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妖蔓延る世界のお話。  作者: 書き手のタコワサ
多々良凛ノ物語
2/208

多々良凛〜弐〜

響と家での一幕。

何時もは祖父の怒声で起きていたが、

今日はそれが聞こえず若干寝坊してしまった


時計の針は5時30分を指している。

何時もより少し遅い。


(あいつ)はもう起きてっかな?」


部屋を覗くと

何時もの毅然(きぜん)とした態度のあいつ()らず、

顔全体にびっしょりと汗をかき、

うなされている(あいつ)が居た。


どうしよう、こういう時は確か、汗を拭くんだっけ?

何処かにタオルあったかな?


「よし、取り敢えずコレで良いわね」


時計を見ると6時ぴったりだった。


「折角だし朝ご飯でも作ってあげますか!」


花嫁修行も兼ねてね。


「そんじゃ冷蔵庫の中h…うわっ」


そこにあったのは地獄だった。

カビの生え賞味期限がとうの昔に切れたお弁当、

他の女子から貰った物だろうか?

綺麗に包装されたチョコの様な物、

(バレンタインだろうか?(あいつ)に渡す奴がいるのか?要チェックね…)

真っ黒焦げの肉?の様な物、(此れは判別不明ね)

それに煮物?の様な物、

((かろ)うじて馬鈴薯(じゃがいも)が確認できる)

基本的に料理に使えそうな物は入っていなかった。


(これは買い出しね。炊飯器は動くから、献立は…)


朝ご飯の献立は

白ご飯

焼き鰆

お吸い物

お漬物

の四つに決めた。


(奇跡的にお米はあったし、買ってくるのは鰆と野菜と漬物ね、

お金は…(コイツ)から借りましょ)


-------------------------------------------------------------------------


(スーパーまで片道15分って思ったより遠いわね…)


時計は6時30分を指している。


鮭も野菜もお漬物も思ったより安かったし、

あまりお金使っても忍びないしね。


(さて料理に取り掛かるわよ)


奇跡的に動く炊飯器を使ってご飯を炊き、

辛うじて火がついたコンロで焼き鮭、お吸い物を作り、

悔しいけど買ってきたお漬物を何故か綺麗な包丁で切り分ける。


ガタッ


「!?」


な、何?と思ったが直後に、


((あいつ)が起きたのね。)


と、分かり料理に戻る。

まぁそうは言ってもあとは味見だけだ。

何で調理器具が綺麗なの?と思ったけど多分(あいつ)料理しないのね。


背後に目線を感じ振り返って見ると(あいつ)がいた。


「ごめん、起こしちゃった?」

「いや?何時もこの時間に起きるし大丈夫だよ」


良かった、(うるさ)いかと思った。


「そっそう?なら良いんだけど」

「てか、お前料理出来たんだな」

「それ結構失礼じゃない?寧ろ得意な方よ!」

「ふーん」


コイツ…聞いといてその反応はないでしょ!


「てかお前時間大丈夫なの?今日から本格的な訓練だろ」

「えっ……」


時計を見ると7時だった。


「あぁ終わった…訓練初日から遅刻なんて…」

「まぁなんつうか…ドンマイ!」

「あんたはホントお気楽ね!そういうあんたはなん

 かないの?」

「?俺?なんかあったk…」


みるみると(あいつ)の顔が蒼白になっていく。


「その顔。何かあったんでしょ」


更に蒼くなる。


「い、いや?特別な、何かが?あ、ある訳でもない

 し?」

「ふーん、ま、いいけど」


コレは(しばら)くイジれるわね。


「じゃあ先に行くわ」


折角朝ご飯作ったのに…

仕方ないか。


「あ、これ」

「?」

「見て分からない?『お弁当(・・・)』よ!」

「いや分かるけどさ」

「何か文句あるの?」

「ナンデモアリマセン」

「そう?じゃあ早く行きなさい!紫煙(しえん)先生厳しいからね」

「おう!」


全く返事だけは一人前ね。

私も準備して行くとしますか。

響君どうやら自炊できない系男子の様です。

まぁ顔はいいからチョコは貰えてるらしい(血涙)。

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