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妖蔓延る世界のお話。  作者: 書き手のタコワサ
多々良凛ノ物語
17/236

多々良凛〜拾肆〜

「…さま!、…ん様!、凛様!」

「ぬぇっ!?」

「起きてください!今日ですよ!」

「な…何かあったかしら?」

「何って…デートでしょう!?」


え?

カレンダーに目を向ける。

赤丸で囲まれた日に、『約束の日』の文字。


「…あーーっ!」


今は!?何時!?

時計の針はマルハチサンマルを指している。


「(ギ、ギリギリ間に合うわ!)」


急がないと!


「雀蜂!」

「は、はい!」

「急ぐわよ!」

「わ、私関係ありますか!?」


兎に角急がないと…

顔洗って、着替えて、お化粧して…


「凛様!」

「何よ!」

「…私の簪知りませんか?」

「知らないわよ!」


おっかしいなぁ…とか呟きながら部屋を出る雀蜂。

時間を無駄にした気分よ…


「って、もう出ないと!」


お化粧も碌に出来てないし…


「お化粧ならバッチリで御座いますよ?」

「!?」


ふ、風丘?

何を言って…


「鏡をご覧ください」

「?時間ないわよ…」


お化粧が済んでる!?


「な、何したの!?」

「ふふ、秘密でございます」


気になるけど、踏み込んではいけない気がするわ…


「ま、まぁいいわ」


---------------------------------------------------------------------


「よし!」


準備出来たわ!


「行ってきまーす!」

「行ってらっしゃいませ、凛様」


ふふ、楽しみだわ。

響がどんな反応するか…


「ふふ」


楽しみだわ。


---------------------------------------------------------------------


少し早く着いてしまった。


「(今のうちに身だしなみを直さないと…)」


髪は乱れていないか、汗をかいていないか、

臭くはないか、ちゃんと話せるかとか確認しないと…


「よぉ」

「ぴっ!?」


だ、誰!?


「って、響じゃない」

「何だよ、俺で悪いか?」

「べ、別に悪くはないけど、その…」

「?」


何で響は気づかないのよ!

こんなにおめかしして!楽しみにしてたのに!


「何落ち込んでんだ?」

「五月蝿い、馬鹿」


改めて、響の方を見る。

うん、響にはやっぱり紺色が似合うわね。


「で、何処行くんだ?俺何も聞いてないんだけど」

「えっと、最初は…」


あれ(デートプラン)』を確認する。


ステップ1!

『相手に自分の格好はどう?と聞いてみましょう!』


何よこれ…?

何か不安しかないけど聞いてみましょ。


「ひ、響!」

「あん?」

「き、今日の私の格好どう?」

「どうって…似合ってるぞ?」

「そっ、そう!?ありがと!」

「?」


よし!

最初は上手く行ったわ!


次は…

ステップ2!

『相手に何処に行きたいか聞き、行程を決めましょう』


「響は何処に行きたい?」

「俺?うーん…」


何で決めてこないのよ!

まぁ確かに聞いてないこっちが悪いんだけど…


「あ!」

「何かあった?」

「俺お前と行きたい所あんだよ!」


私と行きたい所?


「どこ?」

「いやな…」


響の口から出てきた言葉は意外なものだった。


「一緒に映画を見ようと思ってな」

「…へ?」


えっ、えええええ、映画ぁ!?


「あ、あんた、マジで言ってんの!?」

「大マジだけど?」


コイツっ…はぁー…

分かったわ、これはコイツの作戦よ。

映画とか本当は行く気も無いくせにそう言う事で

慌てふためく私を見て揶揄うつもりね!

残念だったわねそうは行かないわよ!


「え、ええ良いわよ行きましょう!」

「…何か無理してないか?」

「大丈夫よ!」


こうなったらヤケよ!


「何の映画?」

「何か釘刺がオススメしてたやつ」

「へー」

「恋愛映画らしい」

「へー…へ!?」


れっ、恋愛映画ぁ!?


「まじ…?」

「グダグダ言ってても何も進まねぇし、ほら行くぞ」


---------------------------------------------------------------------


「…すごかったね」

「…だな」


何というか…凄かった。

あんな情熱的な恋をしてみたいなぁ。


「?」


本人(お相手様)はどこ吹く風だけど…


「まぁ良いわ」

「で、次は何処行くんだ?」

「そうね…」


---------------------------------------------------------------------


「しっかし、お前にも以外な趣味があるんだな」

「べ、別にいいでしょ!」


一度は来たかったのよ、『遊園地』!


「やっぱお前も箱入りなんだな」

「悪い?」

「いや?生まれなんてどうしようもないだろ?」

「そ…そうね」


な、何あれ!


「響!あれ行きましょ!あれ!」

「分かった分かった」


お化け屋敷?

ふふん、普段から怖いものなんて見慣れてるから平気よ!


「あ、大人二人で」


---------------------------------------------------------------------


『ヴオォォォォォォオ!!』

「キャーー!」


『キシャーーーーー!』

「うおっ…」


---------------------------------------------------------------------


「うぅっ、ぐすっ…」

「よしよし…」


あんなの、反則じゃない!

怖いじゃ無くて、びっくりじゃない!


「次、何処行く?」

「グスッ、あれ…」


好きな相手と乗ったら成就するとか言う観覧車。

これで気付けば御の字よ。


「よし分かった、…歩けるか?」

「あ、歩けるわよ!」


---------------------------------------------------------------------


「…綺麗だな」

「…そうね」


観覧車から見える夕陽は何処か神々しく、またこの時間が

もうすぐ終わる事を暗示していた。


「(伝えないと…一生後悔する!)」


「あの」

「なぁ」


声が被る。


「響からで良いよ」

「ありがとな」


響は一息置き、話す。


「今日、楽しかったわ、ありがとうな凛」

「此方こそありがとうね」


響は少し困惑している。


「私からも良い?」

「ああ」


一息置く。

緊張を解す。


「響、その今日はありがと。一緒に居れて楽しかったわ」

「ああ」


逃げるな私!


「それでね、その」

「?」


ああもう!

息を整える。


「響!」

「おう」


思考を整理し、吐き出す。


「貴方が好きです!結婚を前提に付き合って下さい!」

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