第02稿08話~垂らした餌に魚は食い付くか13~
__忍者|jしtう―SYSTEMERROR
「それでは拙者達は少々疲れているので自室で暫し休憩させてもらうでござる」
そう言ってロックオンと共に拙者のあてがわれた部屋に戻り本を取り出す。
「さて、では拙者はコレを読むでござる」
「あぁ、危険そうならキュア撃つよ」
「では、行って来るでござるよ」
本を開いて文字を読む。すると水音……川のせせらぎの音が聞こえる。そして森のさざめきが聞こえてくる。しかし、その中に生物の声は無い。
目を開けると枯れ果てた木々の立ち並ぶ元は森だったであろう光景が見える。
『いや、しかし。コレももう世界間の移動みたいなものだから、放浪者だね』
そうなのでござるか?
『……そうだよ。邪神の残滓が作った異空間に突入してる訳だしね』
「さて、今回の本星は何処にいるでござるかね」
『探索開始』
「っと、早速来たでござるな。……まぁた、アンデットでござるか」
木陰からゾロゾロと現れる生の匂いが全くしない人々。皆一様に肌を見せない様な幅広の帽子と地面にまで届くコートを来ている。
スケルトンではなくこそげ落ちては居るが肉が付いている所からゾンビだという事が分かる。
「それでは血の消耗抑える為にあっちでやるでござるか」
両肩から刀の柄が飛び出る。それと同時に忍の衣から鎧へと変わって行く。覆面は兜と鬼面となり狂気を携えたその面の目の部分から赤い目が光る。
そして両肩の柄を握り抜き放つ。剣閃が飛びゾンビ達は避けられずに首から上、肩から上個人差はあるが頭と胴体を切り離された。周囲の枯れ木も1.5m程の高さで斬れ重力に乗っ取って倒れていく。
「さてはて、何体が耐えたでござるかね。ふむ、ふむ?」
暫く待つが立ち上がるゾンビは居なかった。
「拍子抜けでござるな」
『これは……――の従者か、――は棘に刺されないように気を付けて。近くに湖みたいなのがある筈』
「一体、何が起きたんだ?」
「待って、誰か居る」
どうやら生きてる人間も混じってるようでござるな。
「……鎧……武者?」
「敵意は無いみたい」
「そちらは敵意マシマシでござるな」
「えっと、ここで何してるの?」
「ゾンビに襲われてたでござるよ」
刀の切っ先をゾンビの居た方に向ける。木々に押しつぶされ身動きの取れないゾンビ達を見た2人の男女は一歩下がった。
「ぼ、僕は如月天人。君の名前は?」
「如月でござるか……拙者は、片凪と申すでござる」
日本名を聞いたので転生前の名前を名乗る。
「カタナギさん?」
「片方の片に海が凪ぐの凪でござる」
「もしかして榊原充って奴知ってますか?」
「充殿でござるか。知ってるでござるよ。確か霧崎静香と呼ばれる女性と一緒に居たでござる」
「あぁ、それなら間違いないですね。2人が病院で助けられたって言ってました。本当にありがとうございます」
「友達だったでござるか。無事だったのなら良かったでござる」
榊原充、前に別の邪神書に潜った時に居合わせた者だ。霧崎静香って子がずっと引っ付いてたのが目を引いた覚えがある。
はて、ハングドマンが言うにはこの世界は精神世界と言っていたでござる。
それなのに別の精神世界で会った者と記憶を共有してる者が居る……?
ここは別世界という訳で無いのでござろう?
『別世界では無いね。ここは世界と世界の狭間に出来てる空間みたいなものだよ』
つまり……交差点みたいに他の世界から迷い込む者も居るでござるか?
『あぁ、そう言う事になる』
「2人はどうして此処にいるんでござるか?」
「湖畔のコテージに用があるんだ」
「成程、では……む?」
軽い酩酊感。これはロックオンのキュアでござるな。
「どうしたの?」
「いや、拙者はどうやらここまでの様でござる。また、会えたらよろしく頼むでござるよ」
「え?」
酩酊感が強くなり視界が狭まり重力が消え。
__忍者|自室
気付いたら白いポメラニアンのティキに顔を刺されていた。舌で。なんで尖がってるのでござろうか。
「痛いでござる」
「ごめん、ティキが止めろって」
「それはしょうがないでござるな」
『グラーキの気配がしたんだけど何してるの?1人でグラーキに挑むとか言わないよね?せめて僕とロックオンを連れて行くべきそうすべき』
「全くしょうがないでござるなぁ。では仕切り直すでござるか」
「え?僕も行く感じ?」
『勿論だよ。大丈夫、加護があれば一応正気は保てるし。やるのはグラーキの幻影だしね』
「嫌です」
「では拙者とティキで行くでござるよ」
『うーん、しょうがないね。じゃぁ2人で戻ろう』
そしてティキと2人で邪神書を覗き込む。
忍者独走タイム。ギルド長の初心者講座まで行きませんでした!
……2人?
次回はギルド長の初心者講座挟みます。お楽しみに
それでは皆様また次回。