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第02稿07話~トキトー領、到着5~


__遊び人|トキトー邸―父の執務室


「どうぞ、入って良いよ」


「失礼します。王子と王女をお連れしました」


「お帰りユウ。良く帰ったね。そしてようこそトキトー侯爵領へ。王子殿下に王女殿下」


 父であるワカ・トキトーは若干ふくよかな身体と丸い顔を持っている。髪とかの色は黒だけど。

 優しそうな雰囲気を漂わせているが一応はここの領主。漂わせているだけで中身も優しい訳ではない。身内以外に対しては……


「カルク・ファンタシアだ。この度は世話になる」


「カルラ・ファンタシアです。この度は突然の訪問。受け入れて下さりありがとうございます」


「して、観光との事でしたが、息子を案内役として付けましょうか?」


「いや、良い。貴方の息子は見失ってしまいそうだからな。存在感のある人で頼む」


「了解しました。では、執事もお付けしましょう」


「お付けするという事はユウ・トキトーも一緒だって事か?」


「ぶっちゃけますと、王族の相手が出来るほどマナーのある方も居ません」


「なら気にするな。どうせ私達は継承権が来る筈もない末端だしな。一部の兄上の様に不敬だとか言って牢にぶち込んだりはしない。だからコイツよりもマナー悪く無ければ大丈夫だ」


「ちょ、俺っすか?引き合いに出さないでくださいっすよ」


「……分かりました。ユウ、お前の商会の従業員を何人か立ててくれないか?」


「ゴート、話は聞いてたな?」


「畏まりました。お坊ちゃま」


「私達も今日は疲れたので部屋に一旦戻らせてもらう」


「ゴート、王子殿下、並びに王女殿下を部屋までお連れしてからにしてくれ」


「畏まりました。旦那様」


 そう言って、うちの執事は双子と従者7名を連れて出ていった。


 さて、次は先生が一歩前に出る。


「引率として参りました。グラス・ポーターです」


「これはどうもご丁寧に、ユウ・トキトーの父。ワカ・トキトーです。部屋は用意しています。お疲れでしょう。夕食の時に改めて皆さんと挨拶をしましょう」


「分かりました。さぁ、部屋に荷物を置きに行くぞ」


 勇者とカタナとロックオンが残る。おいおい、研究組と一緒に出ていく流れだろ。勇者が出てこないのに気づいて勇者PTも戻って来た。


「初めましてでござる。拙者はカタナ。学園でご子息とPTを組んでる者でござる」


「初めまして、僕も同じくPTを組んでいるロックオンと申します」


「おお、本当か?しかし、今回はビックリしたよ。武芸科で入学した筈なのに特待科クラスって聞いてね。影薄いでしょ?うちの子。良く見つけてくれた。ありがとうね」


 見つけられた前提で話している……解せぬ。まぁ、その通りだが。


「いやいや、とても世話になってるでござるよ。それと、トキトー殿。紹介をお願いするでござる」


「あぁ、この子はミクルだ。ロックオンとカタナの従者みたいなモノ」


「ほう、よろしくね」


「ハイ、ヨロシクデス」


「……という訳で、俺も疲れたから失礼するよ」


「え!!」


「えっと、その子達は……」


「……勇者PTだ。以上」


「待ってよユウ君。それはあんまりだよぉ。一緒に居てよぉ」


「……生まれながらの勇者ですね。よろしくね。息子と仲良くしてくれると助かるよ」


「貰っていいですか?」


「何をかな?」


「ユウ君を下さい!!」


「えぇ!?」


「外堀じゃなく直球で来た……」


「見るでござる。アレが後先考えない神風ムーブと言う奴でござるよ」


「ふむ、勇者か……残念だけどユウはうちの跡取り息子でね。勇者との結婚は認められないな」


「そんな!どうか!どうかお許しください!!」


「……本気か?ならばアナとゴートとユウ、そしてうちの家族達が認めるのなら許可を出そう」


「いやいや、父が本気かよ?」


「嫌ならお前が認めなければ良いだけの話だろう?」


「それもそうか」


「ユウ君に絶対認められて見せます!」


「その様子だと無理だな」

 もしかしたら帰ったら妹が入り婿で跡継ぎ立てると言われると思っていたが、俺が暫定跡継ぎで良い様だ。

「所で、父よ。俺が跡継ぎで本当に良いのか?」


「いやいや、お前以外に誰が居るよ。その歳で商会回すくらいの腕のある息子を跡継ぎに据えないで放逐したら、うち没落するよ?」


「商会については俺もう何もしてないけどな」


「いや、まぁゴートが優秀なのは認めるけど。お前の指示の元で動いてるゴートの評価はそのままお前の評価でもあるんだよ。影が薄いのが本当に困りものだけど。領民からの支持は厚いだろう?お前の評価が影が薄い以外も平凡だったのなら放逐される事だったろう。だがお前は能力を示した。だからこそうちの跡継ぎはお前だ」


 なんてこったい。どうせ放逐されるだろうと思って、収入源作ったらソレが跡継ぎの評価に繋がったらしい。なにそれ、初耳。


「よって、勇者には跡継ぎ……息子はやれんと言う事だ。だが「じゃあ、勇者止めます!」ユウ達が認めるのなら……何て?」


 娘なら分かるが息子はやれんって。そのセリフはどうなんだ?


「私、勇者止めてユウ君のお嫁さんなります!」


「……なんてこったい。それは止めてくれ。そんな事されたらユウが処刑されてしまう」



 ほわい?突然、俺の処刑が出て来たぞ。

 

「ど、どうしてユウ君が処刑されるの?」


「王族も一枚岩とはいかないのだよ。勇者に一代貴族の位を配爵される理由は一重に勇者の血を王族に取り込む為でもある。つまり、勇者の血が欲しい王族からしたらユウが邪魔になる訳だ。しかも勇者を辞されでもしたら……それ幸いに担ぎあげられてしまうだろう」


「……じゃぁ、勇者止めない。死なれたら困るもん」


 じゃぁ、でももん、でもねぇよ。俺、死にたくないし……


「それならば、まずは認められるところからだ。君は勇者だ。それがどういう事なのかを理解してくれると嬉しい」


「分かりました!では皆さんに会いに行ってきますね!失礼します!」


 慌ただしく勇者達は部屋から出て行った。



やっと半分くらいです。この話だけで2万字位あります。超長くなりました。


勇者に試練が科せられました。


次回、犬VSカタナ……は明後日でした。次回、殲滅作戦立案領主。お楽しみに。

それでは皆様また明日。

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