃあ、俺のここまでの苦労は…?

そんな事を考え落ち込んでいると、体が揺れた。


「…地震か?ここ最近はめっきり減ったと思ってたが」


訂正、体ではなく地面が揺れていた。

というより、空気が揺れている。

これはあれだ、俺が出てない時の対校戦大将戦だ。

因幡対神無月さんのやつだ。


「ま、厄介ごとには首を突っ込まない方が」


刹那、天井を突き破って落ちてくる三首の犬と、それにまとわりつく黒い粘液。

俺は密かに、心の中で神に祈っていた。


どうかバレませんように、どうかどちらも俺に気付きませんように。

どうか何事もなく過ぎ去ってくれますように。


三首の犬が黒い粘液に向かい炎を吐くが、粘液側は何知らずといったようにまとわりつづけている。

ついで三首のうち一つが凍てつく様な冷気を吐くが、それも粘液には効いていないようだ。

やがて、粘液が三首の犬を完全に覆うと、三首犬は最後の抵抗と言わんばかりに暴れる。

が、相手は粘体。

水を引っ掻いたところで意味は無いように、当然のように、粘体は受け流す。


俺は、部屋の隅っこで縮こまっている。

あの粘体とちがって、俺の命は一つしかないし、あんなでかいやつに引っ掻かれたら一撃でお陀仏だ。


「──けぷ」


そんな音が聞こえると、俺の耳に入る心音が無くなっていた。


「…不味い、あのいmtコロ」


ひどく不機嫌そうに口元の辺りを拭くニグラナ。

どうか俺に気づかないまま帰ってくれないかと思ったが、現実は非情である。


「…鳴渡、あのいmtコロは飲み込んだ、もう安全だぞ」

「あ、ありがとう?」


俺が一先ず礼を言うと、ニグラナは胸を張ってそれに応える。

まるで子供のような動作に、少しその場の雰囲気が和んだ気がした。


──────────────────────


「…お、遅い…」

「ええ、もう四日ですよ、早く捜索に」

「せめて、あと一日待て…」

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