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妖蔓延る世界のお話。  作者: 書き手のタコワサ
多々良凛ノ物語
13/208

多々良凛〜拾〜

記念すべき十話目です。

(物語としての)

「はぁっはぁっ」


響をおぶり、走る。

出来るだけ響に衝撃を与えないように。


「此処まで来れば…」


実家からは相当離れた山の中。

野草やキノコ等の見分け方は習った…とはいえ危ないか。


「あぁもうホンット腹立つ!」


家を襲撃し、(コイツ)を攫おうとしたあの化け物共。

此方を見、不敵に笑う狐。

空高く浮かび、見下ろすだけで何もしなかったあの龍。


「あいつら…せめて正体が分かれば…」


狐の方は何となく分かるが龍の方がイマイチだ…

そもそも何故実家(あの家)なんだ?

何か…十中八九(コイツ)ね。


(コイツ)どうしようか…」


私と居たら襲われるかもしれない。

かと言って一人にもできない。


「ホンット面倒くさいわね…」


追われるのは私だけでいいんだ。

響だけでもどうにか出来れば…


「(コイツの家は…)」


駄目だ。

多分張られてる。


「チッ…」


駄目だ駄目だ。

(コイツ)の前では可愛い子で居なきゃ。


それにしても…


「何でこの状況でぐっすり寝れるのよ…」


まるで死んだように響はぐっすりだ。

結界を維持する霊力もどれだけ持つか分からないってのに。


「(どうしよう)」


八方どころか六十四方囲まれた気分だ。

そうか、絡繰を使えば…


「(いや、駄目だ)」


絡繰なんか使ったらばれてしまう。

どうやって探ろうか…


「(あまりしたくないけど…やるしかない)」


術紙を地に置き、式言(しきごん)を唱える。


「我、『目』を必要とする者。

 召喚の式に応じ、我に瞳を与え給え」


術紙が光り輝き声が聞こえる。


『汝、我を呼び瞳を欲するか』

「はい」

『汝、(にえ)を何とする』


これだ。

贄やら人柱やら、要求が重いのだ。


「望む物を」

『ふむ…』

「なんなりと」


何が来ても良い。

取り敢えず情報が欲しい。


『では、我この物を欲する』

「はっ」

『睦月、弥生、皐月、文月、長月、霜月。

 この月、逢魔が時に我を呼び、此れを持て』

「はっ」


め、目薬?


『最近、目が渇くのだ』


まぁ、いいか。

今回はだいぶ楽に済んだ。


『頼んだぞ』

「かしこまりました」

『では、我が力お前に与えてやろう』


ではな、と言い百目鬼(とどめき)は帰って行った。


「(よし)」


街の様子を思い浮かべ、『視る』。


「(白い服の連中…家のとは対照的な…)」


私の家の衣装とは真逆の真白さ。

少し不気味だ。


「(それに私の家の連中)」


何かを探している?

多分あの化け物共だろう。

何か言い争っている?


「(狐や龍の情報は…分かる筈もないか)」


欲しい情報は入らなかったが存外助かった。

これなら(コイツ)を家に送れそうだ。

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