多々良凛〜拾肆〜
「…さま!、…ん様!、凛様!」
「ぬぇっ!?」
「起きてください!今日ですよ!」
「な…何かあったかしら?」
「何って…デートでしょう!?」
え?
カレンダーに目を向ける。
赤丸で囲まれた日に、『約束の日』の文字。
「…あーーっ!」
今は!?何時!?
時計の針はマルハチサンマルを指している。
「(ギ、ギリギリ間に合うわ!)」
急がないと!
「雀蜂!」
「は、はい!」
「急ぐわよ!」
「わ、私関係ありますか!?」
兎に角急がないと…
顔洗って、着替えて、お化粧して…
「凛様!」
「何よ!」
「…私の簪知りませんか?」
「知らないわよ!」
おっかしいなぁ…とか呟きながら部屋を出る雀蜂。
時間を無駄にした気分よ…
「って、もう出ないと!」
お化粧も碌に出来てないし…
「お化粧ならバッチリで御座いますよ?」
「!?」
ふ、風丘?
何を言って…
「鏡をご覧ください」
「?時間ないわよ…」
お化粧が済んでる!?
「な、何したの!?」
「ふふ、秘密でございます」
気になるけど、踏み込んではいけない気がするわ…
「ま、まぁいいわ」
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「よし!」
準備出来たわ!
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃいませ、凛様」
ふふ、楽しみだわ。
響がどんな反応するか…
「ふふ」
楽しみだわ。
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少し早く着いてしまった。
「(今のうちに身だしなみを直さないと…)」
髪は乱れていないか、汗をかいていないか、
臭くはないか、ちゃんと話せるかとか確認しないと…
「よぉ」
「ぴっ!?」
だ、誰!?
「って、響じゃない」
「何だよ、俺で悪いか?」
「べ、別に悪くはないけど、その…」
「?」
何で響は気づかないのよ!
こんなにおめかしして!楽しみにしてたのに!
「何落ち込んでんだ?」
「五月蝿い、馬鹿」
改めて、響の方を見る。
うん、響にはやっぱり紺色が似合うわね。
「で、何処行くんだ?俺何も聞いてないんだけど」
「えっと、最初は…」
『あれ』を確認する。
ステップ1!
『相手に自分の格好はどう?と聞いてみましょう!』
何よこれ…?
何か不安しかないけど聞いてみましょ。
「ひ、響!」
「あん?」
「き、今日の私の格好どう?」
「どうって…似合ってるぞ?」
「そっ、そう!?ありがと!」
「?」
よし!
最初は上手く行ったわ!
次は…
ステップ2!
『相手に何処に行きたいか聞き、行程を決めましょう』
「響は何処に行きたい?」
「俺?うーん…」
何で決めてこないのよ!
まぁ確かに聞いてないこっちが悪いんだけど…
「あ!」
「何かあった?」
「俺お前と行きたい所あんだよ!」
私と行きたい所?
「どこ?」
「いやな…」
響の口から出てきた言葉は意外なものだった。
「一緒に映画を見ようと思ってな」
「…へ?」
えっ、えええええ、映画ぁ!?
「あ、あんた、マジで言ってんの!?」
「大マジだけど?」
コイツっ…はぁー…
分かったわ、これはコイツの作戦よ。
映画とか本当は行く気も無いくせにそう言う事で
慌てふためく私を見て揶揄うつもりね!
残念だったわねそうは行かないわよ!
「え、ええ良いわよ行きましょう!」
「…何か無理してないか?」
「大丈夫よ!」
こうなったらヤケよ!
「何の映画?」
「何か釘刺がオススメしてたやつ」
「へー」
「恋愛映画らしい」
「へー…へ!?」
れっ、恋愛映画ぁ!?
「まじ…?」
「グダグダ言ってても何も進まねぇし、ほら行くぞ」
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「…すごかったね」
「…だな」
何というか…凄かった。
あんな情熱的な恋をしてみたいなぁ。
「?」
本人はどこ吹く風だけど…
「まぁ良いわ」
「で、次は何処行くんだ?」
「そうね…」
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「しっかし、お前にも以外な趣味があるんだな」
「べ、別にいいでしょ!」
一度は来たかったのよ、『遊園地』!
「やっぱお前も箱入りなんだな」
「悪い?」
「いや?生まれなんてどうしようもないだろ?」
「そ…そうね」
な、何あれ!
「響!あれ行きましょ!あれ!」
「分かった分かった」
お化け屋敷?
ふふん、普段から怖いものなんて見慣れてるから平気よ!
「あ、大人二人で」
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『ヴオォォォォォォオ!!』
「キャーー!」
『キシャーーーーー!』
「うおっ…」
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「うぅっ、ぐすっ…」
「よしよし…」
あんなの、反則じゃない!
怖いじゃ無くて、びっくりじゃない!
「次、何処行く?」
「グスッ、あれ…」
好きな相手と乗ったら成就するとか言う観覧車。
これで気付けば御の字よ。
「よし分かった、…歩けるか?」
「あ、歩けるわよ!」
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「…綺麗だな」
「…そうね」
観覧車から見える夕陽は何処か神々しく、またこの時間が
もうすぐ終わる事を暗示していた。
「(伝えないと…一生後悔する!)」
「あの」
「なぁ」
声が被る。
「響からで良いよ」
「ありがとな」
響は一息置き、話す。
「今日、楽しかったわ、ありがとうな凛」
「此方こそありがとうね」
響は少し困惑している。
「私からも良い?」
「ああ」
一息置く。
緊張を解す。
「響、その今日はありがと。一緒に居れて楽しかったわ」
「ああ」
逃げるな私!
「それでね、その」
「?」
ああもう!
息を整える。
「響!」
「おう」
思考を整理し、吐き出す。
「貴方が好きです!結婚を前提に付き合って下さい!」




