第01稿02話~特待生クラス2~
__遊び人|特待生教室
「ハッハッハ、特待生クラスを担当することになる学園長じゃ」
教室の前の方を見ると学園長が居た。
「特待生クラスの目的、それは長所を伸ばしていく方針じゃ。一般のクラスでは勇者となる冒険者を育てる予定じゃが、このクラスでは初期職業を逸脱した者を育てて行く事になる」
「と言うのは後付けで、勇者PTの育成をする為のクラスじゃ。他の者たちは好きな事を学び、専門知識を深めると良い」
「じゃが、実地訓練等の学校を出る際は儂に確認をとって出ると助かるのぅ」
「先生、質問があります」
「ほい、ニル君どうぞ」
「実地訓練の場合、数日戻ってこれない時とかはどうするんですか?」
質問したのは獣人の灰色の髪の女の子だ。ニルと言うらしい。
猫耳が生えてる。琥珀色の眼の瞳孔が縦に絞られる。猫目と言うのだろうか。
体躯は小さめだがスピード重視の前衛職か?
『獣族は発情期のタイミングで攻略すると楽だぞ』
うるせぇ。
「その場合は先生を引率にするかこの連絡の魔法石を持って行ってもらう」
学園長が取り出した魔石は無線機の様な役割を果たす。
「と言う訳で皆に配るぞい!」
そう言って一瞬で目の前の机の上に魔石が置いてあった。瞬間移動か?
『ただ単に速かっただけだ』
マジかよ。化け物か。
『それよりもちゃんと俺らの前にも魔石を置いて来たことに驚きだ。前回の転生者かもな』
前回は担当じゃなかったのか?
『ん?あぁ、俺は前回もフール担当だったからな。前回は他の転生者と会う事も無く遊び人は死んだ』
何で死んだか聞いても?
『お前とは違って女遊びが酷くてな。毒のナイフで滅多刺しにされた』
なんてこったい。俺はそうならない様に気を付けよう。
『お前、もう十分強いし。毒のナイフじゃ死なないだろ。キュア覚えてるし』
女遊びが酷かったら毒のナイフで刺される前提なの止めろ。もしかしたら爆弾とか投げ付けられるかもしれないじゃないか。
『それもそうだな。面白そうだが退場したら暇だしな』
「と言う訳で自由行動じゃ。勇者PTと模擬戦がしたいならすると良い経験こそ力なりである」
「すみません、図書室の禁書は読めますか?」
「君はセラフィー君か、勿論だ、このクラスの者は閉鎖図書区域に入れるよう手配してあるんじゃ。その際は生徒証を司書に見せれば問題ないぞい」
「わかりました」
セラフィーはエルフか。眼鏡をかけている長い緑髪の女の子だ。
翠色と言った方が良い位、綺麗な緑である。
正直、学園長と同じ種族なのが信じられない。
『エルフは長寿だが性欲は薄い。攻略は難しいぞ』
お願いだからそう言うのはいい。
『つれねぇな。しっかし、随分と女が多いな』
そう言われて教室内を見回す。確かに女の子が多い。人数は30人か。男10人……。
『しかも美人揃いじゃねぇか』
「ねぇ、トキトー君。近くのダンジョンに軽く潜ろうと思うんだけど。一緒にいかないかい?」
「低級か?」
「いいや上級、あいつが満足しないから」
「そんなに強いのか?カタナの奴は」
「勿論でござる。戦いの時は気持ちが昂るので気持ち悪いとは思うでござるが気にしないで欲しいでござる」
「気持ち悪い?」
「見れば分かるよ。口じゃ説明しずらい」
「なら見に行く」
「オッケィ、先生。王都近くの王者の墓場でPTの調整してきます」
「王者の墓場は上級ダンジョンだが、どんな面子で行くのかのぅ」
「僕とカタナとトキトーで行きます」
「ふむ、ロックオン君とカタナ君の攻撃力は十分。ユウ・トキトーはヒールも使える。よし、行ってきなさい」
「行く前に学園内を見て回りたかったが」
「今は午前中だし御飯食べてから午後に潜ってもいいよ。どうする?」
「ならそうしよう」
「では拙者はここで寝てるでござる」
「じゃあ、お昼ご飯の時は呼びに来るよ」
「頼むでござる」
2021/01/01 ニル、セラフィの容姿について。改稿
2023/04/30 書式などを調整
煽るだけ煽るフール。フールの言葉は大体右から左に抜けてく遊び人です。フールの言う攻略がそっち系なのは理由があるんですが、そっち系ばっかなのは最初だけです。
それでは皆様また次回。