第02稿06話~これよりここを仮拠点とする4~
__忍者|装甲馬車
「ちょっと遅かったでござる。鞭の様に木々が跳ね回ってるでござるよ!」
「トキトーが吹っ飛んでった。カタナ早く回収して!」
「木に阻まれて血が届かなかったでござる」
「降りてトキトー探して飛んで戻ってきて!」
「流石にこの速度だと見失うかも知れないでござるよ?」
「なぎ倒してる木とPTの装飾品の効果で場所は分かるでしょ!ええい。ファイア!」
「あぁ、そうでござるなって、不意打ちは止めるでござるうううううぅぅうぅぅ」
装甲馬車の上から吹き飛ばされる。空中で空を舞う木にぶち当たり木と共に地面に墜落した。
「拙者、傷は直ぐ治るがでござるが。痛いモノは痛いでござるよ……」
辺りを見回すがトキトー殿は見当たらないでござるな。
おっとそうであった。PTの装飾品を使うでござる。確か何処に仕舞ってたでござるかな。
まぁ、身体のどっかにはある筈でござる。ちょっとした小物や装飾品は体内に埋め込んであるでござるからな。
トキトー殿の距離が頭に浮かぶ。ちゃんとあって良かったでござるな。
「こっちの方でござるか。もしやこの木材の山のどれかに生き埋めになってるでござるか?葉っぱの下に居るならまだしも木の下敷きは危険かも知れないでござるな」
一本一本、道の端にどかして探す。ううむ、何処に居るでござるかー?
「トキトー殿ー何処でござるかー?」
む?トキトー殿の距離が不鮮明で見えにくいでござるな。それよりも血の匂いをかぎ取った方が速そうでござるか。
拙者気付いたでござる。これは……トキトー殿、死の沼に片足突っ込んでるでござる!
『そんな一人遊びしてないでさっさと見つけた方が良さそうだよ。フォー……フールの部屋に魂が遊びに来ているみたいだ』
む、話しかけてくるとは珍しいでござるな。で、魂が遊びに来てるとはどういうことでござるか?
『早くしないと死んじゃうって事だけども』
死因、木の下敷きとはなんとも無念。そうならない様に探し出すでござる。
『いや、ガッツポーズじゃなくて早く探して。コントやってる場合じゃないって』
「チートの術!」
指の先から血の糸を作り出し様々な事が出来る術でござる!
木の下に下敷きになっていようとも血の糸なら邪魔されずに木の下を探索出来るのでござる。
正にチート!
『そもそも存在自体がチートだからね』
お主も悪乗りしてたであろう。
『キャラデザしてる時って調子乗っちゃうんだよね』
む、居たござる!血を送り込み木を吹き飛ばす。すると、安らかな顔をしたトキトー殿が、遅かったでござるか。
『いやいや、生きてるからね。早く回復してあげて。ヘルスポーション貰ってたでしょ』
「おぉ、そうでござった!これを飲むでござるよ」
小さい瓶の蓋を開け、トキトー殿の口に流し込む。
「ゴボゴボゴボ、ゲホッゲホッ死ぬ!あれ?ここどこ?」
「拙者らロックオンに落されたでござるよ」
「え?マジか」
__遊び人|森
「え?マジか」
後頭部の衝撃は木だと思ったんだが魔銃で撃たれたのか?
『後頭部の衝撃は木だぞ』
「本当にロックオンに落されたのか?ノーライルじゃなく?」
「おっと、拙者がロックオンに落されたでござる」
「あぁ、成程。所で身体中痛いんだけどどうなってる?」
「木々に埋もれてた割には骨折とかもしてなかったでようでござるよ」
『殴打で逝きかけてたけどな』
「単に気絶しただけだったのかな」
「鼻血が出てたでござるから頭がヤバい可能性も微レ存でござるよ」
「びれ……?何て」
「可能性もあるでござるよ!」
「どうやら言語機能が逝かれている様だ。ござる口調に変換されている」
「大丈夫でござる。それは正しいでござるよ!」
「冗談だ。それで?歩いてこの木々で出来た道を辿って行けば良いのか?移動しにくくないか?直径で俺の身長よりもあるモノも転がってるぞ」
「空飛んで……」
良し、逃走を計ろう。
「ちょ、何も言わずに逃走しないで欲しいでござる」
スロウスロウスロウスロウスロウ。
「む、足が重いでござる。これはスロウ!足にスロウをかけないで欲しいでござる!!部位指定とか器用でござるな!」
「人は飛ぶように出来ていない!」
さて、さっさと逃げよう。と思っていたら両脇から羽交い絞めにされた。
「捕まえたでござる」
何で捕まったのかと思ったら宙に浮く。羽生やして追いかけてきやがった。
「離せー降ろせー人は飛べん!」
暴れたら放して……くれないな。血製スライムが装備されてしまった。
「ゆっくり飛んであげるから頑張るでござる」
「あぁ、これがドナドナされる牛の気分か」
「運ぶでござる—」
放されたら死ぬ高度まで来てしまった。あ、うちの領が見える。この森は恵の森だったのか。
何かあれだ。木々が不自然に倒れてるのは違和感を感じるな。ミステリーサークルでも作ってるのか。
道の先は丸く倒している装甲馬車が居る。もう一つ拠点を作るんだったっけ。こんな森のど真ん中に作って大丈夫なのだろうか。
「ではちょっと速度上げるでござるよー」
ゆっくりとは嘘だった。