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妖蔓延る世界のお話。  作者: 書き手のタコワサ
多々良凛ノ物語
18/209

多々良凛〜拾伍〜

「…」


静寂が場を支配する。

1分、1時間にも感じる時間が過ぎる。


「俺は」

「!」

「あんま強く無いし、甲斐性もあんまり無いし、我が身が一番可愛いし、…ちゃんとお前を愛せるか分からないけど」


響は一息置き、整えた後


「こんな俺で良いなら宜しくお願いします」


ああ、やっと…


「グスッ…うぐっ…えぐっ…」

「な、何か駄目な事言ったか!?」


全く、鈍感なのかわざとなのか分からないじゃない。


「五月蝿い、ばか」


でも、


「やべぇ、何か地雷とか踏んだか!?」


慌てるコイツを見るのは楽しいから良いか。


────────────────────────


-物陰-


「しゃあ!告ったぁ!」

「はしたないですよ、雀蜂」


まぁ気持ちは分からないでも無いですが。


「だって風丘様!やっとですよ!」

「えぇ、そうね」


でも何か嫌な予感がするのよね。


「まぁ良いか」

「何か言いましたー?風丘様ー?」

「いいえー」


────────────────────────


「…落ち着いたか?」

「グスッ…ありがと」


コイツの前で泣いちゃ駄目じゃない。

可愛い『多々良凛』で居なきゃ。


「にしても」

「?何よ」

「涙脆いのは昔と変わんねぇな」

「そ、そんなに脆かったかしら?」


身に覚えが無いわ…


「昔、まだ餓鬼だった頃『捨てられた』ってガン泣きしてた

じゃねぇか」

「そ、そんな昔の事なんで覚えてないわ!」

「そうか?」


────────────────────────


『まもなく当園は閉園となります、忘れ物等ご確認下さい』


何事にも終わりは来るものだ。

この楽しい時間も終わる。


「それじゃあな」


嫌だ。


「待って!」


声が先に出た。


「ん?」

「その…さ、最後なんだし、その…」


覚悟を決めろ私!


「ハ、ハグ位はしてくれても良いじゃない!」

「はぁ?」


あいつは『何でそんな事を?』という顔をしている。


「そ、そんなだから「はい」ぴっ!?」


い、いいいいきなり!?


「い、いきなりするんじゃないわよ!」

「俺にどうしろと?」


し、心臓バックバクよ。


「改めて、またな」

「え、ええ。またね」


────────────────────────


-物陰-


「あー!!凛様日和った!」

「こらこら」


お口が悪いですよ…ん?


「雀蜂」

「はい?」

「誰か来ます、隠れますよ」

「御意!」


私達に気づく?相当な手練ですかね?


「この辺で声がした筈なんだけど…」

「「!!」」


これは、響様ですかね?


「…気の所為かなぁ?」


ふぅ…バレませんでしたね。


「雀蜂」

「はい」

「引き上げますよ」

「御意!」


これは報告しないといけませんね。



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